重症筋無力症とは?

じゅう しょうきんむりょくしょう ぢゆうしやう -しやう [0][1] 【重症筋無力症】

随意筋が容易に疲労脱力状態になる疾患脱力主として顔の筋肉から始まり全身みられる休息により症状回復するが、呼吸困難をきたすこともある。神経筋肉接合部の異常による。

重症筋無力症

【仮名】じゅうしょうきんむりょくしょう
原文myasthenia gravis

体内免疫系によって作られた抗体が、特定の神経筋伝達妨げ病気手足に力が入らなくなったり、視覚問題が生じたり、眼瞼垂れてきたり、頭を上げていられなくなる。また、麻痺現れたり、物を飲み込むこと、話すこと、階段の上下り、物を持ち上げること、座った姿勢から立ち上がることなどに問題が生じることもある。筋肉脱力感活動中にひどくなり、休養後には軽減する。

重症筋無力症

学名myasthenia gravis

運動負荷により、容易に筋疲労をきたし、筋力低下をみる病気です。筋力低下起床時よりも、疲労蓄積する午後に増悪するなど、日内変動をみるのが特徴的です。

a.病因病態
末梢神経筋線維接合部神経筋接合部neuromuscular junction)の異常です。神経からの伝達を、筋肉伝え場所が神経筋接合部です。筋肉収縮するときには神経から、筋肉収縮するように命令する物質が出ます。神経側から出る物質がアセチールコリンという伝達物質で、筋側のアセチールコリン受容体acetylcholine receptor: AChR)で受け取られます。患者では高率血清アセチールコリン受容体対す抗体の上昇があります自己免疫異常です)。その異常に高くなった抗体はアセチールコリン受容体抗原認識し、そこで抗原・抗体反応起こります。この反応結果、筋側のアセチールコリン受容体変性し、数を減らします。すると神経側からきたアセチールコリンに対し、筋側が十分に対応できなくなり、筋力低下となるのです。
本症患者の約5070%には胸腺腫ないし胸腺過形成がみられます。胸腺摘出により症状改善することから、胸腺関与示唆されています。発育期に胸腺胸腺由来T細胞形成され、成熟するとそれは末梢リンパ組織移行します。しかし本症では胸腺リンパ濾胞形成著明で、そこでT細胞末梢リンパ球のB細胞協力して抗体産生すると考えられています。
本症には胸腺異常だけでなく、他の自己免疫疾患合併血清補体価の低値、抗γグロブリン血症を認めます。治療免疫抑制剤が有効であることから、自己免疫機構が働いていることには疑いはありません。

b.臨床症状
本症はいくつかの臨床病型に分けられていて、Osserman分類広く使われてきました。現在でも臨床の場ではよく使われています。有病率10万人あたり約5人とされているので、筋疾患のなかでは比較頻度が高いといえます。
発症2040歳に最も多く女性男性は6:4で、女性の方が発症も約10歳ほど早いといわれています。眼症状眼瞼下垂複視など)が初発症状として最も多く半数占めます。また全身症状改善しても、眼症状最後まで残ることが多いのです。全経過をみると眼筋90%以上の患者で侵されます。眼症状のみの眼筋型(小児多く成人では1520%)もありますが、経過とともに全身型に移行することもあるので、注意が必要です。
顔面筋が侵されると表情乏しくなり、頸筋が侵されると首垂れ状となります。全身型では四肢筋の筋力低下歩行困難呼吸筋筋力低下もみるようになります。また球症状(燕下、言語呼吸障害)を合併したり、これが先行することもあります。これらの症状安静改善し、運動精神的ストレス感染などで増悪します。

c.診断
日内変動を伴う筋力低下眼瞼下垂をみたらまず本症を疑います。この病気を疑ったら、まずテンシロンテスト行います。塩化エドロホニウム(アンチレクス)10mgを注射器に入れ、まず2mgを静注し、異常がなければ残り追加静注します。筋力数分以内回復すれば、本症の診断根拠となります。もし2mg静注コリン作動反応副交感神経刺激症状、筋痙攣脱力)があれば、試験中止し、症状強けれ硫酸アトロピン  筋電図では連続電気刺激で、神経単位(neuromuscular unit)の振幅漸減(waning現象)をみます。
患者血清中の抗アセチールコリンレセプター抗体陽性率は眼筋型を除き8090%と高値示します。抗筋抗体抗核抗体など免疫不全示唆する多く自己免疫抗体証明されることもまれではありません。胸腺腫肥大判定には胸部CT検査有用です。

d.治療
コリンエステラーゼ剤としては効果長い臭化ピリドスチグミン(メスチノン)がよく使用されます。60mg/日から始めて、300mg/日まで増量可能です。ステロイド治療としてはプレドニゾロン10−20mg/日(成人隔日投与から開始して、1−2週ごとに5−20mgずつ経過みながら増量し、最大60−80mg/日、隔日投与とします。増量中に緩解をみれば、その量を最大量として1−3か月用い、次第に斬減します。
外科胸腺摘出は以下の状態の時に行われるのが一般的です。
(1)薬物効果が不十分
(2)発症から5年以内薬物療法強く抵抗する
(3)胸腺腫がある場合
胸腺腫がなくても、全身型では早期からのステロイド剤投与胸腺摘出行い、よい結果が得られています。全ての治療抵抗する重症例では血漿交換ステロイドパルス療法が行われています。

重症筋無力症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/10 07:40 UTC 版)

重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう、Myasthenia Gravis;MG)とは、アセチルコリンなどの抗体により神経・筋伝達が阻害されるために筋肉の易疲労性や脱力が起こる自己免疫疾患である。


  1. ^ Sieb JP. Myasthenia gravis: an update for the clinician. Clin Exp Immunol 2014;175:408-18.


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