伝書『牽牛勒法』
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牽牛勒法(けんぎゅうろっぽう) 当流供養包丁のうち蓮を扱う型九つあり、特にこの型はその季を七夕より盆明けまでを本位とすなれど別に供養事の旨を語りはざるものなり。勒法は常に包丁というより彫り刻むという旨にてなすべし。俎支度は草の型にてなすべきものなれど、次第によりては真の型にて許さることあり。 式次第 常のごとく真の礼より始むるべし、鞘はらいは素返しにてすぐさま陰に構へて向一文字に突くなり。転刃のち斬俎の法、陽にて為し昭仁に構へつむ、ただちに前一文字に突きて根生の構えにて箸を執るなり、その構えの箸を組みて大きく崩斬光横一文字に決めるべし、三稜法は崩しの法なり。 まづ向にむけて天にあげ定騎直にて騎走は上手に突くべし、鳥瞰を決めて箸を立てん。 包丁の儀は落帆風の裁きより崩雲際の裁きにて為し疎瞰にてまとめ、その詳細図は別巻図にて伝う、要は牽牛の意なるが星と伝う彫り刻まれしその勒(ほり)の様を以って伝はりしものなり。盛裁もその様を以って為す常のごとく鳥瞰の法にて三方より重を受けてのち盛裁すなり、改敷の葉は蓮なり。式具(しぐ)より一をなして三方を改むるべし、箸を草法の裁きにて執り鳥瞰を決めるなり、兜角に構へて満天に突きて力強く臨座を為して龍峯にあげん騎走より双芽の構えにて昇剣なして砲剣に突くなり水月にまとめて前方浪閣に構へてのち式具浄(きよめ)に移るべし、まづ箸を浄して改めおきて鞘を執るなり包丁浄の日月本勝手より逆にはこび転刃にて刃改めなしてのち鞘おさめは陰の型にて終わる。 以上の型は草弧の箸裁きより鞘おさめに至る式具浄めのすべてに難あり。めりはりとは、勒(ほり)に心を配り静の中に風格のある序破急(ぢばきゅう)を求めるべし。包丁の儀における勒法は素にして実ある法とすべし。勒(ほり)きれしのちのその様は艶と和を疎かにすべからず。 心をもとにての包丁事ゆへ、ゆめゆめ侮ることなかれ。
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