サルファ‐ざい【サルファ剤】
サルファ剤 [Salfa drug(s)]
サルファ剤はグラム陽性の球菌(ブドウ球菌、ミクロコッカス、連鎖球菌、腸球菌など)と、桿菌(ウェルシュ菌、破傷風菌など)、グラム陰性の球菌(髄膜炎菌、淋菌)と、桿菌(大腸菌、赤痢菌、サルモネラなど)に対して抗菌作用がある。
サルファ剤の作用はこれらの細菌の発育を阻害する静菌作用であるが、その作用機序はビタミンの1種である葉酸の生合成を阻害することが特徴である。
すなわち、細菌の細胞内ではプテリジン、p-アミノ安息香酸(PABA)とグルタン酸を材料として葉酸が合成されるが、サルファ剤の基本構造であるスルファニルアミド部分がp-アミノ安息香酸に類似しているので、これと競合的に策して細菌の葉酸合成を阻害する。なお、サルファ剤ではないが、p-アミノサリチル酸(PAS)も同様な作用である。一方、動物細胞内では葉酸を合成する仕組みがないので、動物細胞はサルファ剤による作用を受けない。つまり、それぞれ作用は違うが、ペニシリンをはじめ有用な抗生物質と同様に、選択毒性において優れた薬剤である。
現在、スルフイソキサゾール(SIX)、スルフイソミジン(SID)、スルファメチゾール(SMZ)や持続性があるスルファメトキサゾール(SMXZ)、その他の有用なサルファ剤が使用されている。
サルファ薬
(サルファ剤 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/11 01:05 UTC 版)
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サルファ薬(サルファやく、英: sulfonamides)とは、スルホンアミド (-S(=O)2-NR2) 部位を持つ合成抗菌剤・化学療法薬の総称。生物由来ではないため、抗生物質とは呼ばれない。サルファ剤(サルファざい)とも呼ばれる。
サルファ薬は葉酸生合成系のうちジヒドロプテロイン酸合成酵素の基質であるパラアミノ安息香酸 (PABA) に構造的に類似しており、競争阻害物質としてジヒドロプテロイン酸合成を阻害する。これにより葉酸代謝物であるテトラヒドロ葉酸の細胞内供給を決定的に不足させ、結果的にプリンとチミジンの新規合成を停止させることによって、病原微生物のDNA合成とRNA合成を阻害し静菌的に作用する。細菌のみならず真菌や原虫にも効果を示すが、ヒトは葉酸の生合成系を欠いているため、サルファ薬は病原体にのみ選択的に作用する。
ジヒドロプテロイン酸合成酵素が変異を起こし、PABA親和性が変化することにより耐性菌が出現する。細菌が一種類のサルファ薬に対して耐性を獲得すると、他のサルファ薬に対しても耐性を示すようになり、これを交差耐性という。単独で使用すると耐性菌が出現しやすいこと、また相乗効果が期待できることから、サルファ薬は葉酸活性化阻害薬(トリメトプリム)と併用されることが多い。
プロカインは分解されるとPABAを生じるため、プロカインとの併用ではサルファ薬の作用は低下する。
食品安全委員会の「食品を介して人の健康に影響を及ぼす細菌に対する抗菌性物質の重要度のランク付けについて」ではスルファメトキサゾール/トリメトプリムがランクII(高度に重要)に位置づけられている。
日本において、動物用医薬品として承認されているものとしては配合剤であるものを含めると、スルファジメトキシン、スルファモノメトキシン、スルフイソキサゾール、スルファドキシン、スルファメトキサゾール、スルファジアジン、スルファクロルピリダジンナトリウム、スルファメラジンナトリウムがある。
開発の経緯
1935年、ドイツのゲルハルト・ドーマクが、染料のプロントジルに抗マラリア作用があることを発見した。また、自分の娘が敗血症を起こしたとき、プロントジルを投与し命を救った。
その後、プロントジルの持つスルフォン環に抗菌作用のあることが判明し、次々とサルファ薬が開発された。ドーマクは後に、プロントジルの開発によって、1939年のノーベル医学賞を受賞した。
サルファ薬を治療に用いる感染症
関連項目
- プロントジル
- ジアフェニルスルホン (DDS)
- スルファモノメトキシン
- スルファジアジン
- スルファジメトキシン
- スルファセタミド
- スルファドキシン
- スルファニルアミド
- スルフィソミジン
- スルファフラゾール
- スルファメトキサゾール
- スルファジミジン
- スルファメラジン
- スルファキノキサリン
- Dr.STONE(本剤が登場)
参考文献
- 獣医学大辞典編集委員会編 『明解獣医学辞典』 チクサン出版社、1991年。ISBN 4885006104
- 伊藤勝昭ほか編 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版、2004年。ISBN 4874021018
- 三木卓一監修 『医薬化学 第3版 生物学への橋かけ』 2002年。ISBN 4567461533
- トーマス・ヘイガー『サルファ剤―忘れられた奇跡』中央公論新社、2013年。
サルファ剤(スルファニルアミド)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:51 UTC 版)
「Dr.STONE」の記事における「サルファ剤(スルファニルアミド)」の解説
合成抗菌剤であり、作中では抗生物質と言われているが、生物由来ではないため厳密には異なる。
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