橋本本源氏物語とは? わかりやすく解説

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橋本本源氏物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/09 06:10 UTC 版)

橋本本源氏物語(はしもとほんげんじものがたり)とは、源氏物語の写本の一つ。かつて言語学者国語学者であった橋本進吉1882年(明治15年)12月24日 - 1945年(昭和20年)1月30日)の所蔵であったことから「橋本本」と呼ばれる。現在は人間文化研究機構国文学研究資料館の所蔵[1]となっている。

概要

かつて池田亀鑑によって源氏物語大成研究編において「橋本博士蔵伝為家筆若紫巻」として写真入りで紹介された[2]が、実際には若紫のほか絵合松風藤袴の4帖が現存している。現存の4帖とも欠落が多い。離れた巻序にある現存の4帖がすべて同じ料紙で同じ形態であるため元々は54帖が同じ形式で揃っていたと見られる。鎌倉時代中期の書写と見られる、池田亀鑑は当初筆者不明とした[3]が後に藤原為家筆とするようになった。ただし極札などはなくその根拠は不明である。本文系統について池田亀鑑は、若紫巻については「最初の方は青表紙本で、次第に河内本に近づいていくが、ところどころに青表紙本でも河内本でもない表現が混じる」という状況であり、「全体としては別本に分類するしかない」としている。

校本への採用

上述のように本写本は池田亀鑑の写本調査の対象にはなったものの、校異源氏物語及び源氏物語大成校異編には採用されていない。源氏物語別本集成続の既刊分には写本記号「橋」として若紫及び松風が採用されている。

  • 若紫『源氏物語別本集成 続 第2巻』おうふう、2005年(平成17年)11月。 ISBN 4-2730-3402-6
  • 松風『源氏物語別本集成 続 第5巻』おうふう、2008年(平成20年)5月。 ISBN 978-4-2730-3405-4

影印・翻刻

  • 大内英範『源氏物語鎌倉期本文の研究』おうふう、2010年(平成22年)5月、pp. 203-226。 ISBN 978-4-2730-3562-4
    「絵合」、「松風」、「藤袴」三帖の翻刻
  • 伊藤鉃也・淺川槙子編『国文学研究資料館蔵 橋本本『源氏物語』「若紫」』新典社2016年10月。 ISBN 978-4-7879-0640-3
    「若紫」の影印及び翻刻

参考文献

  • 大津有一「諸本解題 橋本博士蔵伝為家筆若紫巻」『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 142。
  • 『新収資料展リーフレット』国文学研究資料館、2004年(平成16年)5月[4]
  • 大内英範「橋本本源氏物語について 「絵合」、「松風」、「藤袴」の本文」『国文学研究資料館紀要』第31号、2005年(平成17年)2月、pp. 31-63。のち「橋本本とその本文」として『源氏物語鎌倉期本文の研究』おうふう、2010年(平成22年)5月、pp. 19-33。 ISBN 978-4-2730-3562-4

脚注

  1. ^ 加藤昌嘉「橋本本『源氏物語』」人間文化研究機構国文学研究資料館編『立川移転記念特別展示図録 源氏物語 千年のかがやき』思文閣出版、2008年(平成20年)10月、p. 93。 ISBN 978-4-7842-1437-2
  2. ^ 池田亀鑑「別本の呼称とその種類 別本の種類」『源氏物語大成研究編』中央公論社、p. 173。
  3. ^ 池田亀鑑「若紫巻絵合巻松風巻藤袴巻 三帖 橋本進吉氏蔵」橋本進吉編『源氏物語展観書解説』冨山房、1937年(昭和12年)2月、p. 12。
  4. ^ 直接の参照は下記大内論文による



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