能とは?

のう【能】

[音]ノウ(呉) [訓]あたう よく よくする

学習漢字5年

物事なしうるだけの力がある。できる。「能力/可能・全能万能不能不可能」

物事成し遂げる力。はたらき。「官能機能技能効能才能多能知能本能無能有能

特定の技術達者なこと。「能筆能弁芸能一芸一能

能楽のこと。「能面演能

能登(のと)国。「能州加越能

名のり]たか・ちから・のり・ひさ・みち・むね・やす・よし


のう【能】

ある物事なしとげる力。はたらき能力。「人を動かす能にたける」

ききめ。効能。「能書き

技能また、誇ったり取り立てていったりするのにふさわし事柄。「に向かうだけが能ではない」

日本古典芸能の一。中世に猿楽から発展した歌舞劇。能は歌舞劇の一般名称で、田楽延年などの能もあったが、猿楽の能がもっぱら盛行したため、それを単に能と称した。室町時代観阿弥世阿弥父子大成江戸中期にほぼ現在の様式となった。役に扮する立方(たちかた)と声楽をうたう地謡方(じうたいかた)、器楽奏する囃子方(はやしかた)があり、立方シテ方ワキ方狂言方地謡方シテ方囃子方笛方小鼓方大鼓方太鼓方がつとめる。現在、その流派シテ方五流ワキ方三流狂言方二流囃子方に一四流がある。能の詞章謡曲といい、ふつう脇能物修羅(しゅら)物・鬘(かずら)物・雑物切能(きりのう)物の五つ分類し、現在約240曲が上演可能である。

[補説] 書名別項。→能


のう【能】

英文学者能楽研究家野上豊一郎による評論副題は「研究発見」。昭和5年(1930)刊。


え【得/能】

[副]動詞「う(得)」の連用形から》

(下に打消しの語または反語伴って不可能の意を表す。…できない。うまく…できない

若者挨拶の言葉も—言わないような人で」〈有島溺れかけた兄弟

「数ならぬ身は、—聞き候はず」〈徒然・一〇七〉

可能の意を表す。…できる。うまく…できる。

面忘れだにも—為(す)やと手(た)握り打てども懲りず恋といふ奴(やっこ)」〈・二五七四〉


あとう あた・ふ 【能】

〔自ハ四〕 ⇒あたう(能)


のう【能】

〔名〕

① よく事をなし得る力。才能能力はたらき

平治(1220頃か)上「文にもあらず、武にもあらず、能もなく芸もなし」〔書経大禹謨〕

はたらきのある人。才知ある人。〔礼記‐大博〕

技芸芸能また、芸能技芸としてほこるべき事柄

今鏡(1170)八「若宮申ししに、御のうも御みめもしかるべき事と見えて」

④ (①から) 特に誇ったり、取りたてていったりするのにふさわし事柄

滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「むごくあたるばかりを能(ノウ)にして、ひどいめにあはせる亭主(ていし)もつらのにくいもの也」

(5) ききめ。効能効験。しるし。

雑俳二重袋1728)「ふぐ汁の能(のウ)を裸で寐て見せる」

(6) 日本古典芸能一種中世に猿楽から発展した歌舞劇。もと田楽の能、幸若の能、猿楽の能などがあったが、のち他のものが衰え猿楽だけが盛んに行なわれ、「猿楽の能」の略称となった。→能楽

風姿花伝140002頃)二「ふしぎに、能の位上らねば、直面見られぬ物也」


ようく【善・能】

〔副〕 (「よく」を強めていう語) 不足のところがないように。十分に。完全に。しっかり。

洒落本南閨雑話(1773)鋪の体「おかさんへも、よく申てくんなんし」


よっ【善・能】

〔副〕 「よく(善)」の変化した語。

*金刀比羅本平治(1220頃か)中「あっぱれ太刀三河守もよっきり給けり」


よっく【善・能】

〔副〕 (「よく(善)」の変化した語) 「よく」を強めた語。たいそうよく。十分に念を入れて。

玉塵抄(1563)一四「いかにもつつしんでよっく思案して」


よく【善・能】

〔副〕 (形容詞「よい」の連用形から)

① 十分に。念を入れて。また、巧みに。うまく。

正倉院文書762頃)万葉仮名文「いひね与久(ヨク)かそへてたまふへし」

評判記難波物語(1655)「淡路額つきあしく、目尻つり過ぎたり、能(ヨク)人にまはるよし当世傾城なり」

はやり唄(1902)〈小杉天外〉七「其事情を、お前の知ってる限、熟(ヨ)く悉しく話して遣るが可(い)い」

② ひどく。非常に。はなはだしく。大変。

万葉(8C後)二・一二八吾が聞きし耳に好(よく)似る葦のうれの足ひく吾が背つとめたぶべし」

浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「木像の顔が文三の欠伸をした面相に酷(ヨ)く肖(に)てゐるとか昇の云ったのが」

③ たびたび。ともすれば。しばしば。ちょくちょく。まま。

右京大夫集13C前)「なにとなきことを我も人もいひしをりおもはぬ物のいひはづしをしてそれをよくいはれしも」

負け犬(1953)〈井上友一郎〉「この種の印刷物ハガキはよく来る」

困難なことをなし遂げた時、あたりまえでは考えられないよう結果を得た時、喜ばしいことにでくわした時などの感嘆賞賛喜悦あるいは羨望気持表わす。よくもまあ。本当にまあ。よくぞ。

万葉(8C後)四・五二三「好(よく)渡る人は年にもありといふを何時の間にそも吾が恋ひにける」

人情本閑情末摘花(1839‐41)五「よく来たノウ此間うちから、衆人(みな)さんが大案じヨ」

(5) (④を否定的な意味でいう) 常識では考えられないような行為や言説が行なわれた時、それに対して非難軽蔑憎悪などの気持表わす恥ずかしくもなくまあ。まあぬけぬけと。よくもまあ。

源氏100114頃)竹河「うたての御達や、恥づかしげなるまめ人をさへ、よくこそ、おもなけれと、忍びのたまふなり」


え【得・能】

〔副〕 可能の意を表わす

① あとに肯定表現伴って用いる。よく…できる。→えも。

続日本紀天平宝字四年(760正月四日宣命「知る所も無く、怯(つたな)く劣(をぢな)き押勝が、得(え)仕へ奉るべき官にはあらず」

② あとに否定反語表現伴って用いる。とても…できない否定表現省略することもある。

万葉(8C後)四・五四三しかすがに 黙然(もだ)も得(え)あらねば わが背子が 行きのまにまに 追はむとは 千たび思へど」

源氏100114頃)横笛「ふかき夜のあはればかりは聞きわけど琴よりほかにえやはひきける」

③ ②が固定したため、必ずしも「え」を必要としない、可能の意味をもつ表現前に強調的に用いことがある

*虎寛本狂言縄綯室町末‐近世初)「山一つあなたで御ざらば、馬上でなくは得参られますまい」

[語誌]もともと単に可能の意を表わし、否定表現との呼応徐々に慣習化して固定した。この流れが、現代関西方言の「よう…ん」に連なっている。


あた・う あたふ 【能】

〔自ハ四〕 (あとに必ず打消伴って用いられたが、明治以後肯定形も見られる。従って、「あたは」「あたふ」の形だけ用いられる)

① 可能の意を表わす。できる。

(イ) 活用語連体形に「こと」や助詞「に」を添えた形に付く。

今昔1120頃か)二「程遙にして輙(たやす)く来り給はむに不能(あたは)じ」

平家13C前)一一「車は輪をめぐらす事あたはず」

(ロ) 活用語連体形直接付く。

小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「開明の世となるに及べば浮(フ)ヘイブルもまた変遷して多少進化なきあたはず」

(ハ) 動詞連用形に付く。肯定表現にも用いる、明治以後用法

露団々1889)〈幸田露伴〉一五「予は果して怒り能(アタ)ふ程の価値ある男なりや」

(ニ) (動詞付かないで) できる。なしうる。→あたう限り

明衡往来(11C中か)下本参内之次、可玉顔諸事一二謹言

② なるほどと合点がゆく理にかなう

*竹取(9C末‐10C初)「罪の限りはてぬればかく迎ふる、翁は泣きなげく、あたはぬ事也。はや返し奉れ

程度、状態などによく合う。適合する。相当する。

今昔1120頃か)二三「此(これ)汝が着(きる)物に不能(あたはず)」

仮名草子伊曾保物語(1639頃)中「わが身にあたはぬ事を願ふ事なかれ

[語誌]①は、漢文における「不能」「未能」等の漢字を「アタハズ」と訓じたところから生じた用法で、漢文訓読系の文献中心として用いられた。平安時代には、通常、「(…スル)コトアタハズ」「(…スル)ニアタハズ」の形式用いられたが、前者の方が古く後者新しい訓法とされる。また、後者の「(…スル)ニアタハズ」は、変体漢文訓点資料主として見られる訓法。なお、歌や物語などの和文では、これと同じ意味の表現として、「エ…ズ」「…アヘズ」が用いられた。


よう【良・善・能】

〔副〕 (「よく」の変化した語)

① 十分に。手おちなくまた、巧みに。上手に。

伊勢物語(10C前)二三この女、いとよう仮粧じて、うちながめて」

② 大変。ひどく。大層はなはだ

源氏100114頃)若紫「かぎりなう、心を尽くし聞ゆる人に、いとよう似たてまつれるが、まもらるなりけり

③ しばしば。ちょくちょく。まま。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「なんだナ、おめへ達ア能(ヨ)う喧嘩アするぜへなア」

④ 他の行為言説などに対す驚き賛嘆憤り非難などを表わす。よくもまあ。

*虎寛本狂言呂蓮室町末‐近世初)「ヤイ坊主能うちの人をたらいてそりおったな」

(5) 他の来訪に対して、それを喜び相手ねぎらう気持表わす

*虎明本狂言末広がり室町末‐近世初)「ようおじゃった」

(6) 別れに際して出て行く人に、道中で、つつがないことを祈り、十分気をつけることを、求め気持表わす

洒落本辰巳之園(1770)「アイおはばかり、申やした。よふ御出遊しませ」

(7) (あとに打消表現伴って不可能の意を表わす) …することができない。とても…できない。→補注。

狂言記1700)「南無三宝さしそこなふた、そりゃよふささぬは」

(8)推量または反語表現伴って) 容易にありえないことの意を表わす。どうしてなかなか。

狂言記胸突(1660)「よう、われがやうな物がゆるさうはいな」

[補注](7)は、上中古の副詞「え」にあたり室町時代には「よ」の形がある。これと、副詞「よく」の音便形との混交とも見られる


読み方:ノウnou

中世芸能の一。

別名 能楽


のう 【能】

仏教用語。ある動作主体となるものをいう。これに対し客体となるものを所という。これにより種々の熟語がある。能依所依依存するものとされるもの)、能縁所縁認識するものとされるもの)、能観・所観(見るものと見られるもの)、能帰・所帰(帰依するものとされるもの=凡夫と仏)、能化所化教化する者とされる者)、能詮所詮言い表す文句と言い表された理)など。能と所とを合して能所という。

読み方ノウ

能とは、幽霊精霊天女物狂いなどが登場する仮面劇です。

主役演ずるシテ方は、面(おもて)を身に付けることで、それらの役になりきります。
まるで、そうした人ならぬ存在が、面を通して憑依するように。

そこで語られるものは、執念妄念に彩られた心残り物語
死してなお続く苦しみ、死してなお忘れることのできない恋心運命翻弄されさまよう辛さ
亡者鬼 が登場する、おどろおどろしく悲し物語です。

また、一方で世の太平愛でるものや、天狗精霊龍神などが活躍するスペクタクル物語あり ます

これらの物語が、ふたつの形式で語られます。
一方は、現行能と呼ばれる現在進行形で語られるもの 。
もう一方は、夢幻能呼ばれる夢と現実混ざり合う幻想的なものです。

関連用語
面/狂言シテ能楽能楽堂


作者岡本喬

収載図書煩悩譚試文
出版社同成社
刊行年月2008.6


読み方
たくみ
のう
のうざき
のざき

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 02:53 UTC 版)

(のう)は、日本の伝統芸能である能楽の一分野。能面を用いて行われる。


  1. ^ 国指定文化財等データベース - 重要無形文化財 能楽
  2. ^ 『新版 能・狂言事典』、310頁
  3. ^ Le théâtre Nôgaku
  4. ^ 氷川まりこ・梅若六郎『能の新世紀』(小学館、2002年3月、ISBN 9784093431514


「能」の続きの解説一覧

出典:『Wiktionary』 (2021/08/11 23:48 UTC 版)

発音(?)

名詞

読みはすべて「のう」)
  1. 物事成し遂げることのできるはたらき
  2. ききめ。効能
  3. 得意とすること。自慢とすること。例:早いばかりがではない。
  4. わざ、芸能)の意。時代により、「猿楽の能」、「田楽の能」、「延年の能」のように用いられた。
  5. 鎌倉時代始まり現代まで続く、日本伝統演劇文学演劇舞踊声楽器楽要素を含む総合芸術である。また、部分的仮面劇である。猿楽、「猿楽の能」とも呼ばれる猿楽などは、今日では歴史的文脈でのみ使われる)。→能楽名詞)1,2。
    1. 能楽公演(能会)のこと。
      1. 能楽公演形式呼称構成要素薪能新春能、月並能、例会能、など。
      2. 能楽公演の名前を構成する要素。「東西交流能」、「南北月並能」、「富士能」のように、固有名詞化したり、シリーズ名としたりする。
    2. 現代の能会(番組)における上演形式分類上の「能」。半能舞囃子仕舞素謡、などに対して、一番(一曲)の演目を完全な形で上演することを言う。

関連語

[語義5]

接辞

  1. すぐれていること。例:能弁
  2. 主体的行為すること。例:能動
  3. 能登国のとのくに(今の石川県北部)の意。例:能州

副詞

  1. () 下に否定表現伴って不可能意味表す。~できない全く~しない。
  2. (よく) 下に肯定表現伴って可能意味表すできる。(動詞能動形であることを示す。)
    • く剛を制す

熟語


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