ローマ字 表記法

ローマ字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/06 05:07 UTC 版)

表記法

各種方式の共通点と相違点を概説する。

母音

アイウエオ」段母音を「aiueo」で表す。

子音と拗音

原則として、「、ガ、ザ、ダ、バ、パ」行子音を「k, s, t, n, h, m, y, r, w, g, z, d, b, p」で表す。拗音(開拗音)は「子音字 + y + 母音字」で表す。

日本式では現代仮名遣いまたは歴史的仮名遣いに基づき、「」「」「」を「di」「du」「wo」と表記するが、訓令式やヘボン式では表音式仮名遣い(表音主義)に基づき、「ヂ→ジ」「ヅ→ズ」「ヲ→オ」と置換され、ローマ字表記もこれに従って訓令式では「zi」「zu」「o」で、ヘボン式では「ji」「zu」「o」で表す。

ヘボン式では英語発音への近似性から「」を「shi」、「」を「chi」、「」を「tsu」、「」を「fu」、「」を「ji」、サ行拗音を「sh-」、タ行拗音を「ch-」、ザ行拗音を「j-」で表す。

撥音と促音

原則として、撥音「」は「n」で表す。例外としてヘボン式等では、「b, p, m」の前に限り「m」を使う。

撥音の後に母音やヤ行音が来てナ行音と区別できなくなった場合は、間に「’」(アポストロフィ)を挿入する。

(例)shin'ai(親愛、shinaiだと竹刀と誤読の恐れ) shin'yō(信用、shinyōだと「し尿」と誤読の恐れ)

原則として、促音は直後の子音字を繰り返す。例外としてヘボン式等では、直後が「ch」のときは「tch」とする。語末の促音(感嘆詞「あっ (a')」「それっ (sore')」などに現れる)表記については、どの方式でも公式には定められていない。

長音

/e/長母音のうち「エ段 + イ」でカナ表記されるものは、カナ表記どおり「ei」で表す[要出典]

そのほかの長音のローマ字表記は極めて混乱している。→長音符#ローマ字表記を参照。

  • アクサン付き母音字を使う。マクロンサーカムフレックスが使われる(公式)。
  • 完全に無視する(通用)。
  • 母音字の後に「h」を付ける(ただしオ段の長音のみに適用)。
  • カナ表記通りに表す(振り仮名式)。

これらが混用されることもある。

助詞

助詞の「は」「へ」「を」は、表音式仮名遣いを採用する訓令式、ヘボン式ではそれぞれ「わ (wa)」「え (e)」「お (o)」と書くが、現代仮名遣いまたは歴史的仮名遣いに基づく厳密翻字では表記通りに「は (ha)」「へ (he)」「を (wo)」と書く。

対比

ここでは、「し・ち・つ・ふ・じ」の表記から、大きく日本式系とヘボン式系に分けた。

方式 てぃ おう おお んあ
(ん+母音字)
んば
(ん+マ行・バ行・パ行)
っち を(助詞)
発音(参考) [ɕi] [tɕi] [tsɯ̈] [ɸɯ] [dʑi] [dʑi] [ti] [oː] [oː] [ũ͍a] [mba] [tːɕi] [o]
音素(参考) /si/ /ci/ /cu/ /hu/ /zi/ /zi/ /ti/ /oh/ /oh/ /na/ /nba/ /qci/ o
日本式系 訓令式(第1表) si ti tu hu zi zi(di) ô ô n'a nba tti o
ISO si ti tu hu zi zi(di) ô ô n'a nba tti o
ヘボン式系 英米規格 shi chi tsu fu ji ji ti ō ō n'a nba tchi o
外務省ヘボン式※1
(旅券申請)
shi chi tsu fu ji ji tei※1 o o・oo※2 na mba tchi o
道路標識ヘボン式※3 shi chi tsu fu ji ji o o n-a nba tchi
駅名標ヘボン式※3 shi chi tsu fu ji ji ō ō n-a※4 mba tchi
※1 外国式氏名の場合のみ、ジェ→JIE、チェ→CHIE、ティ→TEI、ディ→DEI、デュ→DEYU、ファ→FUA、フィ→FUI、フェ→FUE、フォ→FUO、ヴァ→BUA、ヴィ→BUI、ヴ →BU、ヴェ→ BUE、ヴォ→BUOも使用される。また、これ以外の方式を使用する場合には、申請書を提出して許可を受ける必要がある(たとえば、「さとう "Sato"」を"Satoh"、「ようこ"Yoko"」を"Yohko"、「おおさわ"Osawa"」を"Ohsawa"とするように、oの後につく長音を"h"で表したい場合)。
※2 苗字または名の最後が「オオ」音であり、そのヨミカタが「オオ」の場合、"oo"のつづりとなる。(例:「高遠」(たかとお) = "Takatoo")。
※3 英語由来の外来語普通名詞についてはそのまま英語表記が使われる(例:商業施設名などの「○○シティ」 = "○○ City")
※4 田園調布駅の例:"Den-en-chōfu"

  1. ^ New Oxford American Dictionary 3rd edition, Oxford University Press, 2010
  2. ^ 朝鮮語でもラテン文字のことを一般に「ローマ字」(로마자)と呼ぶことが多く、中国語では「國語羅馬字」、「教會羅馬字」のように表記法まで含め「ローマ字」と呼ぶことがある。「國語羅馬字」、「教會羅馬字」は日本語でも通常「国語ローマ字」、「教会ローマ字」と訳される。
  3. ^ ロドリゲス『日本大文典』土井忠生訳、三省堂、1955年,3頁
  4. ^ ロドリゲス『日本語小文典(上)』池上岑夫 訳、岩波書店(岩波文庫)1993年、20頁、 ロドリゲス『日本語小文典(下)』池上岑夫 訳、岩波書店(岩波文庫)1993年、243頁
  5. ^ a b 杉田幸子『ヘボン博士の愛した日本』いのちのことば社フォレストブックス、p.72.ISBN 978-4264024231
  6. ^ 内閣訓令第3号 http://xembho.s59.xrea.com/siryoo/naikaku_kunrei_d3g.html
  7. ^ 『国語シリーズNo.23 ローマ字問題資料集 第1集』1955年(昭和30年)3月30日、p.175.
  8. ^ 実例「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する技術細則
  9. ^ Arte da Lingoa de Iapam、ロドリゲス『日本語小文典(上)』池上岑夫 訳、岩波書店(岩波文庫)1993年、259頁の脚注
  10. ^ ロドリゲス『日本大文典』土井忠生訳、三省堂、1955年、224頁
  11. ^ ポルトガル語: Arte Breve da Lingoa Iapoa
  12. ^ ロドリゲス『日本語小文典(上)』池上岑夫 訳、岩波書店(岩波文庫)1993年、45~73頁
  13. ^ "ISO 3602:1989 - Documentation -- Romanization of Japanese (kana script)" ISO
  14. ^ 参照:英国規格(BS 4812 : 1972)―要約
  15. ^ ANSI (1972年). “ANSI Z39.11 - 1972 System for the Romanization of Japanese”. National Information Standards Organization. 2013年7月19日閲覧。
  16. ^ Multilingual(箕面市公式サイト)
  17. ^ 平成21年8月19日開催分意見概要(箕面市公式サイト)
  18. ^ 氏名に「オウ」音等長音を含む方(パスポート)愛知県
  19. ^ 文部省 小冊子「ローマ字教育の指針 ローマ字文の書き方」 1949年(昭和24年)







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