酸素分圧
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酸素分圧(さんそぶんあつ)とは流体の体積あたりの酸素量を現す指標である。
気体中の酸素分圧
気体中の酸素分圧は、気圧×酸素濃度(純酸素を1.0として)であらわされる。
気圧の単位は、物理学・化学の領域ではhPaや 血液は肺胞(酸素分圧100mmHg程度)の毛細血管を0.75秒ほどで通過する間に、ほぼ平衡に達する。こうして動脈血の酸素分圧は約100mmHgとなる。体組織の細胞周囲の酸素分圧は20~30mmHgであり、動脈血と酸素分圧に差があるため、末梢の毛細血管では組織液と血液が平衡に達しようとして酸素が血液から組織液に移る。こうして酸素が体組織に運ばれている。酸素を運び終えた静脈血の酸素分圧は、40mmHg程度である。
血液は一般的な液体に比べると、同じ酸素分圧でもはるかに多くの酸素を含んでいる。これは赤血球内の色素ヘモグロビンが酸素と結合することによる。
経皮的動脈血酸素飽和度と動脈血酸素分圧には、下表のような関係がある。関連項目
酸素分圧(最終電子受容体)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 04:17 UTC 版)
「極限環境微生物」の記事における「酸素分圧(最終電子受容体)」の解説
酸素は好気呼吸における最終電子受容体として用いられるが、同時に酸化力の強い毒素であると見なせる。酸素を電子受容体として用いた場合、スーパーオキシドという反応性の高い有害物質を体内で作成することとなる。そのためある種の微生物では空気中の酸素分圧では生育不可能となる。酸素分圧による分類法は以下の通りである。 好気性:通常の20%酸素存在下で生育可能な生物。狭義には地球上の空気の酸素存在比でないと生育を示さない偏性好気性を意味する。好気性は更に以下の分類がなされる。偏性好気性:10 - 20%酸素存在下で生育可能な生物。例としては大半の多細胞生物、一部の偏性好気性細菌および古細菌(Aeropyrum pernix など)があげられる。こうした生物では、ある程度以下の酸素分圧に置かれると、まったく呼吸ができなくなる。絶対好気性とも呼ばれる。 通性好気性:20%酸素でもそれ以下の酸素分圧あるいは完全嫌気でも増殖を示す。例としては大腸菌などの腸内細菌、出芽酵母など。好気性細菌の多くはここに含まれると考えられる。 微好気性:酸素分圧が2 - 10%の環境で至適生育を示す。下限の数字については、様々な解釈があるが、この数字は実験者の印象などによって異なると考えられる。こうした生物ではSODの能力が低いと思われる。 嫌気性:酸素の非存在下で生育を示す生物。狭義には完全無酸素状態でないと生育できない偏性嫌気性をさす。嫌気性も以下の分類がなされる。嫌気性生物では、酸素を最終電子受容体としない嫌気呼吸が行なわれている。高等生物ではこうした生物はほとんど存在しないが、一部の寄生生物などでは嫌気的に生育するものも存在する。偏性嫌気性:完全無酸素状態でないと生育を示さない生物。細菌等微生物が大半である。極度に酸素を嫌う生物として、鉄細菌、硫酸還元菌、メタン菌など。いずれも嫌気呼吸生物の代表である。 通性嫌気性:通性好気性と意味合いは似るが、実験者の捉え方などでこちらが使用されることもある。どちらかと言えば嫌気度の高い環境でよく生育するものを指す。
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