わき‐かた【脇方】
ワキ方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 02:24 UTC 版)
シテとともに能に不可欠な登場人物がワキである。ワキを演じる為の訓練を専門的に積んでいる能楽師をワキ方と呼ぶ。ワキはシテの思いを聞き出す役割を担う。その為、ワキは僧侶役であることが非常に多い。また、その役割は上記のとおり一方的にシテの言うところを受けとめるものなので、舞台上で華々しい活躍を見せることはめったにない。その役柄故、舞台上では坐っていることがほとんどなので、「ワキ僧は煙草盆でもほしげなり」という川柳も詠まれている。なお、ワキにつくツレを「ワキツレ(ワキヅレ)」という。多くの場合シテにおけるトモに近いものである。 ワキおよびワキツレはワキ方が演ずる。ワキ方はシテ方との対比上、硬質で剛直な芸風を求められるとするのが一般的な説である。 ワキは本来「脇の仕手」の略であり、古くはシテ方ワキ方の別はなかったとされる。一座の第二位の役者、もしくは第一位の役者(「太夫」と言う)の後見役にある役者がワキである。中世期、ワキが地謡の統率者(地頭)を兼ねており、その影響で、江戸時代に入ってシテ方とワキ方が分離した時期においても地謡はワキ方が担当することが多かった。時代が下るにつれてシテ方と交替し、あるいは過渡期的に「地謡方」という専門の役職ができたりして変遷をたどりながら現在のかたちに落ちついたとされ、現在のシテ方にも元地謡方、あるいはワキ方の家であったものは多く存在する。 能のワキ方は、狂言には参加しない。
※この「ワキ方」の解説は、「能楽」の解説の一部です。
「ワキ方」を含む「能楽」の記事については、「能楽」の概要を参照ください。
「ワキ方」の例文・使い方・用例・文例
- ワキ方のページへのリンク