ジョナス・ソーク
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ジョナス・ソーク(Jonas Salk /sɔːlk/、本名:Jonas Edward Salk、1914年10月28日 - 1995年6月23日)は、アメリカ合衆国の医学者。ポリオワクチンを開発した。
ポリオワクチンの開発に際しては安全で効果的なものをできるだけ早く開発することだけに集中し、個人的な利益は一切求めなかった。テレビのインタビューで「誰がこのワクチンの特許を保有しているのか」と聞かれたのに対して「特許は存在しない。太陽に特許は存在しないでしょう。」と述べた[1]。
また、ジョナス・ソークはワクチンや食品を通じてあなたをだまそうとしている優生学思想者の存在を敵視し、最も賢い者のみが生き残れると表現した。賢い者とはあらゆることに疑問を持つ者。
略歴
- 1914年、ニューヨーク州ニューヨークにて、貧困のロシア系ユダヤ人家庭に生まれる。ニューヨーク市立大学シティカレッジ卒業後、1939年にニューヨーク大学から医学博士号を取得。家族の中で大学に初めて進学した人物となる。
- ニューヨークのMount Sinai School of Medicineで勤務の後、1947年にピッツバーグ大学に移る。
- 1950年代に、初めてポリオワクチンのテストに成功する。
- 1962年、カリフォルニア州ラホヤにソーク研究所を創設し、分子生物学と遺伝学の研究所として世界的に知られるようになり、この研究所から数多くのノーベル賞学者を輩出した。彼の名言「希望は夢、想像力、そして夢を現実にしようとする者の勇気の中にある」は、研究所に追悼されている[2]。
- 日本ではポリオワクチンにより、1960年代に年間5000人ほどいた患者が激減した結果、1980年の1人を最後に野生ポリオウイルスによる発症は1件も報告されていない。また、2012年時点で世界的にもほぼ根絶され、現在の常在国はナイジェリア、パキスタン、アフガニスタンの3か国のみとなった。
- 2014年10月28日には生誕100周年を迎え、Googleのトップページがソークを称える特別なロゴになった[3]。
受賞・栄誉
- 1955年 - 議会名誉黄金勲章、メリトリアスサービスメダル
- 1956年 - ラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞
- 1957年 - ジョン・スコット賞
- 1962年 - コッホ・ゴールドメダル
- 1976年 - アカデミー・オブ・アチーブメント ゴールデンプレート賞
- 1977年 - 大統領自由勲章
- 1981年 - イタリア共和国功労勲章
- 1995年 - 4つの自由賞
脚注
- ^ Johnson, George (1990年11月25日). “Once Again, A Man With A Mission”. The New York Times 2011年8月5日閲覧。
- ^ ソークの歴史
- ^ 今日のGoogleロゴはジョナス・ソーク生誕100周年
関連項目
- HeLa細胞 - ポリオワクチンの開発に利用。
外部リンク
ジョナス・ソーク
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1952年、最初の効果的なポリオワクチンを開発したピッツバーグ大学の ジョナス・ソークだったが、臨床試験には何年もかかった。長い期間の忍耐により、ソークはCBSラジオで、1953年3月26日に大人と子供の小集団におけるテストが成功を収めたと報告している。この2日後、JAMA(米国医師会雑誌)に結果が公表された。1954年2月23日、ワクチンはピッツバーグのアーセナル小学校と障害者児童のためのD. T.ワトソンの家で投与が開始された。ソークワクチンのテストは、トーマス・フランシスJrが指揮を執った事から、通称フランシス・フィールド・トライアルと呼ばれ、歴史上最大規模の医療実験とされている。実験の当初、ヴァージニア州マクリーンのフランクリン小学校の子供達4,000人を対象として開始され、最終的にはメイン州からカリフォルニア州に及ぶ全米44州、延べ1800万人に及ぶ子供達が参加するという広大な規模で行われた。治験(実験)の終わりまでに、子供達にはおおまかに見積もっても、44万回に及ぶワクチン注射を1回、もしくはそれ以上投与し、約21万人の子供達には偽薬(プラシーボ)が投与され、無害な培地として比較するため、120万人の子供達のグループには予防接種と臨床の工程を受けさせないよう管理し、ポリオウイルスへの感染状態を観察した。フランシス・フィールド・トライアルの結果が、1955年4月12日に公表される。(同日はフランクリン・ルーズベルト大統領の死後10年と同日。大統領の麻痺は一般的にはポリオが原因だと信じられていた)ソークワクチンは、PV1(ポリオウイルス1型)には60-70%の効果があり、PV2(2型)とPV3(3型)に対しては90%を超える効果を見せ、延髄ポリオの進行には94%という驚くべき結果となった。ソークワクチンは同年には子供予防接種キャンペーンとして、すぐにその認可が降りた。NGOのマーチ・オブ・ダイムスの大規模な予防接種キャンペーンが促され、アメリカの記録ではポリオウイルスが原因となる病気は、1953年の35,000件から1957年には5,600件と大きく下落し、1961年に至っては、たったの161件と記録されている。
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