ローマ字における表記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 05:37 UTC 版)
ア段、イ段、エ段の長音はヘボン式ではそれぞれ “aa, ii, ei” と表記し、訓令式ではサーカムフレックスを用い表記する。 ウ段、オ段の長音の表記はいくつかある。例として「東京」のローマ字表記を挙げる。このうち、1.と4.(大文字のみ)が内閣告示における公式の表記であるが、2.や3.の表記も広く使われている。 母音字の上にサーカムフレックス(山形)をつける(いわゆる訓令式)。 例:Tôkyô各種公式規格では一般的な記法だが、Microsoft Windowsでは入力に難があるためあまり使われない。 macOSでは、「Option + I」を押した後に、A, I, U, E, Oキーを押すことで入力できる。 母音字の上にマクロン(横棒)をつける(ヘボン式)。 例:Tōkyō前項と同様の事情がある。ただし、駅名・地名の表記にはこの表記が多く使われる。 長音を無視する。 例:Tokyo1.や2.のような特殊記号を用いる表記以外では最も一般的であり、道路標識や駅名表示、ドメイン名をはじめとし、公的機関による外国人向け案内など、使用例は枚挙に暇がない。2.のような長音を表記した案内を、更新時に長音を無視したものに変更する例も見られる(東京メトロなど)。パスポートの「ヘボン式」による氏名表記には原則としてこの手段によることが求められる。 一方、通常音との区別がつかないため、日本語の正確な発音の情報は失われ、使用例によっては誤読や混同に繋がる場合がある。例:「ほこ」(矛)・「ほうこ」(宝庫)・「ほこう」(歩行)・「ほうこう」(方向)は、2.の記法ではそれぞれhoko・hōko・hokō・hōkōとして区別可能だが、この記法ではいずれもhokoとなり、区別がつかない。 同じ母音字を続けて書く(代書法、JSLローマ字)。大文字の場合は、これが内閣告示における公式の書き方の一つである。 例:Tookyoo、TOOKYOO特殊記号を用いずに長短の弁別が可能で簡便であるが、あまり普及していない。つづりが長くなることや切る位置が分からない場合があること(例:soooo(相応))や、“oo” は英語では「ウー」と読まれることが多いため、soooo(相応)はスー、Tookyoo(東京)だとトゥーキューと誤読されてしまうという割と深刻な問題がある。 hを母音字に後続させる。 例:Tohkyohドイツ語表記風でもあり、パスポート用のローマ字に許された綴り方の一つ。後に母音や"y"が続く場合、は行との混同を避けるためハイフンかアポストロフィーを入れるのが望ましい。例:choh-on, choh'on(長音) 固有名詞のオ段長音に限ってはよく見られる(ローマ字#野球選手式長母音参照)。それ以外の場合には他の方法によるのが一般的である。 前述の通りドイツ語風表記であるため日本人には馴染みが薄く、一見して東京を指していることが分かりにくいという問題がある。 現代仮名遣いをそのままローマ字に綴る。(振り仮名式、99式) 例:Toukyou非標準的な表記であるが、日本語の仮名表記になじんでいる者にとっては直観的で使いやすく、コンピュータのローマ字入力と同じ方式でもあることから、近年多用される傾向にある。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}逆に、かな表記を知らない外国人(たとえば [u:] 音を ou と綴ることに慣れているフランス人や一部のアラブ人など)にとっては直観的に身につけにくい書法であるともいえ、意図したとおりに伝わらない、あるいはかな遣い通りに書いてくれない可能性もある[要出典]ので、注意が必要である。 母音字の後にハイフン(-)を書く。 例:To-kyo-非標準的な表記で、ほぼ使用されないが、ハイフンが長音符と似ているためしばしば使われる。語尾の長音のみ省略してTo-kyoのように表記する場合もある。 正確に日本語の発音をローマ字で表記したうえで伝えたい場合は、規格として定められた1.あるいは2.の方法の手段を取ることが無難である。例えば、上記それぞれの場合において「ちょうおん『長音』」という言葉をローマ字で表記する場合、定められた表記は「tyôon」および「chōon」である。(chon,Chooon, chouon, chohon, choonなどでは意図どおりに伝わらない可能性がある。)
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