物狂いとは? わかりやすく解説

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もの‐ぐるい〔‐ぐるひ〕【物狂い】

読み方:ものぐるい

古くは「ものくるい」》

正気でなくなること。狂気

海棠の露をふるうや—」〈漱石草枕

神がかること。また、その人

「この—走りまはってひろひ集め」〈平家・二〉

能・狂言などで、子や夫と別れるなどの精神的打撃により一時的に興奮状態に陥って、歌舞物まね芸を演じること。また、その人


物狂い

関連項目→〔狂気

1.恋人子供別れた女が、狂気となって諸方を巡る。

桜川(能) 人買いに身を売った我が子桜児を捜して、母が日向から常陸まで旅する。彼女は常陸桜川流れる花をすくって川の名我が子の名も」と狂う。そのありさまを見に、稚児となった桜児がやって来て母子再会する

隅田川(能) 人買いさらわれた我が子梅若丸を捜し求め母親が物狂いとなって、京から東国隅田川まで旅をする渡し守が、今からちょう1年前の今日3月15日に、梅若丸川辺病没したことを語り、母は悲しみにくれて墓前念仏唱えるその時、母は梅若丸声を聞き、その姿を幻視する。

花筐(能) 越前に住む大迹部の皇子が、帝位につくべく上洛する。愛人照日の前は、恋情つのり物狂いとなって都へ赴き、皇子(=即位して継体天皇)の御幸行列行き会う。帝は「狂気とどめよ。もとのごとく召し使おう」と告げ御所連れ帰る

班女(能) 東国へ下る吉田少将が、美濃国野上の宿(しゅく)を訪れ遊女花子(はなご)と互いの扇を取り替える吉田少将去った後、花子は客の召しにも応ぜず、扇に眺め入るばかりだったので、皆から「班女(=班ショウ妤。*→〔扇〕6)」と呼ばれた花子は宿を追放され、物狂いとなってさすらい、糺(ただす)の下賀茂社に到る折節吉田少将祈願のため下賀茂社に参詣し2人再会する

*→〔人違い3cの『班女』(三島由紀夫)は、東京青年吉雄と芸者花子物語

百万(能) 清涼寺大念仏の場に「百万」という女物狂い来て舞い踊る。彼女は、夫に死に別れ子に生き別れ心乱れのだった大勢見物人中に女の子がいて、母子再会する

*→〔禁制3aの『柏崎』(能)。

*→〔八月十五夜〕3の『三井寺』(能)。

*→〔1bの『良弁杉由来』。

★2.妻や恋人別れた男が、狂気となって諸方を巡る。

法師が母狂言) 酒の勢いで妻を離別した男が、酔い覚めた後、後悔のあまり物狂いとなってさすらい、妻と再会する

椀久末松山下之巻 椀久は、去って行った恋人松山追い大阪中を狂気となってさまよう北浜疲れ果てて臥しているところへ備前客が身請けし松山連れて通りかかる松山駕籠の中から椀久哀れな姿を見る。


狐憑き

(物狂い から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 06:33 UTC 版)

狐憑き(きつねつき)は、に取り憑かれたと言われる人の精神の錯乱した状態であり、臨床人狼病英語版の症状の一種である。また、そのような精神状態にある人、そのような事が起こり得ると信じる信仰、迷信もいう。 地方により管狐飯綱オサキ人狐トウビョウゲドウ犬神などとも言う。


注釈

  1. ^ 貴族の間では京都の岩倉大雲寺に収容された者もいた。

出典

  1. ^ 狐を妻として子を生ませた話”. 説話百景 (2020年10月25日). 2023年3月30日閲覧。
  2. ^ 「狐憑き」を通してみえるもの― ムラのなかで心の病が「受容」されるということ ―”. cotree公式 (2021年2月14日). 2023年3月30日閲覧。
  3. ^ 力の強い女が力くらべをした話”. 説話百景 (2020年9月6日). 2023年3月30日閲覧。
  4. ^ 奈良時代、紀伊国牟婁郡熊野村での話”. み熊野ねっと. 2023年3月30日閲覧。
  5. ^ 川村邦光『幻視する近代空間 迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶』青弓社、2006年10月12日。ISBN 978-4-7872-3264-9 
  6. ^ 精神障害者の監禁の歴史 精神科医 香山リカさんに聞く”. 日本放送協会 (2018年7月30日). 2023年3月30日閲覧。
  7. ^ 精神障害者は20世紀をどう生きたか”. 秋元波留夫 月刊 「ノーマライゼーション障害者の福祉 」2000年7月号(第20巻 通巻228号) (2000年7月1日). 2023年3月30日閲覧。
  8. ^ 悪魔祓いされた謎の病”. ザ!世界仰天ニュース. 日本テレビ放送網 (2017年5月2日). 2020年11月6日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 宮本袈裟雄他 著、桜井徳太郎 編『民間信仰辞典』東京堂出版、1980年、97-98頁。ISBN 978-4-490-10137-9 
  10. ^ 狐憑き”. 海老名市教育部教育総務課文化財係 (2018年2月28日). 2023年3月30日閲覧。
  11. ^ 怪異・妖怪伝承データベース”. 国際日本文化研究センター. 2023年3月30日閲覧。
  12. ^ 妖怪大図鑑〜其の弐百拾四 狐憑き(きつねつき)”. ニュース和歌山 (2020年10月3日). 2023年3月30日閲覧。
  13. ^ 「狐を落す話(山崎英穂)」『出雲民俗(昭和24年11月)』第8号。 
  14. ^ 石川純一郎他 著、乾克己他 編『日本伝奇伝説大事典』角川書店、1986年、211頁。ISBN 978-4-04-031300-9 
  15. ^ 早川孝太郎「おとら狐の話」『郷土研究』4巻6号、郷土研究社、1916年9月、362-364頁。 
  16. ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、234頁。ISBN 978-4-620-31428-0 
  17. ^ a b c 民俗学研究所 編『民俗学辞典』東京堂、1951年、137-138頁。 NCID BN01703544 
  18. ^ a b c 佐藤米司他 著、稲田浩二他 編『日本昔話事典』弘文堂、1977年、250-251頁。ISBN 978-4-335-95002-5 
  19. ^ 「キツネ持ち」は反体制派『朝日新聞』1976年(昭和51年)3月1日朝刊、11版、9面


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