酒 概説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/21 08:36 UTC 版)

概説

日本語では丁寧な呼び方として御酒(おさけ、ごしゅ、おささ、みき)[2]もよく用いられ、酒類(しゅるい、さけるい)[3]アルコール飲料(アルコールいんりょう)[4]、またソフトドリンクに対して「ハードドリンク」とも呼ばれることがある[注釈 1]西洋ではワインに相当する言葉が総称として用いられることがある。

酒は人類史において最古から存在する向精神薬[要出典]の一つである。しかし、酩酊は往々にして混乱や無秩序をもたらし、社会から忌避される。「百薬の長とはいへど、よろづの病は酒よりこそ起これ」などと言われ、古来より酒は社会にとって両価値的存在だった[5]

酒の歴史は古く、有史以前から作られていたと見られている(→#歴史)。

製造方法・原料・味わいなどは非常に多種多様であり、分類方法も同様である(→#種類)。

原料は多くの場合、ブドウリンゴなどの果実大麦などの穀物イモなどの根菜のいずれかが使われる(→#原料)。

効用としてはストレスの解消、コミュニケーションの円滑化、疲労回復が挙げられる(→#効用)。そしてヒトの脳を萎縮させ[6]、時に違法薬物を上回ると言われる最も有害な薬物であり[7]、世界で毎年250万人の死亡につながり死因の4%を占める[8]。作用量と致命的な量が近く急性アルコール中毒になりやすい薬物であり、アルコール乱用や、禁断症状が致命的な振戦せん妄となりうるアルコール依存症となることもあり、アルコール飲料はIARC発がん性でグループ1(発がん性あり)にも分類される(→#健康への影響)。

アメリカ合衆国では飲酒による死因の14%が運転事故、8%が他殺、7%が自殺、5.6%が転落死を占める[9](→#飲酒と社会)。またその効用も副作用も、(主に遺伝的な)個人差が大きいことで知られる。

このように及ぼす影響が大きいため、2010年に世界保健機関(WHO)の「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が採択されており、また政府の税収確保のため、酒の製造および流通販売)は、多くの国において法律により規制されている(→#法律)。宗教ごとに酒の扱いは異なっており、儀式に用いられたり、神への捧げ物とされていたり、また身を清め神との一体感を高めるための飲み物とされていたりする。宗教によっては、飲酒を禁じているものもある(→#宗教と酒)。


注釈

  1. ^ 日本語での用法。ハードドリンクとは コトバンク

出典

  1. ^ 飲酒 厚生労働省 e-ヘルスネット(2021年12月26日閲覧)
  2. ^ 御酒とは コトバンク
  3. ^ 酒類とは コトバンク
  4. ^ アルコール飲料とは コトバンク
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    【発表論文】渡辺大輔; 橋本渉 (06 2023). “ワイン酵母が自発的にブドウを発酵するための条件を解明 --ワイン誕生の謎に迫る発見--. 京都大学プレスリリース. 2023-06-21 [Adaptation of yeast Saccharomyces cerevisiae to grape-skin environment]” (英語). Scientific Reports (Springer Nature) 13. hdl:2433/283428. ISSN 2045-2322. CRID 1050015100311485696. https://hdl.handle.net/2433/283428. 
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  54. ^ 養命酒製造の公式ホームページにある『「薬用養命酒」に関するお問い合わせ』の「未成年が飲んでも大丈夫?」によれば、『「薬用養命酒」にはアルコール分が14%含まれていますので、20歳未満の場合は服用できません。』の旨が記載されている。
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  61. ^ 不飲酒戒 -なぜ酒を飲んではいけないのか * 法然『百四十五箇条問答』真言宗泉涌寺派大本山 法楽寺






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