伝播状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 01:17 UTC 版)
VHF(周波数が30MHz以上300MHz未満の電波)以上の電波は、通常は、直接波ないし直接の反射波が届く近距離には強力に伝播する。その電界強度は、送信地点から受信地点間の距離が離れるにつれて弱くなるので、見通し距離外の遠距離へは伝播しない。この特性のため、VHF/UHF電波は、通常、近距離間の通信・放送に使われている。 ところが、スポラディックE層と呼ばれる、極度に電子密度の高くなった特殊な電離層が発生すると、VHF帯の電波をも反射する。 この特性のため、通常は電離層を突き抜けてしまうVHF電波が、スポラディックE層から反射されて地上に戻ってくるという異常伝播現象が起こる。 この現象を「Eスポ」と称して、アマチュア無線や市民ラジオ(CB無線)等では通常は不可能なVHF帯による遠距離交信の機会として利用される。 一方、(アナログ時代の)テレビ放送、FMラジオ放送等でサービスエリア外の遠方の局の放送が混信する、市町村防災行政無線において(トーンスケルチ機能が無い場合)遠方の市町村の「お知らせ」が広報されてしまうことがある、等のトラブルの原因にもなっている。 なお、日本では主に初夏の時期に強い異常伝播現象が見られる。
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