かっしょく‐しぼうそしき〔‐シバウソシキ〕【褐色脂肪組織】
褐色脂肪組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/29 15:13 UTC 版)


褐色脂肪組織(かっしょくしぼうそしき、英:Brown adipose tissue、BAT)または褐色脂肪は、哺乳類にある2つのタイプの脂肪、または脂肪組織の1つである。もう1つのタイプは白色脂肪組織である。
概要
褐色脂肪組織は、新生児や冬眠動物では特に豊富である[1]。その主な機能は、動物や新生児が体を震わせないで体の熱を生成することである。単一の脂肪滴が含まれている白色脂肪細胞とは対照的に、褐色脂肪細胞は、鉄を含んでおり、それが茶色を呈し、多数の小さな液滴とはるかに多い数のミトコンドリアが含まれている[2]。褐色脂肪組織はほとんどの組織よりも多くの酸素を必要とするため、褐色脂肪組織はまた、白色脂肪組織よりも多くの毛細血管が集まっている。
ノルアドレナリンが褐色脂肪細胞上のβ3受容体に結合すると、UCP1(脱共役タンパク質)が生成され、ミトコンドリアで脱共役が起こり熱が産生される。動物の冬眠時に良く見られる運動に伴わない熱産生の手段である。日本人を含めた黄色人種ではβ3受容体の遺伝子に遺伝変異が起こっていることが多く、熱を産生することが少ない反面、カロリーを節約し消費しにくいことから、この変異した遺伝子を節約遺伝子と呼ぶことがある[3]。
ダイエット効果との関連
褐色脂肪組織は年齢とともに減少していく。褐色脂肪組織が多く存在している部位を運動や冷却で刺激することで、効率的な脂肪燃焼を促すことでダイエット効果があるという説があるが、医学的根拠に乏しく、少なくとも現在では正しい情報とはいえない[4]。褐色脂肪組織がベージュ脂肪細胞と混同されているケースも多い。
脚注
- ^ Gesta S, Tseng YH, Kahn CR (October 2007). “Developmental origin of fat: tracking obesity to its source”. Cell 131 (2): 242–56. doi:10.1016/j.cell.2007.10.004. PMID 17956727.
- ^ Enerbäck S (2009). “The origins of brown adipose tissue”. N Engl J Med 360 (19): 2021–2023. doi:10.1056/NEJMcibr0809610. PMID 19420373 .
- ^ 鎌田勝雄脂肪細胞とインスリン抵抗性 (星薬科大学オープン・リサーチ)
- ^ 桑満おさむ褐色脂肪細胞と肩甲骨ダイエットの深くない関係、肩甲骨にはやせるポイントがある?!はニセ医学?? (五本木クリニック)
外部リンク
- Histology image: 04901lob — ボストン大学の組織学学習システム - "Connective Tissue: multilocular (brown) adipocytes"
関連項目
褐色脂肪組織(2014年)
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「ヴィム・ホフ」の記事における「褐色脂肪組織(2014年)」の解説
マーストリヒト大学で、その後に行われた研究によると、 ホフと一卵性双生児であるアンドレにも、同じように寒さへの耐性があることが明らかになった。アンドレは、ヴィム・ホフが編み出した耐寒訓練を受けていないが、呼吸技法は同じものを修得していた。研究者たちが明らかにしたところによれば、ふたりとも耐寒性をもっており、褐色脂肪組織をより効率的に活性化させ、普通の人間より体温を高める能力が高いが、褐色脂肪組織の量が多いわけではなかった。研究者ウーター・ファン・マルケン・リヒテンベルトは、褐色脂肪組織の存在と活性化について、「これこそが、鍛錬の有無などより肝要なことであるように思われる」と述べた。この研究からは、さらに、呼吸技法が熱の発生を高めているときには、呼吸の過程における、強力な、静態的筋収縮が生じていることが示唆された。また、筋収縮の際には、グルコースの増加が認められた。
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