レジオネラ症とは?

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レジオネラ‐しょう〔‐シヤウ〕【レジオネラ症】


レジオネラ症

レジオネラ・ニューモフィラLegionella pneumophila )を代表とする細菌感染症で、劇症型の肺炎一過性のポンティアック熱がある。レジオネラ属は、もともと環境普通に存在するである。しかしながら快適な生活求めるために、循環利用した風呂が好まれ、エアロゾル発生させる人工環境噴水等の施設ビル屋上に立つ冷却塔ジャグジー加湿器等)が屋内外に多くなっていることなどが感染する機会を増やしているものと考えられ、感染症法施行以 後検査技術進歩あいまって報告例が少なからずみられている。

疫 学

院内感染市中感染ともに季節によらずみられ、特にヨーロッパはしばし旅行関連してもみられる。人から人への感染はない。レジオネラ肺炎市中肺炎の3~10%占め潜伏期は2~10日である。一方、ポンティア ック熱は、発病率が95%、潜伏 期間が1~2日であるが、集団発生でないと報告にあがりにくい。
1999 年4月から始まった厚生労働省発生動向調査によると、2001 年12月までに294報告されている。季節によらず発症がみられ(図1)、中高年に多い(図2)。図1でピークのみられる、2000年3月静岡県温泉20006月茨城県入浴施設における集団発生では、それぞれ23名(2名死亡)、45名(3名死亡)が発症した。しかし、感染源判明ていない事例も多い。
ポンティアック熱では、1994年東京都内開催された研修会 での冷却塔由来する集団発生例がある。

レジオネラ症

図1. レジオネラ症患者発生状況(1999.4 ~2001.12 )

レジオネラ症

図2. レジオネラ症患者性別年齢分布

病原体
レジオネラ属、特にレジオネラ・ニューモフィラによることが多い。レジオネラは本来土壌細菌であるが、冷却塔給湯系、渦流浴などの人工環境アメーバ宿主として増殖している。冷却 塔には血清群1 、温泉24 時間風呂には血清群4, 5, 6のレジオネラ・ニューモフィラが多い。

臨床症状 

レジオネラ肺炎は、臨床症状では他の細菌性肺炎との区別は困難である。

レジオネラ症

全身倦怠感頭 痛食欲不振筋肉痛などの症状始まり乾性咳嗽2~3日後には、膿性~赤褐色比較粘稠性に乏しい痰の喀出)、高熱悪寒胸痛見られるようになる。傾眠昏睡幻覚四肢の振せんなどの中枢神経系症状早期出現するのも本症の特徴とされる。胸部X 線所見では肺胞陰影であり、その進行速い1999年6月発症した新生児レジオネラ肺炎場合生後8日目に死亡し、剖検時には肺 に小豆状の結節多数みられた(図3)。

図3. 剖検時肺(小豆状の結節多数みられる)

ポンティアック熱は、突然の発熱悪寒筋肉痛で始まるが、一過性治癒する。

病原診断

市販キットによる尿中抗原検出特異性が高く簡便迅速なため、最近普及してきた。分離にはレジオネラ専用培地(BCYE、あるいはそれに抗菌薬を含んだもの)を用い必要がある
検体中のグラム染色では染まらないので、ヒメネス染色アクリジンオレンジ染色を行う。図4は、新生児剖検肺のパラフィン切片標本から、ヒメネス染色菌体検出できた例である。また、レジオネラ属対す特異抗血清市販され、間接蛍光抗体法検出できる。

レジオネラ症

図4. 肺切片ヒメネス染色像(←の先にがみられる)

肺炎剖検例で組織凍結保存しておけば、後程そこからレジオネラ属分離するのも可能である。
環境から分離されたとの同一性問題になるので、環境水やそこからの分離も、患者由来菌種確定するまでは保存しておくことが必要である。


治療予防
レジオネラ細胞内寄生細菌であるので、宿主細胞浸透するエリスロマイシンリファンピシンニューキノロンなどの抗菌薬使用する必要がある。有効な抗菌薬投与がなされない場合は、7日以内死亡することが多い。
エアロゾル発生する可能性のある温水は、適切な殺菌剤による処理をおこなうか、換水するなどの留意が必要である。また、高齢者新生児のみならず細胞性免疫機能低下した者では肺炎起こす危険性通常より高いので、特に留意する必要がある

感染症法における取り扱い2003年11月施行感染症法改正に伴い更新
レジオネラ症は4類感染症定められており、診断した医師直ち最寄り保健所届け出る報告基準以下の通りとなっている。
診断した医師判断により、症状所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれか方法によって病原体診断血清学診断がなされたもの
病原体検出
例:臨床材料(肺組織、痰、胸水血液、他の無菌部位)からの分離、Serogroup 1の場合臨床材料(肺組織または気道分泌物)からの検出直接蛍光抗体染色法)など
病原体抗原検出
例:尿中抗原検出EIA法)など
病原体遺伝子検出
例:臨床材料からの遺伝子検出PCR法)など
病原体対す抗体検出
例:間接蛍光抗体法での特異抗体価の上昇(ペア血清で4倍以上の上昇、または単一血清256倍以上)など


国立感染症研究所細菌部 倉 文明 前川純子 渡邊治雄)

  


レジオネラ症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 22:26 UTC 版)

レジオネラ症(legionnaires' disease)は、どの種類のレジオネラ菌でも引き起こされる非定型肺炎のひとつである[4]。兆候や症状は咳、息切れ高熱筋肉の痛み、頭痛である[3]。吐き気、嘔吐、下痢にもなりえる[1]。これらの症状は曝露2日から10日後に現れる[3]


  1. ^ a b c d e Cunha, BA; Burillo, A; Bouza, E (23 January 2016). “Legionnaires' disease.”. Lancet 387 (10016): 376–85. doi:10.1016/s0140-6736(15)60078-2. PMID 26231463. 
  2. ^ Mahon, Connie (2014). Textbook of Diagnostic Microbiology. Elsevier Health Sciences. p. 416. ISBN 9780323292610. オリジナルの2017-09-08時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=rdDsAwAAQBAJ&pg=PA416 
  3. ^ a b c d Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) Signs and Symptoms”. CDC (2016年1月26日). 2016年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  4. ^ a b Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) About the Disease”. CDC (2016年1月26日). 2016年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  5. ^ a b c d e f Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) Causes and Transmission”. CDC (2016年3月9日). 2016年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  6. ^ a b Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) People at Risk”. CDC (2016年1月26日). 2016年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  7. ^ a b Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) Diagnostic Testing”. CDC (2015年11月3日). 2016年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  8. ^ a b c Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) Prevention”. CDC (2016年1月26日). 2016年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  9. ^ a b c Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) Treatment and Complications”. CDC (2016年1月26日). 2016年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  10. ^ a b Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) Clinical Features”. CDC (2015年10月28日). 2016年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  11. ^ Mandell, LA; Wunderink, RG; Anzueto, A; Bartlett, JG; Campbell, GD; Dean, NC; Dowell, SF; File TM, Jr et al. (1 March 2007). “Infectious Diseases Society of America/American Thoracic Society consensus guidelines on the management of community-acquired pneumonia in adults.”. Clinical Infectious Diseases 44 Suppl 2: S27-72. doi:10.1086/511159. PMID 17278083. 
  12. ^ a b Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) History and Disease Patterns”. CDC (2016年1月22日). 2016年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  13. ^ Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever) Prevention”. CDC (2015年10月28日). 2016年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  14. ^ Legionella (Legionnaires' Disease and Pontiac Fever)”. CDC (2016年1月15日). 2016年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月21日閲覧。
  15. ^ 倉文明, 前川純子 (2014年6月25日). “レジオネラ症とは”. 国立感染症研究所. 2020年3月6日閲覧。
  16. ^ Fiumefreddo R, et al. Clinical predictors for Legionella in patients presenting with community-acquired pneumonia to the emergency department. BMC Pulm Med. 2009;19;9:4. doi: 10.1186/1471-2466-9-4.
  17. ^ 掛け流し式温泉における微生物生息状況 (pdf) /2006 宮城県保健環境センター
  18. ^ 家庭用超音波式加湿器が感染源と考えられたレジオネラ症の1例 国立感染症研究所
  19. ^ 天然鉱石を使用した入浴施設が原因であると推定されたレジオネラ感染事例-群馬県 国立感染症研究所
  20. ^ CNN.co.jp 9月3日(月)11時9分配信
  21. ^ [1]
  22. ^ The Canadian Press Friday September 7, 2012 17:44配信 [2]
  23. ^ CBC Montreal 9月7日19時33分配信 Legionnaires' kills 11 people in Quebec City CBC News Sep 02, 2012 11:46


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