鉢木とは? わかりやすく解説

はちのき【鉢木】

読み方:はちのき

謡曲四番目物零落の身の佐野源左衛門尉常世は、大雪の夜、旅僧に身をやつした北条時頼泊め秘蔵鉢の木を焚(た)いてもてなしいざ鎌倉のときの決意を語る。後日、それが報いられ旧領回復鉢の木にちなむ三領地を与えられる


鉢木

読み方:ハチノキ(hachinoki)

初演 寛文1.8(江戸鶴屋勘三郎座)


鉢木

読み方:ハチノキ(hachinoki)

初演 宝永4.11(江戸市村座)


鉢木

読み方:ハチノキ(hachinoki)

分野 謡曲

年代 成立年未詳

作者 作者未詳


鉢木

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 13:36 UTC 版)

鉢木の一場面(『能楽図絵』、国立国会図書館デジタルコレクション)
舞台は前半が上野国、後半が鎌倉とある。
鉢木の一場面(東京都立図書館蔵)
上の筋書きに「下野佐野」と見える。
雪道を行く最明寺時頼入道こと北条時頼(『大日本名将鑑』)
鉢木を手折るのを時頼が見ている場面。月岡芳年作。

鉢木(はちのき)は、の一曲。観阿弥世阿弥作ともいわれるが不詳。

概要

増鏡太平記に記された、北条時頼執権を退いた晩年に諸国を遊行した伝説から派生した筋書きだが、原典にはこの話の記述はない。早くから人形浄瑠璃義太夫に翻案され、元禄時代には近松門左衛門が題材にして「最明寺殿百人上﨟」を書き、享保期には「北条時頼記」が大当りをとっている。歌舞伎では中村座の「女鉢木三鱗」、江戸市村座の「鉢木大鑑」等々の演目に取り入れられて人気を呼んだ。また大正期から昭和初期にかけて使用された尋常小学国語読本・巻十にも「鉢の木」が掲載され、誰でも知る有名な話になった。

栃木県の小学校では現代でも道徳教育の題材として用いられており、相手の立場に立った考え方や、親切心、思いやりの心を育むことをねらいとしている[1]

内容

ある大雪のふる夕暮れ、佐野の里[2]の外れにあるあばら家に、旅の僧が現れて一夜の宿を求める。住人の武士は、貧しさゆえ接待も致されぬといったん断るが、雪道に悩む僧を見かねて招きいれ、なけなしの粟飯を出し、自分は佐野源左衛門常世といい、以前は三十余郷の所領を持つ身分であったが、一族の横領ですべて奪われ、このように落ちぶれたと身の上を語る。噺のうちにいろりが尽きて火が消えかかったが、継ぎ足す薪もろくに無いのであった。常世は松・梅・桜のみごとな三鉢の盆栽を出してきて、栄えた昔に集めた自慢の品だが、今となっては無用のもの、これを薪にして、せめてものお持てなしに致しましょうと折って火にくべた。そして今はすべてを失った身の上だが、あのように鎧となぎなたと馬だけは残してあり、一旦鎌倉より召集があれば、馬に鞭打っていち早く鎌倉に駆け付け、命がけで戦うと決意を語る。

年があけて春になり、突然鎌倉から緊急召集の触れが出た。常世も古鎧に身をかため、錆び薙刀を背負い、痩せ馬に乗って駆けつけるが、鎌倉につくと、常世は北条時頼の御前に呼び出された。諸将の居並ぶ中、破れ鎧で平伏した常世に時頼は「あの雪の夜の旅僧は、実はこの自分である。言葉に偽りなく、馳せ参じてきたことをうれしく思う」と語りかけ、失った領地を返した上、あの晩の鉢の木にちなむ三箇所の領地(加賀国田庄、越中国井庄、上野国井田庄の領土)を新たに恩賞として与える。常世は感謝して引きさがり、はればれと佐野荘へと帰っていった。

史跡・名所

長野県

群馬県

  • 碓氷川
  • 安中市板鼻 - 板鼻宿も参照。
  • 高崎市上佐野町 - 作中の「佐野のわたり」のこと。「わたり」という語は「渡し船」を指す場合もあるが、ここでは「里」(佐野の辺[あた]り)を指す。常世邸、常世神社がある[3]
  • 山本宿 - 作中の「山本の里」のこと[4]
  • 松井田 - 作中、常世が賜ったという「松枝」のこと[3]。現在の安中市(旧・碓氷郡松井田町)。松井田町松井田も参照。

栃木県

神奈川県

石川県

富山県

  • 黒部市三日市 - 作中、常世が賜ったという越中国の「桜井」のこと。黒部市立三日市公民館に石碑が建つ[3]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 『「教え育てる道徳教育」指導資料 ふるさと とちぎの心 栃木県道徳教育郷土資料集(小学校高学年編)教師用指導書』7 - 8ページ。
  2. ^ (現在の群馬県高崎市、あるいは栃木県佐野市)。
  3. ^ a b c d e f g h 『謡曲のふる里』437 - 440ページ。
  4. ^ 鎌倉街道山本宿を探る”. 高崎商科大学高崎商科大学短期大学部. 2019年3月30日閲覧。
  5. ^ a b とちぎ豆知識「とちぎの伝説」鉢の木”. 栃木県 (2014年7月31日). 2019年3月30日閲覧。
  6. ^ 『石川県河北郡誌』584 - 585ページ

参考文献

関連文献

関連項目

外部リンク



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