フキとは? わかりやすく解説

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ふき【×袘/×𧘱/×䘣】

読み方:ふき

袷(あわせ)または綿入れ衣服の裾・袖口で、裏布を表に折り返して縁のように仕立てた部分吹き返し

袘/𧘱/䘣の画像

ふ‐き【不帰】

読み方:ふき

二度と帰ってこないこと。転じて、死ぬこと。「—の人」


ふ‐き【不×羈/不×羇】

読み方:ふき

[名・形動《「羈」「羇」ともに、つなぐ意》

物事束縛されない行動自由気ままであること。また、そのさま。「独立—」

或は英人支配受くる者あり。或は—なる者あり」〈柳河春三編・万国新話〉

才能などが並はずれていて、からはみ出すこと。また、そのさま。「—の才」


ふ‐き【不×諱/不忌】

読み方:ふき

いみはばかるところなく言うこと。遠慮なく言うこと。

多少の—の文字あるが為に」〈魯庵・「破垣」に就て〉

避けることができない意》死ぬこと。死。


ふ‐き【不起】

読み方:ふき

病気などが治らず、死ぬまで起き上がれないこと。

「—の病いにかかりぬ」〈一葉やみ夜


ふ‐き【不軌】

読み方:ふき

法律規則など従わないこと。

謀反(むほん)を企てること。反逆。「—をはかる」


ふ‐き【付記/附記】

読み方:ふき

[名](スル)本文に付け加えて書きしるすこと。また、その部分。「参考資料を—する」


ふ‐き【富貴】

読み方:ふき

「ふうき(富貴)」に同じ。


ふき【菜蕗/蕗/富貴/布貴】


ふき【×蕗/×苳/款冬/菜蕗】

読み方:ふき

キク科多年草原野道端生える。地下長い根茎が横に走り早春蕗の薹(とう)とよぶ若い花茎出し頭状花が開くにつれて花茎伸ばす雌雄異株。花後、長い多肉質の柄をもつ腎臓形をつける。葉柄蕗の薹食用。《 夏》「—むくやまた襲ひきし歯のいたみ/久女」

蕗/苳/款冬/菜蕗の画像
フキの雌株撮影朝倉秀之
蕗の画像
蕗/苳/款冬/菜蕗の画像
フキの水煮

款冬

読み方:フキ(fuki), カントウ(kantou), カンドウ(kandou)

キク科多年草園芸植物薬用植物


菜蕗

読み方:フキ(fuki

箏曲の名


読み方:フキ(fuki

袷・綿入れ袖口や裾の裏布帛を表に折り返し、縁のように縫いつけた所。

別名


読み方:フキ(fuki

袷・綿入れ袖口や裾の裏布帛を表に折り返し、縁のように縫いつけた所。

別名


欸冬


款冬

読み方:フキ(fuki), カントウ(kantou), カンドウ(kandou)

キク科多年草園芸植物薬用植物

学名 Petasites japonicus



菜蕗

読み方:フキ(fuki), ナブキ(nabuki)

キク科多年草園芸植物薬用植物

学名 Petasites japonicus


読み方:フキ(fuki), フフキ(fufuki)

キク科多年草園芸植物薬用植物

学名 Petasites japonicus


フキ キク科

フキ
キク科
収穫時期 食べられる部位 清見町での呼び名
フキノトウ3~5月
葉柄5月~秋
フキノトウ葉・柄

フキボボ・フキノトウ


タネ
葉 花 タネ

採取法・注意とマナー

採取地下茎抜かないように、根本から採取する

味わう

フキノトウ開ききっていないものを地ぎわから指でちぎりとり、外側のきたないをとりひとつまみの塩を入れてゆで、冷水にさらし、アクをぬき、煮ひたし・油いため・つくだ煮ごまあえみそあえに。
特に細かく切って油いため、みりん、みそを加え弱火でいため煮したフキノトウみそは、おいしくて酒の肴、熱いごはんのおかずによい。
また、生のままてんぷら、みじんに切って汁の実・薬味として、早春香りを楽しむ。
アクが強いので、アク抜ききちんとし皮をむき、煮物・油いため・各種あえもの・フキごはんなどいろいろに使える

薬効

フキノトウまだつぼみのころに花茎採取し日蔭干ししたもの1020g400ccで半量になるまで、煎じ3回分服咳止めに効く。


DATA
雪解け日当たりのいい地面から顔を出すふきのとう初春風物詩ともなっている。
ふきのとう雌株雄株があり、白色頭花の雌開花後30cm以上に伸び、白い冠毛をつけ種子を飛ばす。
丸く、花が終わった頃に同じ地下茎から伸びだす。
大型アキタブキ東北地方から北海道分布しているが、他の地域でもしばしば栽培されている。
【清見情報
山野道ばた川岸などの日当たりよい所多く見られ残雪の間から頭を出して花を咲かせる。春、他の花に先がけて咲くので、ひな祭り折り使われることもある。

読み方:フキ(fuki

宿根性多年草

季節

分類 植物


菜蕗

読み方:フキ(fuki

分野 音楽書(箏曲)

年代 成立年未詳

作者 作者未詳


冨貴

読み方:フキ(fuki

所在 愛知県知多郡武豊町


布木

読み方:フキ(fuki

所在 兵庫県三田市


福来

読み方:フキ(fuki

所在 京都府舞鶴市


福貴

読み方:フキ(fuki

所在 奈良県生駒郡平群町

地名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

富貴

読み方:フキ(fuki

所在 愛知県(名古屋鉄道河和線)

駅名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

フキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/17 22:34 UTC 版)

フキ
フキの若葉(2005年4月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: フキ属 Petasites
: フキ P. japonicus
学名
Petasites japonicus
(Siebold et Zucc.) Maxim. (1866)[1]
和名
フキ(蕗)
英名
Fuki,
Giant Butterbur,
Japanese butterbur[2]

フキ(蕗[2]、富貴[3]、苳、款冬、菜蕗、学名: Petasites japonicus)は、キク科フキ属の多年草雌雄異株。早春の花茎をフキノトウ(蕗の薹)という。山野に生える山菜としてよく知られ、地下茎から多くの葉柄を立てて、一部が切れた円い大型の葉をつける。

名称

和名フキ語源については諸説あり詳細ははっきりしていない[4]。また、冬に黄花を咲かせるため「冬黄(ふゆき)」の中略とする説もある[5]。フキの若い花芽は、山菜としてよく知られているフキノトウ(蕗の薹)である[6]

別名に、「ヤマブキ」「アオブキ」「アカブキ」「ミズブキ」「ノブキ」「オオバ」などの呼び名がある[7]。日本の方言名でフキノトウを、青森県西部の津軽弁では「ばっけ」、秋田弁では「ばっけ」「ばんけ」「ばっきゃ」、山形県庄内弁では「ばんけ」、アイヌ語は「マカヨ」、樺太アイヌ語ではpahkay(パㇵカイ)という。また、アイヌ語でフキは「コロコニ」または「コルコニ」と発音する。

英語ではJapanese Butterbur[8]Giant butterbur[9]、あるいはFuki[10]という。漢名ではと書き[4]中国植物名では蜂闘菜(ほうとうさい)ともよばれている[11]

花言葉は、「公正な裁き」[5]「待望」[9]「愛嬌」[9]「真実は一つ」[9]「仲間」[9]などである。

分布・生育地

日本原産[9]北海道本州四国九州及び沖縄県に分布し[5]、北は樺太朝鮮半島中国でも見られる[12][10]平地から丘陵地山地までの原野山野土手道端空き地、川べりなど、日溜りでやや湿ったところに自生し[11][13][7]、山では沢や斜面、河川中洲や川岸、湖畔、林の際などで多く見られる[14]。郊外でも河川の土手や用水路の周辺に見られ、水が豊富で風があまり強くない土地を好み繁殖する。自生のほか、栽培も行われている[13]東北地方から北海道にかけては、変種のアキタブキがある[13]

近年は山野に自生する個体数が減少しつつある。里山でフキが群生している光景は自生では無く、人間の手によって管理されていることがある。

形態・生態

多年草雌雄異株[13]根茎は肉厚肥厚し[14]は地上には伸びず、地中で地下茎となり横に長く這って伸びて増殖する[13]。地下茎が地表に剥き出しになると光合成のため緑色に変色する。このため、ワサビと間違われて誤食される例があるが、地下茎は有毒のため注意が必要である。

花期は早春の3 - 5月頃で[15]、葉が地表に出ないうちに、地下茎から大きな苞をつけた花茎(花穂)が伸び出し、これを「蕗の薹」(フキノトウ)と呼んでいる[13][16]。フキノトウは株が異なる雌雄異花で、状の苞葉で包まれており、茎先に散房状に密についた多数の頭花がある[17][13][5]。頭花は筒状花だけでできている頭状花で、花径は5 - 10ミリメートル (mm)[5]花びらのように見えるものはなく[18]、毛状の突起を持つ[17]。雄株の雄花花粉をつけるので、花色はやや黄色味がかった白色で[6]、花茎は20 cmほどで生長が止まり、花が終わると褐色になって枯れてしまう[13]。一方、雌株の雌花は花色が白っぽく[6]受粉後は花茎を高さ40 - 70センチメートル (cm) ほどまで伸ばして、タンポポのような白い綿毛(冠毛)をつけた果実(種子)を風に乗せて飛ばす[13][19]。果実は痩果で、長さ2 mmほどの細い円柱形で毛はなく、痩果の3倍ほどの長さを持つ冠毛がつく[19]

花が終わると、花茎とは別に、地下茎から葉柄を伸ばして地表にを出し[13][19]、葉柄の高さは30 - 80 cmほどになり[9]、先に大葉をつける。葉の形は円の一部が切れたハート形や腎臓形をしていて薄く、幅は15 - 30 cmあり、ツヤはなく、灰白色の綿毛が密生している[17][12][6]。フキの葉は、降り注ぐ雨水を効率よく受け取るために、全体が皿状にくぼみ、葉の切れ込みから茎を伝って根元に集めるようになっている[6]。葉柄は中空で、根元が赤色に色づくものと、全体が黄緑色の物がある[20]

品種

近縁種は旧世界に広く分布し、ハーブとして利用される。また、幻覚作用が報告されているもある[要出典]

秋田県以北から北海道にかけて自生し[7]、葉の径が1.5 mと巨大で、高さ2 m ほどにも伸びるアキタブキ(秋田蕗)があり[5]、全国的にも有名である。こうした、巨大な蕗は倍数体によるものである。特に寒冷地では牧草地で大繁殖する。家畜が食べないので畜産農家からは嫌われている[21]。アキタブキのうち[22]、北海道・足寄町の螺湾川(らわんがわ)に沿って自生するラワンブキは高さ2 - 3 mに達し、北海道遺産に指定されている。

市場に野菜として出回るものは、野生種から選抜された栽培品種が多く、栽培品、野生種のどちらも流通している[10]。自生するものは「山ブキ」とよんで灰汁が強いが[2]、栽培種は一般的に苦みが少なく調理し易い。栽培種として市場に出回っている多くのフキは「愛知早生」(愛知早生ふき)という品種で[23]愛知県東海市が生産量日本一である[24]。「水ふき」(水ぶき)は京都府奈良県などで栽培され[7]福井県大野市石川県加賀市南部などでは「タニフタギ」とも呼ばれる。なお、秋田フキにも自生ではなく農家で栽培されて市場に出荷されるものもある。

愛知早生ぶき(愛知早生ふき)
別名「尾張ぶき」ともよばれる。市場の大半を占め、葉柄が太めで、根元が赤いのが特徴[10]。香りが良く、長さ1メートル (m) ほどになる[2]
水ぶき(水ふき)
小ぶりで暖かい地方のフキから改良された栽培品種。やわらかくて苦味が少ないのが特徴で、収穫量は少なく関西で少量生産されている[10]
アキタブキ(秋田蕗)
フキの亜種で[7]、葉柄の長さが2 m、葉の直径が1.5 mにもなる大型のフキ。肉質はかたく、主に佃煮や砂糖漬けなどの加工用に利用される[10]。葉と葉柄はにわか雨の際には傘代わりになるほど大きく、うっそうと秋田蕗が茂る場所には、コロボックルとよばれる小人が住んでいたというアイヌ伝説が残されている[7]

利用

食材として早春に生じる花蕾を「ふきのとう」、春から夏にかけて伸びる葉柄を「ふき」とよんで利用する[7]。古くから数少ない日本原産の野菜として利用され、8世紀ごろにはすでに栽培も始められていた[8][2]。現在ではスーパーなどで売られているフキのほとんどは栽培もので、夏場を除いて春を中心に出回っている[10]惣菜の材料としてよく知られる[7]

山菜としてのフキ

江戸時代の農業百科事典『成形図説』のイラスト(1804)
ふき 葉柄 ゆで[25]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 33 kJ (7.9 kcal)
1.9 g
食物繊維 1.1 g
0 g
飽和脂肪酸 - g
多価不飽和 - g
0.3 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(1%)
5 µg
(1%)
60 µg
リボフラビン (B2)
(1%)
0.01 mg
ナイアシン (B3)
(1%)
0.1 mg
パントテン酸 (B5)
(0%)
0 mg
ビタミンB6
(6%)
0.08 mg
葉酸 (B9)
(2%)
9 µg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンE
(1%)
0.2 mg
ビタミンK
(5%)
5 µg
ミネラル
カリウム
(5%)
230 mg
マグネシウム
(1%)
5 mg
リン
(2%)
15 mg
鉄分
(1%)
0.1 mg
亜鉛
(2%)
0.2 mg
(3%)
0.05 mg
他の成分
水分 97.4 g
コレステロール 0 mg
水溶性食物繊維 0.1 g
不溶性食物繊維 1.0 g
ビオチン(B7 - µg

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[26]。葉及び茎葉基部を除いたもの
ゆでた後水冷し、水切りしたもの
廃棄部位:表皮
ビタミンB1:微量、硝酸イオン:微量 
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

独特の香りがあるふきのとうや葉柄、葉を食用とする。もともと山菜の一種で灰汁が強く、肝毒性[27]が強いペタシテニン(Petasitenine、別名フキノトキシン)[28][29]などのピロリジジンアルカロイドが含まれているため、下茹でして灰汁抜きをする必要がある[8]。食材としてのは春(3 - 6月)とされ[8]、冬から春の体へ体調を整える野菜としても知られる[30]。売られているものは、茎はまっすぐ伸びて張りがあり、できるだけ太さが均一で、色が薄い緑色で黒ずみがないものが良品とされる[8][31]

栄養的に特徴的な成分は含まれていないが、熱量は100グラム (g) あたり11キロカロリー (kcal) と低カロリーで[8]、葉やふきのとうには、多少のβ-カロテンビタミンB1B2カルシウムカリウム亜鉛などの栄養素が含まれる[30]食物繊維も多く含まれていて、腸の働きを活発にして、便通に役立つ食材でもある[32]。一方、ふきのとうは生長するための栄養を蓄えているため100 gあたり43 kcalと比較的高カロリーなのが特徴で[33]、ビタミンB群、ビタミンCEKや、カリウム、、亜鉛などのミネラルに富む[10]。体内でビタミンAのもとになるカロテンも含み、食物繊維も多い[10]

個性的な香りと特有の苦みを生かした料理として、和え物煮物によく使われている[8]。野生のフキは、栽培されているのものよりも苦味が強く、小ぶりである[30]。亜種のアキタブキも同様に利用でき、砂糖漬けにしたものは市販されている[34]

ふきのとう(蕗の薹)
主なは早春(2月 - 3月)で[33]の状態で採取され、新鮮なものはほろ苦い味と、特有の香りが春の味覚として好まれている[35][7]
そのまま天ぷらや、重曹を入れた熱湯で軽く茹でて水にさらしアク抜きしてから煮物和え物味噌汁油炒め、ふきのとう味噌などのほか、甘酢和え、粕漬け味噌漬けにして食べられる[35][16][33]。一般的には蕾がしっかり締まっているものがよく、花が咲いた状態はかたく、灰汁が強いため食べることは避けられる[33]。花が開いてしまったものは、細かく刻んで味噌と炒めてふき味噌にしても、特有のほろ苦さが味わえる[36]。ふきのとうを採取したら、灰汁が回って苦味が強くならないうちにできるだけ早く調理するとよいといわれる[7]。トウが立って花茎が伸びても、その花茎を摘んで軽く茹でて灰汁抜きして、フキの葉柄と同様に煮物にして利用できる[37]。天ぷらや煮びたしにするならば、少し伸びた花茎でも十分利用できる[16]
ふきのとうの蕾を日陰干しにすると「咳止め」になる[3]。なお、フキノトウは灰汁にはフキノトキシンとよばれる発がん性物質が含まれているといわれ、多食や常食は避けるべきという意見もある[16]
葉柄
自生するものは春から初夏にかけて採取する[37][16]。塩で板摺(いたずり)をして少し筋を取り、重曹木の灰などを入れた熱湯で下茹でして灰汁(アク)を抜いてから冷水にさらし、表面のすじ(皮)をとって下ごしらえしてから料理に使われる[2][37]
主におひたし和え物煮物炒め物などにするか[34][16]、生のまま塩や塩糠に漬け込んで保存し[37]、調理前に煮てから流水で塩抜きしてから同様に煮物や炒め物にする。油揚げで包んで信太巻の具材にしてもおいしく食べられる[38]。また、醤油砂糖みりんで濃く味付した佃煮は「伽羅蕗(きゃらぶき)」といい[34]、これも保存食・常備菜となる。繊維質やミネラルが豊富で、昔は冬の野菜不足を補う一般的な山菜であった。秋田フキなどの大型のフキは茎の中の空洞も大きいので、身欠きニシンや細切りにした薩摩揚げなどを好みで詰めものをして煮付けても良い。さらにシロップ煮にして砂糖をまぶしたお菓子もある。
上記のほか、葉も塩茹でたものを流水に半日から1日ほどさらしてアクを抜き、細かく刻んで佃煮にするなどして食用になる[10]。渓流釣りなどで、釣った魚を野生のフキの葉で包んで丸焼きにする調理法にはフキの毒消しの効果もあり、ニシンなどの魚とフキを一緒に炊き合わせる料理には、魚の毒を消す目的の意味も込められている[32]

薬用

薬用植物でもあり、夏から秋にかけて掘り出して天日乾燥した根茎は、漢名でもある蜂斗菜(ほうとさい)と称して生薬になる[11]。花であるフキノトウも用いられ、生薬としてのうちに採取後に天日乾燥または陰干しにして調製する[35][13]。フキノトウの生薬名は和款苳花(わかんとうか)と称される[7]。かつては、フキノトウの生薬名として漢名の款冬(かんとう)またを款冬花(かんとうか)と当てていたが、これはフキタンポポのことであり誤りである[11][13]

フキには昔からを切り、を鎮める作用があることが知られており、呼吸器系の機能を円滑にして、気管支粘膜炎症を鎮めて、粘液の分泌を促す働きがある[30]。フキノトウには、食欲増進効果がある苦味質や精油成分を含み、消化を助ける働きをする[35]。精油には、痰きり、咳止めの効果があると言われている[35]。葉には苦味配糖体粘液サポニンタンニンなどを含んでおり、同様の薬効があるとされる[35]。フキノトウに多く含まれるほろ苦さの成分はアルカロイドの一種で、がんの予防をする成分として知られている[10]

根茎(蜂闘菜)は、患部に熱を持つのどの腫れや痛みに効果があるとされ、民間療法では1日量5グラムを600 ccの水で煎じて3回に分けて服用するほか、うがい薬代わりに煎液でうがいする方法が知られている[11]。乾燥したフキノトウまたは葉は、民間療法止め、去痰解熱健胃、食欲増進に、1日量5 - 20グラムほどを、水300 - 600 ccで半量になるまで煎じ、3回に分けて食前に服用する用法が知られている[11][35][13]。また、生の茎葉のしぼり汁には魚の中毒の解毒効果があるといわれ、虫刺されに汁をつけるとよいとされる[13]

その他

  • 三重県や奈良県で一部の地域ではふきをおにぎりの包みとして用いる「ふき俵」が作られる[39][40]
  • 北海道釧路市の旧音別町地区では、アキタブキから漉いた和紙を「富貴(ふき)紙」と命名して商品化している[41]

その他

季語
「蕗の薹」や「蕗の芽」「蕗の花」は春の、「旬の蕗」「蕗の葉」「伽羅蕗」「秋田蕗」は夏の季語となる。
アンゼリカ (菓子)
クリスタル・アンゼリカとしてケーキを飾るアンゼリカは、本来はセリ科のハーブであるセイヨウトウキから製されるが、日本ではコピー食品としてフキの砂糖煮が市販されている。食感や見た目は似ているが、特徴的なネズの香りはほぼ無い。

ギャラリー

類似する植物

形態的によく似たものとして、キク科ツワブキ属の多年草ツワブキ Farfugium japonicum がある。葉が常緑かつ深緑で厚みと艶があるほか、花が黄色く秋に咲くなど、生物学的には違いが大きいが、外見が似ているうえにツワブキも食用になる。また、キク科メタカラコウ属の多年草オタカラコウ Ligularia fischeri などの葉も似ている。

採集時に最も注意を要するものとして、錯乱症状を起こすナス科ハシリドコロ属の毒草ハシリドコロがある。ハシリドコロの若芽がフキの新芽の出る時期が重なるうえに、フキノトウと外見が似ているため、誤食されやすい[42]。葉を開くと区別がつくが、芽吹いたばかりのころは紛らわしい[42]。ハシリドコロにはフキのような爽やかな香りがないことから、採取するときに臭いを嗅ぐと良いとよいといわれている[42]

脚注

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. フキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 48.
  3. ^ a b 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、325頁。 
  4. ^ a b 大嶋敏昭監修 2002, p. 362.
  5. ^ a b c d e f 主婦と生活社編 2007, p. 60.
  6. ^ a b c d e 稲垣栄洋 2018, p. 109.
  7. ^ a b c d e f g h i j k 高野昭人監修 世界文化社編 2004, p. 6.
  8. ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 138.
  9. ^ a b c d e f g 稲垣栄洋 2018, p. 108.
  10. ^ a b c d e f g h i j k 講談社編 2013, p. 41.
  11. ^ a b c d e f 貝津好孝 1995, p. 111.
  12. ^ a b 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 20.
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n 馬場篤 1996, p. 100.
  14. ^ a b 高橋秀男監修 2003, p. 92.
  15. ^ 主婦と生活社編 2007, p. 80.
  16. ^ a b c d e f 金田初代 2010, p. 130.
  17. ^ a b c 田中孝治 1995, p. 208.
  18. ^ 田中修 2007, p. 26.
  19. ^ a b c 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2018, p. 42.
  20. ^ 金田初代 2010, p. 152.
  21. ^ シンジェンタ ジャパン 雑草の話 第9話 フキ属(Petasites)について
  22. ^ 記事名不明[リンク切れ]毎日新聞』2011年6月28日地方版
  23. ^ ふき・愛知早生・野菜図鑑独立行政法人農畜産業振興機構
  24. ^ まちの自慢”. 東海市. 2014年3月1日閲覧。
  25. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  26. ^ 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版) (PDF) 」』
  27. ^ 薬物性肝障害の症状と原因」または「肝臓の病気」参照。
  28. ^ KEGG COMPOUND:C10359:ペタシテニン
  29. ^ GIANT BUTTERBUR Petasites japonicus
  30. ^ a b c d 小池すみこ 1998, p. 142.
  31. ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 48.
  32. ^ a b 小池すみこ 1998, p. 143.
  33. ^ a b c d 主婦の友社編 2011, p. 226.
  34. ^ a b c 高橋秀男監修 2003, p. 93.
  35. ^ a b c d e f g 田中孝治 1995, p. 209.
  36. ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 155.
  37. ^ a b c d 高野昭人監修 世界文化社編 2004, p. 8.
  38. ^ 小池すみこ 1998, p. 145.
  39. ^ ふき俵 奈良県 | うちの郷土料理:農林水産省”.  農林水産省. 2023年4月5日閲覧。
  40. ^ ふき俵 三重県 | うちの郷土料理:農林水産省”. 農林水産省. 2023年4月5日閲覧。
  41. ^ 蕗からつくられる手漉き和紙「富貴紙-ふきがみ-」釧路市(2020年5月24日閲覧)
  42. ^ a b c 金田初代 2010, p. 133.

参考文献

関連項目

外部リンク


フキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 17:58 UTC 版)

日本原産の食用栽培植物」の記事における「フキ」の解説

フキ()は、キク科フキ属の多年草で、学名Petasites japonicus英語では学名を呼ぶか日本語のまま "Fuki" と記す。つぼみ(ふきのとう)は、天ぷら煮物味噌汁の具、ふきのとう味噌などとして食し佃煮にして、また、葉柄佃煮のほか、灰汁アク抜きをしたうえで煮物炒め物として食べる。

※この「フキ」の解説は、「日本原産の食用栽培植物」の解説の一部です。
「フキ」を含む「日本原産の食用栽培植物」の記事については、「日本原産の食用栽培植物」の概要を参照ください。

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