運動麻痺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 09:10 UTC 版)
診断学においては麻痺(paralysis)とは運動障害であり、感覚障害を示す言葉ではないと考えられている。しかし、書物により定義が一定しておらず、混乱を避けるため、運動麻痺あるいは運動障害といった言葉を用いることが多い。ここでは診断学におけるparalysis、すなわち運動麻痺に関して述べる。なお、運動機能には随意運動、不随意運動、協調運動が知られているが運動麻痺といった場合は随意運動の機能障害と考えられている。 運動麻痺には程度と分布による分類が知られている。完全麻痺(paralysis)は骨格筋の随意運動が完全に喪失した状態を示す。不全麻痺(paresis)は運動麻痺分布が部分的であったり、運動麻痺の程度が不完全な状態を示す。分布では単麻痺(monoplegia)は四肢のうち一肢のみの運動麻痺である。片麻痺(hemiplegia)は身体の一側に限局する運動麻痺であり、運動麻痺の頻度としては最も多い。神経診断学として重要な片麻痺に、交代性片麻痺と交叉性片麻痺がある。交代性片麻痺(alternating hemiplegia)とは対側の脳神経麻痺を伴う片側の上下肢麻痺である。これは脳幹病変の存在を示唆する。大脳、内包、視床などが障害された場合は脳神経の麻痺側と四肢の麻痺側が同側となるため、重要な所見である。交叉性片麻痺(crossed hemiplegia)は一側の上肢麻痺と対側の下肢麻痺のことでありこれは延髄下部の錐体交叉部病変の所見と考えられている。頻度としては非常に少ない。対麻痺(paraplegia)は両下肢の運動麻痺であり、脊髄や大脳中心前回正中の占拠性病変などで起こる。四肢麻痺(quadriplegiaまたはtetraplegia)は両側上下肢の運動麻痺である。また両麻痺(diplegia)という言葉もあり、四肢麻痺のうち下肢の麻痺が強いものとされているがあまり使わない。
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