まんにょう‐がな〔マンエフ‐〕【万葉仮名】
まんよう‐がな〔マンエフ‐〕【万葉仮名】
読み方:まんようがな
漢字の表す意味とは関係なく、漢字の音や訓をかりて国語の音を表記するのに用いた漢字。万葉集に多く用いられているので、この名がある。字音によるものとして、阿米(アメ・天)・久尓(クニ・国)・許己呂(ココロ・心)、訓によるものとして、名津蚊為(ナツカシ)・八間跡(ヤマト)・夏樫(ナツカシ)・牡鹿(シカ・助動詞)・喚雞(ツツ・助詞)などの類。なお、訓によるものには、十六(シシ、四四十六の意)・山上復有山(イヅ・出、「出」が「山」を二つ重ねた形になっているところから)などの複雑な使い方もある。なお、1字1音節によるものから、のちにひらがな・かたかなが発生した。真仮名。まんにょうがな。
万葉仮名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/05 15:56 UTC 版)
万葉仮名(まんようがな)は、古代の日本で日本語を表記するために漢字(真名)の音を借用(仮借)して用いられた文字である。片仮名や平仮名の誕生前の日本において、漢字のみで日本語を記述するために用いられ[1]、『萬葉集』(万葉集)での表記に代表されるため万葉仮名と呼ばれる。
注釈
- ^ 大野晋「仮名文字・仮名文の創始」所収。この表は推古期遺文、古事記、日本書紀、万葉集の分で、小松茂美『かな その成立と変遷』(岩波新書、1968年)が「973」とカウントした。
- ^ 503年説や百済製説も有力。
- ^ 伊予道後温湯碑、法隆寺金堂薬師如来像光背銘、法隆寺金堂釈迦三尊像光背銘など。
- ^ 大阪市指定文化財[1]。前期難波宮(652年)より古い層から出土した。
- ^ 例:久羅下那州 多陀用弊流(くらげなす ただよへる)[4]
- ^ 例:夜久毛多都 伊豆毛夜幣賀岐(やくもたつ いづもやへがき)[5]
- ^ 例:波魯波魯你 渠騰曽枳舉喩屢 之麻能野父播羅(はろはろに ことそきこゆる しまのやぶはら)[6]
- ^ 『古事記』は呉音のみを用いるのに対し、『日本書紀』は漢音も用いていることは既に本居宣長が『古事記伝』の総論[2]に指摘している[10]。
- ^ ほとんどが韻尾の省略である。
- ^ 『万葉集』で多く用いられる。
- ^ 金・白は陰陽五行思想で秋に当たることから。
- ^ 例は非常に少ない。
- ^ 例:之努比鶴鴨(しのびつるかも)[14]
- ^ 例:馬聲蜂音石花蜘蟵荒鹿(いぶせくもあるか)[17]。
- ^ 橋本は言及していないが、この他に3字が4音を表すもの…三五月(もちづき)、4字で2音を表すもの…三伏一向(つく)、一伏三向(ころ)、5字で2音を表すもの…山上復有山(いで)などがある。これらはほとんど戯書の類である。
出典
- ^ a b 国史大辞典 万葉仮名
- ^ 大辞林 片仮名
- ^ 沖森「万葉仮名」p318。
- ^ 上つ巻「天地初発」
- ^ 上つ巻「八雲立つ出雲」
- ^ 巻第24「皇極紀」
- ^ 『万葉集』巻17
- ^ 『万葉集』巻1
- ^ 大野晋「仮名文字・仮名文の創始」p12。
- ^ 森博達『日本書紀の謎を解く』p63。
- ^ 『日本語大事典』(朝倉書店、2014年)p1949。『国史大辞典 13』p248。
- ^ 『和歌大辞典』(明治書院、1986年)p923。『日本史大事典 6』(平凡社、1994年)p384。
- ^ 『日本史大事典』p1949。以下の用例は同書の他、『和歌大事典』、『万葉集ハンドブック』、『日本語大事典』より。
- ^ 『万葉集』巻16
- ^ 参考:万葉集の戯書[3]。
- ^ 『日本文学大辞典 7』(新潮社、1951年)p13。用例は同書とは一致しない。
- ^ 『万葉集』巻12
- ^ コトバンク[4]。
万葉仮名(原文)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 17:24 UTC 版)
弥蘓知阿麻利 布多都乃加多知 夜蘓久佐等 曽太礼留比止乃 布美志阿止々巳呂 麻礼尓母阿留可毛 「蘓」は「蘇」の別字体。「蘓」と「曽」は現代の平仮名では共に「そ」と表記されるが、奈良時代には別の発音であった。 「巳」は「己」に同じ。
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万葉仮名(原文)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 17:24 UTC 版)
於保美阿止乎 美尓久留比止乃 伊尓志加多 知与乃都美佐閇 保呂歩止曽伊布 乃曽久止叙伎久 「曽」と「叙」は現代の平仮名では共に「ぞ」と表記されるが、奈良時代には別の発音であった。
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万葉仮名
出典:『Wiktionary』 (2018/07/05 02:02 UTC 版)
名詞
- 黎明期の仮名。独自の文字を持たず。全て漢字で表記する。真仮名(まがな)、真名仮名(まながな)、男仮名、借字ともいう。音仮名と訓仮名の2種から構成され、音仮名は六書の仮借とほぼ同じ用法だが、日本語に合わせて1字1音になっているため、必ずしも漢字の音読みとは一致しない。訓仮名に至っては1字が1~3音、さらに2字が1音、3字が2音を表すことなどがある。代表例の万葉集のほか、記紀でも固有名詞や収録された和歌を記すのに使われている。平仮名、片仮名が分化した後も宣命や真名本などに用いられた。
語源
用例
佐泥佐斯 | 佐賀牟能袁怒邇 | 毛由流肥能 | 本那迦邇多知弖 | 斗比斯岐美波母 | [1] |
さねさし | 相模の小野に | 燃ゆる火の | 火中に立ちて | 問ひし君はも |
関連語
参照
「万葉仮名」の例文・使い方・用例・文例
- 万葉仮名で書く際,その字の訓を音節にあてはめて用いた漢字
- 上代特殊仮名遣いという,万葉仮名文献に存する仮名遣い
- 万葉仮名を草書体に書きくずしたもの
- 万葉仮名という,日本語を記述する表音文字
- 万葉仮名の草書体から作られた日本の音節文字
- 万葉仮名の記された木簡としては今までに発見された中で最古のものだ。
- 11文字の万葉仮名が墨で書かれている。
- 研究者の1人は,「万葉仮名は7世紀後半以降に使用されていたと考えられていた。だが,この発見は万葉仮名がそれより20~30年前に使用されていたことを示している。」と話した。
万葉仮名と同じ種類の言葉
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