オウム病とは?

オウム病

【英】:psittacosis

オウム病はオウム病クラミジアChlamydia psittaci 以下C. psittaci)による人獣共通感染症である。
感染様式としては、病鳥の排泄物からのC. psittaci の吸入主体であるが、口移し給餌や噛まれて感染することもまれにある(図1)。飼育しているトリから複数家族同時に感染発症する家族内発生も、ときに認められる。オウム病の潜伏期間は1~2週間で、急激な高熱咳嗽発症する。軽症気道感染から、肺炎髄膜炎までの多様な病態を含む。市中肺炎における頻度はさsほど高くはないが、中等症までの非定型肺炎原因不明重症肺炎では、必ず鑑別に入れる必要がある

疫 学

ペットブームで推定300 万世帯がトリを飼育しているとされ、感染源としてトリとの接触歴は重要である。オウム病は本来トリ感染症で、保菌していても一見健常である。弱ったときやヒナ育てる期間に排菌しやすいセキセイインコなど国内生産されるトリにおける汚染がみられ、また、自然界トリにも侵淫している。

オウム病

図1. オウム病の感染様式病態

ドバト保菌率は20%程度と高く、ヒトへの感染源となりうる。本邦において、オウム病の感染源となった鳥類追跡調査では、60%がオウム・インコ類であり、そのうち3分の1セキセイインコである。オウム病は主として3060歳成人発症することが多く小児感染比較少なとされる。 
1999年4月感染症法施行以前には異型肺炎中に含まれ、市中肺炎の2~3%程度推測されていたが、実態反映しているかどうか不明であった。感染症法施行以後4類感染症全数把握疾患となったが、年間報告数は1999 年(ただし4~12月)が23例であり、性別では男性8例、女性15例であった。また、年齢では25歳以上が22例であった。時期的には5月に多い傾向見られている。都道府県別では京都府大阪府兵庫県いずれも3例)からの報告が多かった。また、2000年年間報告数は18例であり、性別では男性7例、女性11例であった。年齢では全て20歳上であった。時期的には特定の傾向見られなかった。都道府県別では福島県東京都(各3例)、埼玉県千葉県岡山県(各2例)からの報告があった。
実際にマイコプラズマ肺炎肺炎クラミジア肺炎同様にかなりの症例確定診断をされずに異型肺炎として治療されているものと思われる

病原体  

オウム病
オウム病
図3. オウム病クラミジア電顕
(a:基本小体、b:網様体、c:中間体

クラミジアDNARNA を有し、細菌属するが、特異性質有する偏性細胞内寄生性微生物である。人口培地では増殖できず、細胞感染して封入体作りその中で特異形態変化しながら増殖する。感染性を持つ基本小体増殖型の網様体、その中間体などの極めて複雑な形態をとりながら、2分裂繰り返した後、おおよそ48 時間後には一部巨大化した封入体の膜は破壊され、次に細胞膜破壊され、クラミジア粒子排出される(図2, 3)。基本小体新し細胞に再び感染し、増殖繰り返す

臨床症状
オウム病の病型には、インフルエンザ様の症状呈する異型肺炎、あるいは肺臓炎の型と、肺炎症状顕著ではない敗血症症状呈する型とがある。高熱で突然発症する例が多く頭痛全身倦怠感筋肉痛関節痛などがみられる比較徐脈肝障害を示すことが多い。呼吸器症状としては、乾性あるいは湿性咳嗽がみられ、血痰チアノーゼ認め重症例もある。病態上気道炎や気管支炎程度軽症例から肺炎まで様々であるが、特に初期治療不適切ARDS重症肺炎に至った場合、さらに髄膜炎、多臓器障害ショック症状を呈し致死的な経過をとることもある。
胸部理学所見病変程度により様々であり、胸部X 線所見マイコプラズマ肺炎類似し、オウム病に特有所見はないとされる検査所見では白血球数は正常で、CRP赤沈亢進する。中等度の肝機能異常をきたすことが多い。

病原診断
オウム病の診断には、とくにトリとの接触歴についての問診が重要である。飼育鳥が死んでいる場合は特に疑いが濃い。飼っていなくても、ペットショップに立ち寄ったり、公園ハト接触した、などの接触歴がある場合が多い。
病原診断には、患者気道や病からのC. psittaci 検出、あるいは血清特異抗体測定が行なわれる。患者咽頭材料トリからは分離PCR検出可能であるが、分離細胞培養を必要とすることや、実験室感染恐れがあるため、特定の施設でのみ行われる
臨床現場では血清診断主体となる。従来オウム病の血清診断に用いられてきた補体結合反応(オウム病CF)は、主に属特異抗体測定するものであり、他のクラミジア種の感染でも陽性となるため、可能な限り種の特定ができるmicro‐IF 法などを用いるべきである。原則としてペア血清で4 倍以上の上昇認め場合確定診断とする。

治療予防
血清診断結果通常治療開始時にはていないので、明らかにトリとの接触歴がある場合は、オウム病による肺炎第一に考え直ち治療開始する。クラミジアに対しては、細胞壁合成阻害剤であるペニシリン系セフェム系などのβ‐ ラクタム薬無効である。また、アミノ配糖体効果はない。オウム病に対してテトラサイクリン系第一選択薬である。マクロライド系ニューキノロン系がこれに次ぐ。

中等症以上で処方
ミノサイクリン(100mg)1 日2回 点滴静注
入院治療を行う。投与期間は1014 日であるが、軽快後は内服切り替えも可能。
軽症での処方例 下記いずれかを用いる。
1 )ミノサイクリン(100mg )2錠 分2朝夕
2 )クラリスロマイシン(200mg )2錠 分2朝夕
小児妊婦では、テトラサイクリン系歯牙や骨への沈着考慮してエリスロマイシン点滴静注やニューマクロライド内服などを行う。


投与期間については、一般的な市中感染細菌性肺炎では7~10日程度のことが多いが、クラミジアに対して除菌考慮し、約2週間長め投与がよい。全身状態の改善良好であれば経口剤に切り換えてもよい。胸部X 線像や赤沈改善が完全でなくても、他の所見明らかに改善ていれば、特に元気な若い人場合などには、治療終了しても通常問題はない。
全身症状によっては補助療法を行う。肺炎両側広がり低酸素血症来たし場合には、酸素投与呼吸管理行い、またステロイド使用する。DIC への対応が必要になることもある。
予防としては、トリの飼育者に、オウム病の知識普及させることが重要である。過度濃厚接触避けトリが弱ったときや排菌が疑われる場合には、獣医診察を受けたり、テトラサイクリン入りの餌を1週間程度与えたりする。

感染症法における取り扱い2003年11月施行感染症法改正に伴い更新
オウム病は4類感染症定められており、診断した医師直ち最寄り保健所届け出る報告のための基準以下の通りとなっている。
診断した医師判断により、症状所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれか方法によって病原体診断血清学診断がなされたもの
病原体検出
 例:痰、血液剖検例では諸臓器などからの病原体分離など
病原体遺伝子検出
 例:PCR 法PCR‐RFLP法など
病原体対す抗体検出
 例:間接蛍光抗体(IF)法で抗体価が4倍以上(精製クラミジア粒子あるいは感染細胞を用いた場合は種の同定ができる)など


国立感染症研究所ウイルス第一部 岸本寿男)

  


オウム病 [Psittacosis]

 鳥類排泄物中に含まれているオウム病クラミジア(Chlamydia psittaci) が吸い込まれてヒト体の中入り増殖して特有の病気起こす鳥類はこのクラミジアを持っていても病気症状を示さない。その間に、病気クラミジアを含んだ排泄物出し続け、それをヒトが吸い込んで、1~2週間潜伏期間後に肺炎様の症状を示すことになる。本来は鳥類持っているクラミジアヒト感染するので人畜共通伝染病ひとつとして重要です。

オウム病

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/24 02:25 UTC 版)

オウム病(psittacosis、parrot fever)とは、クラミジアの一種である、オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci あるいはChlamydophilia abortus)の感染によって生ずる人獣共通感染症。クラミジア病と呼ばれることもあり、かつてミヤガワネラ病と呼ばれていたこともあった。感染症法における四類感染症。






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