ローマ字の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 03:07 UTC 版)
日本国外では英語を中心とするラテン文字言語において日本語を表記する際に用いる。発音表記としての意味も担うことが多い。使用はもっぱら日本語の単語や語句を引用する場合に限られ、日本語の文章全体がローマ字で表記されるのはまれである。たとえば、国内外の図書館で、日本語の書籍名を登録する際に用いられる。日本語の文字を扱えないコンピュータ環境などで日本語を表記する場合にも用いる。 ヘボン式、訓令式など複数の表記法や規格が存在する(後述)。国内の公文書では訓令式を使用することが多い。しかし、一般には特定の表記法が厳密に守られることはなく、個々の判断で用いられる。また、表記法にはない独自の表記が使われることがある。表記の乱れは長音表記や分かち書きでは甚だしい。ローマ字は和文の転写に過ぎず、元の表記が推察できさえすれば、誤りや乱れは特に問題とされない。 例えば「おー」という音に o, ō, ô, oh, ou, oo の6通りが当てられたり、本来は zyo または jo と表記すべき「じょ」という音に jyo という文字が、chu または tyu であるべき「ちゅ」の音に cyu の文字が当てられたりすることがある。例えば、大阪府の箕面市では「Minoo」ではなく「Minoh」を公式のローマ字表記として使っている。箕面市長の倉田哲郎は(おそらく英語圏の外国人を念頭に)「『minoo』だと外国人は『ミヌー』と読んでしまうのです。ですからこれは間違いだと思います。」と発言している。また、雑誌『dancyu』は「ダンチュー」(拗音+長音)と読ませている。 人名表記において英語・表記発音などを模した表記もよくなされる。例としてSheena Ringo、Joe Hisaishi、George Tokoro、Amy Yamada、Kie Kitano、Shioli Kutsuna、Léonard Foujitaなど。パスポートの氏名表記は長音符号を付けないのが原則であり、小野(おの)・大野(おおの)は、ともに表記が ONO になる。ただし、大野には申請によって OHNO が許されるが、そう綴った場合には制約も生じる。これら表記の不統一が、コンピュータで検索する際などには障害ともなる。 こういった事例は中国人、韓国人名のローマ字表記(李姓:Li、Lee、Rhee、Yi、I、朴姓:Pak、Park、張姓:Zhang、Jang、Chang、盧姓:Lu、Loo、(韓国語原音のNoではなく)Rohなど)や、本国ではキリル文字を使うロシア人、ブルガリア人名のローマ字表記(Иванов姓:Ivanov、Ivanoff など)においても見られる。 ラテン文字を使う欧米の大半では、人名の姓を後に「名-姓」と表記する。現在、日本でも同様にローマ字での氏名表記は「名-姓」と表記される事が一般的であるが、政府は言語や文化の多様性を意識し、日本の伝統的な人名表記である「姓-名」とすることが大切だとし、公用文等の日本人の姓名のローマ字表記について、差し支えのない限り「姓-名」の順を用いるようにするとした。ただし、国際機関で指定された様式があるなど特段の慣行がある場合を除く。また、姓と名を区別するために「YAMADA Haruo」の様に姓を全て大文字とするとした。(国語審議会#日本人名のローマ字表記も参照のこと。)
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