僧の宿の求め
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/23 17:17 UTC 版)
漁翁・漁夫が塩屋に戻ってきたことから、僧は、一夜の宿を貸してほしいと、漁夫を通じて願い出る。漁翁は、余りに見苦しいのでと、いったんはその求めを断る。しかし、僧が、自分は都の者で、この浦を初めて訪れたが、日が暮れたので、なにとぞ一夜の宿を貸してほしいと重ねて頼むと、漁翁はこれを承諾した。 シテ「なに旅人は都の人と申すかツレ「さん候(ぞうろう)シテ「げにいたはしきおんことかな、さらばお宿を貸し申さん(中略)地謡〽さて慰みは浦の名の、さて慰みは浦の名の、群れ居る鶴(たず)をご覧ぜよ、などか雲居(くもい)に帰らざらん、旅人の故郷(ふるさと)も、都と聞けば懐かしや、われらももとはとて、やがて涙にむせびけり、やがて涙にむせびけり [漁翁]なに、旅人は都の人だというのか。[漁夫]そのとおりです。[漁翁]誠に気の毒なことだ。それではお宿をお貸ししよう。(中略)さて(この侘住いでの)慰みといえば、牟礼の浦という地名に通じる、群れている鶴をご覧ください。鶴は雲居(空、あるいは都)に帰るものです。旅僧の故郷も都だと聞くと懐かしいことです。我々ももともとは……と、(漁翁と漁夫は)そのまま涙にむせんでしまった。
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