粕漬け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/22 03:02 UTC 版)
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粕漬け(かすづけ)とは、食材を酒粕またはみりん粕に漬ける手法である。また、その方法で作った日本の漬物のこと[1]。
概要
食材は、野菜、果実、魚介類、食肉だけでなく加工食品など多種多様なものが使用される。日本各地で作られており、漬物の中でもよく使用される漬け方である。漬物日本一を決めるイベント[どれ?]においても、粕漬けが第1位に選ばれた。
『延喜式』には野菜を材料とした糟漬けの記述があり[2]、日本古来から存在していた事が確認できる。平城京で出土した木簡には「加須津毛」(かすづけ)の記載が確認されている[3]。
酒粕に漬けたものは味が淡泊である。一方でみりん粕に漬けたものには濃厚な甘味があり、さらに甘みを付ける場合には砂糖を加える。酒粕は圧搾の不十分な湿ったものが良く、乾いたものは酒を含むのが少ないから味が劣るとされる[誰によって?]。ただし、酒気の強いものが苦手な場合にはこちらが好まれる[独自研究?]。これに塩、砂糖、酒などを加えて緩め、容器に固く詰め込み、蓋と目張りをして冷所に置き、よく熟れた粕に漬ける。食材はそのまま漬けると粕の中に水分が出て酸敗するおそれがあるため、一度塩漬けしてから漬け、あるいは少量の塩を振ってしばらく置いてから、あるいは陰干しにしてから漬ける。生のまま、特に水分の多いものを漬ける場合にはぬかと少量の塩を混ぜたものを容器の底に敷き、その上に多数の小さな穴の開いた中蓋を置いて水分が下に落ちるようにする方法がある。食材は相互に、また容器に接しないようにその間に十分に酒粕を詰めて固く漬け込む。数日から数か月で漬け上がる。
野菜の粕漬けは香の物とされ[誰によって?]、粕にわさびを追加したわさび漬けも粕漬けの1つである(奈良漬けなど)[1]。魚類は内臓類を処理し、塩を使用する場合がある。また中型以上の大きい魚は、1尾をそのままではなく切り身にしてから漬けることが多い[独自研究?]。食肉は、切り身に包丁を入れる処理をした上で漬けることが多い[独自研究?]。
日本各地において、主に現地の食材を使用した粕漬けが製造・販売されている。佐渡では河豚の卵巣の糠漬けの一種として「ふぐの子の粕漬け」という料理がある[4]。
脚注
- ^ a b “農産物漬物の日本農林規格”. 農林水産省. 2024年10月22日閲覧。
- ^
(中国語) 延喜式/卷第卅九, ウィキソースより閲覧。
- ^ “奈良漬け(ならづけ) | にっぽん伝統食図鑑 | 農林水産省”. 農林水産省. 2023年9月13日閲覧。
- ^ “ふぐの子の粕漬け 新潟県 | うちの郷土料理:農林水産省”. 農林水産省. 2023年9月13日閲覧。
関連項目
粕漬け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 05:05 UTC 版)
宇川流域の郷土料理に、「アユのかす漬け」がある。伏見の酒蔵へ出稼ぎに行った「宇川杜氏(丹後杜氏)」が、故郷に持ち帰った酒粕で地産のアユを漬け込み、次の冬の出稼ぎで酒蔵への土産として持参したのがはじまりとされる。江戸時代から、農閑期で積雪が多い冬の収入源として、多くの男子が出稼ぎとして酒蔵の仕込み作業に出かけており、大正末期から昭和期には伏見の醸造界で400人以上の丹後杜氏が活躍した。 1964年(昭和39年)に上宇川漁業協同組合が製造したアユのかす漬けのパッケージには、「宇川名産」の文字とアユの姿が描かれている。パッケージでは「宇川鮎の特色」として、「毎年四・五十万匹の天然小鮎が大群をなして遡上し、七・八月の候ともなれば二十糧前後の大鮎となって宇川随一の名産となります。」と述べ、さらに「京都大学動物学教室の研究指定川となり」と宇川でのアユの生態研究を紹介。続いて「酒粕漬鮎の召し上がり方」として、「本品は當地の酒造人の出稼ぎ酒屋の上質酒粕を用いて調理」「とろ火にかけて狐色になるまで焼き骨抜きしてそのまま召し上がって下さい。」と述べ、肴として日本酒に合う等と説明されている。 出稼ぎ労働は20世紀中頃には廃れ、宇川杜氏もほぼ姿を消した。宇川のアユそのものがほとんど市場に流通しないことから、その伝統の味は特産の土産物になるほどには残っていないものの、上宇川地域に嫁ぎ、宇川加工所を通して地産地消の食品加工販売を行う女性がこの食文化を知り、2015年~2018年頃には「アユのかす漬け」復活を試みた事例が知られている。
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