あおいのうえ〔あふひのうへ〕【葵の上】
葵上
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/18 05:25 UTC 版)

葵上 |
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作者(年代) |
未詳 世阿弥改作か(室町時代) |
形式 |
準夢幻能 |
能柄<上演時の分類> |
般若物・祈り物、四番目物 |
現行上演流派 |
観世・宝生・金春・金剛・喜多 |
異称 |
なし |
シテ<主人公> |
六条御息所の生霊 |
その他おもな登場人物 |
横川の小聖、照日の巫女 |
季節 |
季不知 (不定) |
場所 |
葵上の部屋 |
本説<典拠となる作品> |
源氏物語 |
能 |
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『葵上』(あおいのうえ)は、『源氏物語』の「葵」巻に取材した能楽作品。世阿弥改作か。
シテは六条御息所の生霊であり、題にもなっている葵の上は一切登場せず、生霊に祟られ寝込んでいることを一枚の小袖を舞台に寝かすこと(出し小袖)で表現している。
六条御息所は賀茂の祭の際、光源氏の正妻である葵の上一行から受けた侮辱に耐え切れず、生霊(前ジテ)となって葵上を苦しめているのである。薬石効なく、ついに修験者である横川の小聖が呼ばれ祈祷が始まると、生霊は怒り、鬼の姿(後ジテ)で現われるが、最後は般若の姿のまま、法力によって浄化される場面で終わる。
資料
- 「古作の能」『日本古典文学大系 40 謡曲集 上』横道万里雄:著、岩波書店、1960年12月、ISBN 978-4-00-060040-8
- オンデマンド版 ペーパーバック、岩波書店、2016年9月13日、 ISBN 978-4-00-730493-4
関連項目
外部リンク
- 葵上 - ウェイバックマシン(2007年10月23日アーカイブ分) -「古典「源氏物語」を読む会」による『葵上』の全文、現代語訳。
- 能面 長澤重春能面集:般若
- 能の解説、フォトストーリー:the能.com
葵上
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 04:58 UTC 版)
「葵上」(あおいのうえ)は1954年(昭和29年)、雑誌『新潮』1月号に掲載された。葵の死の結末は、能の『葵上』よりも、大元の原典である『源氏物語』の第9帖「葵」に沿っている。三島は主題について、ヒロインの〈嫉妬に集中させてゐる〉とし、〈殊にラストの、生霊と現身の電話の声とが交錯するところは、スリラー劇的な興味をねらつてゐる〉と説明している。 私としては、「葵上」が一番気に入つてゐる。スリラー劇みたいな要素もあり、主題はそんなに哲学的でなく、観客にも受け入れられやすいと思ふ。ただあくまで、六条御息所の位取りが大切で、安つぽい嫉妬怨念劇であつてはならぬ。俳優には、やりづらい芝居であらうと同情する。 — 三島由紀夫「上演される私の作品――『葵上』と『只ほど高いものはない』」
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