訓令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/15 00:08 UTC 版)
訓令(くんれい)とは、行政機関(上級官庁)が所管の別の行政機関(下級官庁)及び職員に対して有する指揮監督権の一つ[1]。
概要
上級官庁が下級行政庁および職員に対して発する、職務遂行・権限行使を指図する命令である[1][2]。
大臣・委員会・各庁の長官が訓令を発することができることは、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)の第14条第2項において明文で規定されている[2][3]。根拠規定がなくても、行政組織の一体性や階層性の原則上、当然に認められている[2][3]。
訓令の公表は義務ではないが[3]、中には公共性が強いなどの理由で官報や各行政機関のホームページ等に掲載されるものもある。訓令は法令番号と同様の訓令番号を持つ(例:平成30年法務省刑総訓第3号)。
訓令の種類
訓令は発出する機関により以下のような種類に分けられる。
地方公共団体(及びその機関)にも訓令を発出するものがある。
訓令の効果
官庁及び職員への効果
訓令は、上級官庁から下級官庁及び職員への命令であり(上司による命令となるもの)、下級官庁及び職員はこれに従わなければならない。仮に訓令が違法なものであったとしても、無効でない限り下級行政庁を拘束するというのが通説となっているが、訓令に違反した行政行為が当然には違法になるわけではない[2]。
国民への効果
訓令は、上司から所管の諸機関及び職員に対して行われるものであっても国民に対して行われるものではなく、狭義の法規として直接的に国民を拘束することはない[2][4]。 ただし、ローマ字#日本式および訓令式や各種申請の際の審査基準のように、訓令が間接的に国民に影響を及ぼすことがある。
訓令と類似したものとの関係
訓令と法令
訓令と法令とは異なるものであるが、法令としての性質を有する訓令や法令を補完する役割を果たす訓令も存在する。
訓令と通達
国家行政組織法14条2項は、「各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる」として訓令と通達を使い分けて規定しているが、両者は相排斥する概念ではなく、実質的意味の訓令が文書によって示達された場合、これを通達というのが一般的理解である[2][5]が、防衛省では訓令と通達は区別されており、達も使用されている[6]。
一般的傾向としては、文書番号で「訓令」と題されている場合は、法令と同様の条文形式による場合が多い。例:ダム検査規程(昭和四十三年二月十七日建設省訓令第二号)
通達の場合は、通達内容に応じて任意の文章形式である。例:道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令の施行について(昭和四二年一一月一六日建設省道政発第八三号)
訓令と職務命令
訓令は、上級官庁が下級官庁又は職員に権限行使の指揮のために行う命令であって、公務員個人の職務に関して発する職務命令(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第98条1項)は必ずしも訓令ではないとされる[2][5]。
訓令は、行政組織内部における規律(命令)であり、一般の国民に対しては狭義の法規の性質を持たないものであるのが原則であるが、公務員に対してはその権限ある上司から出された職務の範囲内の訓令は職務上の命令として有効であり、部下である公務員は、忠実にこれに従う義務がある[注釈 1]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b "指揮監督権". ブリタニカ国際大百科事典. コトバンクより2022年5月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g "訓令". 日本大百科全書. コトバンクより2022年5月5日閲覧。
- ^ a b c "訓令". 世界大百科事典. コトバンクより2022年5月5日閲覧。
- ^ "訓令". 百科事典マイペディア. コトバンクより2022年5月5日閲覧。
- ^ a b "訓令". ブリタニカ国際大百科事典. コトバンクより2022年5月5日閲覧。
- ^ “防衛省における文書の形式に関する訓令(昭和38年防衛庁訓令第38号)”. 防衛省情報検索サービス (1963年8月14日). 2022年5月5日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 所管の法令・告示・通達等(電子政府の総合窓口)
- 訓令・通達・通知の調べ方 (国立国会図書館 リサーチナビ)
- 『訓令』 - コトバンク
訓令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 12:27 UTC 版)
施行 訓令 変更内容 2001年3月31日 平成12年12月21日矯保訓第3789号 警備服用階級章制定(制服に制定されている主任看守部長の階級章については設定無し) 2011年4月1日 平成23年3月14日矯成訓1428法務大臣訓令 常装として着装される被服の名称を通常勤務服に変更、階級章を警備服と同一にする。記章は任用研修課程高等科又は任用研修課程中等科、法務教官応用課若しくは法務技官応用課を修了した主任矯正処遇官及び係長に着装させる。主任看守部長の記載全て無くなる。 2014年4月1日 平成26年2月13日矯成訓1 通常勤務服の階級章変更、副看守長の階級章を主任矯正処遇官及び係長にある者とそれ以外に分ける。警備服の階級章は変更無し、但し主任矯正処遇官及び係長である副看守長は階級章の上に記章を着装する。 2020年4月1日 令和2年3月30日矯成訓1 通常勤務服階級章副看守長の区分を任用グループの区分及び監督業務従事者とそうでない者との区分を明確にするため、中等科、応用科及び高等科グループの副看守長、監督業務に従事する副看守長、監督業務に従事しない副看守長の3区分に変更した。記章は、主任副看守長に着装する。 警備服・特別機動警備隊警備服階級章 上記通常勤務服と同様、副看守長の区分変更に伴う製式の変更のほか、記章の着装、通常勤務服の階級章と整合するよう、矯正監、矯正副長、看守長等の階級章の製式を変更した。
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