八島_(能)とは? わかりやすく解説

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八島 (能)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 10:58 UTC 版)

八島』(やしま)は、『平家物語』に取材したの作品。観世流では『屋島』。成立は室町時代。作者は世阿弥。複式夢幻能、修羅能の名作といわれる。『平家物語』の巻11「弓流しの事」などから取材され、屋島の戦いにおける源義経主従の活躍と修羅道に落ちた武将の苦しみが描かれている。


注釈

  1. ^ 金春流・金剛流・喜多流では「面白さよ」。梅原・観世監修 (2013: 419)
  2. ^ 典拠は「漁翁夜傍西巌宿、暁汲清湘燃楚竹」(柳子厚)。謡曲集 (1988: 330)
  3. ^ 『平家物語』では、屋島の合戦は元暦2年2月19日としている。梅原・観世監修 (2013: 418)梅原猛は、柳田国男が、旧暦3月18日は祀り手のいない怨霊が帰ってくる日であり、柿本人麻呂小野小町和泉式部の命日とされていると指摘していることを踏まえ、「八島」の作者は、あえてこの日を選ぶことで、怨霊として鎮魂されるべき人間として義経を描いているとする。梅原猛「世阿弥の能I――脇能と修羅能」(梅原・観世監修 (2013: 488))。
  4. ^ 義経の装束や、名乗りは、『平家物語』巻11(大坂越の事)に同様の記述がある。平家物語・角川文庫版 (179)
  5. ^ 宝生流・金春流・喜多流では「どうど落つれば」。梅原・観世監修 (2013: 419)
  6. ^ 『平家物語』巻11(弓流しの事)によれば、武蔵国の住人美尾屋みおのや十郎が馬を射られ、太刀を抜いたところに、長刀を持った平家方の武者が打ち掛かり、逃げようとした十郎の錏を3度つかみそこね、4度目につかんだ。すると錏が引き切れ、十郎は逃げおおせた。武者は上総悪七兵衛景清と名乗った。平家物語・角川文庫版 (187)
  7. ^ 『平家物語』巻11(嗣信最期の事)によれば、能登守教経が義経を射落とそうと狙ったのに対し、継信(嗣信)が義経の矢面に立ち、身代わりとなって射抜かれ、馬から落ちた。能登殿の童・菊王丸がその首を取ろうと飛びかかったところ、継信の弟佐藤忠信が弓でこれを射抜いた。教経は右手で菊王丸をつかんで船に投げ入れたが、菊王丸は深手で死んだという。平家物語・角川文庫版 (182)
  8. ^ 『平家物語』巻11(逆櫓の事)に、義経が都を立って屋島に向かうため摂津国渡辺に逗留した際、梶原景時が,退却時のために船に逆櫓を付けたいと進言したのに対し、義経が、退却のための逆櫓を付けることに反対し、景時が義経を「猪武者」と罵った話がある。梅原・観世監修 (2013: 418)平家物語・角川文庫版 (173)
  9. ^ 『平家物語』巻11(弓流しの事)によれば、義経が弓を取り落とし、味方が「ただ捨てさせたまえ」と言うのを聞かずに取り戻した。側近が、命には代えられないと諌めたのに対し、義経は、「叔父源為朝が使っていたような強い弓であったら、わざとでも落としただろうが、自分の張りの弱い弓を敵が取り上げ、源氏の大将軍の弓にしては弱い弓だと嘲弄されるのが悔しさに、命に代えて取ったのだ」と述べた。平家物語・角川文庫版 (188)
  10. ^ 「水や空空や水とも見えわかず通ひて澄める秋の夜の月」(『新後拾遺和歌集』詠み人知らず)を引いている。梅原・観世監修 (2013: 419)
  11. ^ 地名の高松を掛けている。梅原・観世監修 (2013: 419)

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