20世紀中頃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 22:04 UTC 版)
1960年代にはヒッピーらが傾倒した、東洋系等のキリスト教以外の宗教を指し、用いられるようになる。1970年代の宗教学者らは、意図的に宗教集団の類型として使用した。 ハワード・ベッカー(英語版)(アメリカ社会学者)は、1950年に「チャーチ=セクト類型」を見直し、非キリスト教的なスタイルを持つ新宗教を新たな類型としてセクトに含め、これを「カルト」と主張した。また、心霊術、占星術などの信者集団であり、小規模かつ緩やかな組織構成という特徴を持つとした。 ジョン・ミルトン・インガー(英語版)(アメリカ社会学者)とハワード・P・ベッカー(英語版)(アメリカ社会学者)は、「カルト」とは「個人主義的忘我経験や精神的身体的な癒しを求める人々による緩やかな結合であり、既存の宗教伝統から逸脱する教えをもち、それゆえに周辺社会から不審視される」とした。 ロドニー・スターク(英語版)(アメリカ宗教社会学者)とウイリアム・シムズ・ベインブリッジ(英語版)は、「セクト」を「信仰の再確立を目指して母教会から分離した集団」とし、「カルト」を「既存の伝統から逸脱する新しい教えのもとに形成される集団」とした。また、カルトの組織化達成度によって以下の3つの下位類型を設定した。 「聴衆カルト」(「オーディエンスカルト」)新しい神秘的なものについての情報をメディアを通して知り、関心を寄せる人々をメンバーとするもの。 「来談者カルト」(「クライエントカルト」)集団のカリスマ的中心人物を人々が訪ね、来談者(クライエント)となり、セミナーやセラピーに参加する。 「聴衆カルト」(「オーディエンスカルト」)よりは主催者と来談者との関係は密になっている。 「カルト運動」「聴衆カルト」や「来談者カルト」ではエンターテインメントや病気快癒といった一過的で実利的な効果が求められているにすぎないが、「魂の救い」といったようなすぐに確認できない事柄を持続的に保証するための組織化が必然となる。この保証を供給する人間組織こそが「宗教」であるとした。 デイヴィッド・モバーグ(英語版)(アメリカ宗教社会学者)は、1971年に「教団のライフサイクル論」において、カルトもしくはセクトに該当する新団体の発祥から解体までの製品ライフサイクルは以下の5段階を経ると提唱した。 萌芽的組織 - 社会不安を背景とし、カリスマ性のあるリーダーが登場し、集団(カルト、セクト)が出現する。 公式的組織 - 集団の目標が成文化され、部外者との差異が強調される。 最大能率段階 - 合理的組織が集団を導くようになる。この頃になると集団への部外者からの軽蔑も減り、逆に集団から部外者への敵意も消える。 制度的段階 - 組織運営が官僚的になり、自分たちの特権の保持を目的とするようになる。礼拝なども形式的になり、集団の会員となる資格の基準も緩む。 解体段階 - 組織に腐敗が蔓延し、組織運営の官僚的機構が会員のニーズに対応できないので、退会者が増える。一部のリーダーや会員が信仰復興の改革運動(再生運動)を起こして成功した場合は、新しいサイクルが始まるが、そうでなければ集団は解体に向かう。
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