液体中の酸素分圧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 05:40 UTC 版)
主に医学・生理学領域で用いられる概念である。 酸素が溶解している液体と気体または真空を接触させていると、液体側に多くの酸素が含まれている場合には気体側に酸素が移り、液体側に含まれる酸素が少ない場合には気体中の酸素が液体に溶解する。そして、ある時点で液体・気体双方の酸素含有量がともに変化しない状態、つまり平衡に達する。平衡に達していても、酸素の溶解や放出は(分子レベルでは)絶えず行われているが、マクロな視点で見れば単位時間当たりの溶解する酸素量と放出される酸素量が同じになっている。このため平衡の状態では酸素含有量が変化しない。 この平衡の状態にどこで達するかは、液体側は液体の性質および酸素含有量と温度に依存するが、気体側は気体中の酸素分圧(上記の定義参照)のみに依存する。 ここにある量の酸素を溶解させた液体が存在するとき、その液体とちょうど平衡に達する気体の酸素分圧が、「液体の酸素分圧」と定義される。 血液は肺胞(酸素分圧100mmHg程度)の毛細血管を0.75秒ほどで通過する間に、ほぼ平衡に達する。こうして動脈血の酸素分圧は約100mmHgとなる。体組織の細胞周囲の酸素分圧は20~30mmHgであり、動脈血と酸素分圧に差があるため、末梢の毛細血管では組織液と血液が平衡に達しようとして酸素が血液から組織液に移る。こうして酸素が体組織に運ばれている。酸素を運び終えた静脈血の酸素分圧は、40mmHg程度である。血液は一般的な液体に比べると、同じ酸素分圧でもはるかに多くの酸素を含んでいる。これは赤血球内の色素ヘモグロビンが酸素と結合することによる。 経皮的動脈血酸素飽和度と動脈血酸素分圧には、下表のような関係がある。
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