コロポックル
「コロポックル」とは、アイヌの民族伝承に登場する小人の種族名である。「コロボックル」ともいう。現代の創作物語などでも小人族の呼び名として「コロポックル」の名が用いられることがある。
「コロポックル」という名称はアイヌ語で「蕗(フキ)の下の人」という意味とされる。
「コロポックル」は「コロボックル」とも呼ばれる。半濁音の「ポ」が用いられる場合が多いが、濁音の「ボ」を用いた表記も正しい。アイヌ語では「p」の音と「b」の音を区別しないためである。
アイヌに伝わる「コロポックル」の概要
コロポックルは、アイヌに伝わる小人伝説に登場する小人である。「コロポックル」はアイヌ語で「蕗の下の人」という意味とされ、伝承でもコロポックルはフキの葉を傘のように掲げていたり、あるいはフキを屋根に用いた家に住んでいたりするとされる。コロポックルは、基本的には人間(アイヌ)に対して友好的であり、しかし恥ずかしがりで人に姿を見られることは極端に嫌がる、といった性格の種族として描かれる。アイヌと物々交換を行ったという言い伝えもある。
コロポックルは異種族に見られることを嫌い、しかもすばしこいため、どのような姿をしているかは分からないという。ある者は力づくでコロポックルの姿を見ようとしたが、これにコロポックルは怒り、それきり姿を見せなくなってしまった、という伝承もある。
コロポックルに関する逸話は、アイヌ文化の分布する北海道の広い範囲に伝わっている。地域によって伝承の具体的な内容には違いも見られる。
北海道の十勝地方では、コロポックルの姿を無理に見ようとしたり、コロポックルを迫害したりしたため、コロポックルが「トカップチ」という呪いの言葉を残して去ってしまった、という伝承がある。この「トカップチ」は、「水は枯れろ、魚は腐れ」といった意味の言葉とされる。この「トカップチ」が「十勝(とかち)」という地名の由来になったという説もある。
昨今のファンタジー系創作に登場する「コロポックル」は、温厚、友好的、争いを好まない、恥ずかしがり、体躯は人の手のひらに乗るかというほど小さく、アイヌの民族衣装を彷彿とされる装束を身につけている、といったキャラクターとして描かれることが多い。
コロポックルの正体とは
コロポックルの正体は不明である。伝承では、妖精や精霊、あるいは神性を帯びた存在として扱われることも多い。一説によれば、コロポックルは北海道アイヌとは異なるアイヌ民族がモデルとなっているという。小人のイメージ形成に大きく寄与している「蕗の下の人」のフキも、ばかでかいフキだった可能性があるらしい。
「コロポックル」の語源・由来
「コロポックル」は、アイヌ語で「コロ(蕗)+ポック(下)+クル(人)」という構成の語とされる。「コロポックル」に関連する用語の解説
文学のシリーズの「コロボックル物語」
「コロボックル物語」は、佐藤さとるによるファンタジー小説のシリーズ名である。1959年に私家版として刊行された「だれも知らない小さな国」以降、長編・短編・童話などの形で発表された。2014年には有川浩が執筆を引き継ぎ、「有川版・コロボックル物語」としてシリーズを継続させている。
「コロボックル物語」に登場する「コロボックル」は、身の丈3cmほどの小人で、神と人間の中間に位置する存在とされる。このコロポックルと人間との交流が描かれる。
ゲーム「FF14」に登場する「コロポックル」
MMORPG「ファイナルファンタジーXIV(通称FF14)」に登場する「コロポックル」は、人の姿をしておらず、フワフワした丸い緑色の身体に細い手足が生えたような姿のキャラクターである。NPCであり直接操作はできない。愛らしい(ゆるい)見た目の人気キャラクターであり、ぬいぐるみ等のグッズ化も盛んである。コロボックルステーション
「コロボックルステーション」は、牧場経営をテーマとするゲーム「牧場物語」のシリーズのひとつである。ニンテンドーDS用のゲームソフトとして2005年に発売された。プレイヤーは牧場生活のかたわら、異世界に散ってしまったコロボックルたちを救出することになる。ゲームのタイトルにもなっている「コロボックルステーション」は、ゲーム内で牧場生活に関する情報を発信するコロボックル運営の放送局の呼び名である。
コロポックル
コロポックル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/02 03:19 UTC 版)
コロポックル(アイヌ語: コㇿポックㇽ korpokkur[1])は、アイヌの伝承に登場する小人である。アイヌ語で「蕗の下の人」という意味であると解される。
- ^ コㇿポㇰ ウン クㇽ(Korpok un kur=フキの下 にいる 人/神)がより正確なアイヌ語である。コㇿポㇰを分解すると、コㇿ=フキ、ポㇰ=下、となる。
- ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、166頁。ISBN 978-4-620-31428-0。
- ^ アイヌ語地名リスト ツキサ~トヨコ P81-90 アイヌ政策推進局アイヌ政策課
- ^ 瀬川拓郎『コロポックルとはだれか : 中世の千島列島とアイヌ伝説』新典社〈新典社新書 58〉、2012年。ISBN 9784787961587。 NCID BB09210648。全国書誌番号:22105144 。
- ^ 中薗英助 1995, p. 12.
- ^ 中薗英助 1995, p. 70.
- ^ 決議 第169回国会 1 アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案 衆議院事務局
- ^ 風に乗ってくるコロポックル 青空文庫
- ^ a b 阿部敏夫「北海道民間説話の研究 (その9) : コロポックル伝説生成資料」『北星学園大学文学部北星論集』第49巻第1号、2014年2月28日、98–74頁、ISSN 0289-338X、CRID 1050564287423266048。
- ^ “コロボックルはもういない 初版 (フレーベル館): 1978|書誌詳細|国立国会図書館サーチ”. iss.ndl.go.jp. 2023年3月15日閲覧。
- ^ “「コロボックルはもういない」今井鴻象 文 久保雅勇 絵”. 2023年3月15日閲覧。
- ^ “じゃがポックル”. ポテトファーム. カルビー. 2021年9月11日閲覧。
コロポックル
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「牧場物語GB3 ボーイ・ミーツ・ガール」の記事における「コロポックル」の解説
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コロポックル
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北海道・樺太に生息するアイヌ伝承の小人。身長は30センチメートルほど。名前は「蕗の葉の下の人」という意味だと言われ、アイヌと対立し北へ去ったと伝えられている。一族で園内のドームに集落を作って住んでおり、民芸品(小人サイズを生かしたドールハウスなど)を作成し園の収益に貢献している。
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コロポックル
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「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章」の記事における「コロポックル」の解説
エッゾに住む7人の妖精。聖域である魔州湖を守っている。仲間達とはぐれたティーエと仲良くなる。人間嫌いだが、神仙術を教えてくれた錬金術師ムラクを尊敬しており、リハクやイズナに対しても同様に尊敬の念を抱いている。アルス一行とも親しくなった。別れ際に、ティーエに渡した、ムラクのお札は最終決戦で重要な役割を果たすことになる。
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コロポックル
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「トレジャーハンターG」の記事における「コロポックル」の解説
アドヘイム大陸とテムリア大陸の間にある小さな島。コロポックル島に住む小人の種族。人間と違う言葉を話す種族であり最初はレッドたちを魔物だと勘違いしていたが、レインの呼びかけによって和解する。
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