砂糖漬け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/27 13:54 UTC 版)
砂糖漬け(さとうづけ、英:Candied fruit)とは、砂糖を使った保存食や食品、またはその調理法を指す。
概要
砂糖の特性である吸水性を利用して保存したい果物などを砂糖で取り巻き、雑菌や組織内の水分と外部の糖分を細胞壁を通して交換することで組織の中の水分を減らし、殺菌して腐敗を防ぐという方法が砂糖漬けの原理である。ナトリウムイオンなどに比べて糖分子は重いため、塩漬けに使う塩よりも大量の砂糖が必要となる。一般に、砂糖漬けには保存する果実の重さの45%から55%の砂糖が必要であり、最終的には全体の重さの3分の2を砂糖が占める[1]。また、砂糖には吸収した水分を保持して保存対象の乾燥を防ぐ働きや、脂質の酸化を防ぐ働き、食品の香りを吸収して保持する働きがある[2]。
砂糖漬け製品の消費期限は、冷蔵状態でおおむね1か月から半年くらいであり、塩漬け製品ほどの長期保存能力はない。しかし、塩漬けは塩抜きなどの処理や調理をしてからでないと食べられないが、砂糖漬けはそのまま食べられるという利点がある。
製法には、素材を砂糖シロップで煮詰めて乾燥させる、粉砂糖に漬けるなど、いろいろな方法がある。材料は食べやすいサイズに切る場合が多いが、皮だけを利用するものや、果実を丸ごと漬けるものもある。砂糖漬けの作業過程で形を留めないゼリー状にしたものがジャムである。ドライな砂糖漬けは飽和砂糖液を染み込ませた後に乾燥させるという作業を繰り返して作るため、ジャムと比べて完成までに時間と手間がかかる[3]。
歴史
古代ギリシアではマルメロを蜂蜜漬け、もしくはブドウ果汁のシロップ漬けにしていた。これがマーマレードの始まりと言われている。ヨーロッパで砂糖を使った砂糖漬けが作られ始めたのは13世紀頃からで、プロヴァンスやトゥールーズなど花や果物が豊富に取れる南フランスの特産品となり[4]、砂糖が安価になった18世紀以降は家庭でも砂糖漬けが作られるようになった。
日本で砂糖漬けが作られるようになったのは、江戸時代中期のことである[5]。当時は貴重品であり、幕府や藩の交易品や献上品として扱われることもあった。ザボンやカリンのような果実のほか、ショウガ、ハスの茎、ナス、ニンジンなど野菜の砂糖漬け、天門冬やハマボウフウ(浜防風)、黄精(ナルコユリの根。精力剤として用いられた)といった薬用植物の砂糖漬けが盛んに作られており、江戸時代には豆腐や昆布まで砂糖漬けの材料として用いられていた。また、琉球においても中国もしくは日本から砂糖漬けの製法が伝播され、キッパン(橘餅)やトウガンの砂糖漬けなどが作られている。
中世のフランスでは、フェンネルやアニスを混ぜた果物の砂糖漬けが、後年における胃薬や口臭予防のガムのような存在だった。また、裁判官への心付けや謝礼として、香辛料入りの砂糖漬けやジャムを贈る風習があった。当時は香辛料が貴重だったため、裁判官は貰った菓子を転売して収入を得ていたが、フランス革命によりこの賄賂性の強い風習は禁止された[6][7]。
日本
元禄7年(1694年)に長崎の万才町付近に菓子蜜漬屋敷が建てられた。ここでは幕府献納用の菓子が中国人の指導で作られた[8]。
砂糖漬を扱う『梅鉢屋』によると、当初は漢方薬を扱う薬種店で蜜柑の皮、生姜など種類や量も限られていたことから、薬のように扱われていたのではと推測している。江戸中期になると庶民でも砂糖が手に入りやすくなり、全国的にダイコン、ゴボウ、ナス、フキなどの野菜が漬けられるようになったとされる[9][10][11]。
砂糖漬けの料理
家庭ではレモンや梅の実の短期保存に使われるほか、菓子として利用されるものが多く、マロングラッセのようにそのまま食べる場合や、アンゼリカのようにケーキやクッキーの飾り付けや風味付けに使われることも多い。シトロンの皮の砂糖漬けのような発酵食品[1]のほか、醤油などの塩分も併用した佃煮や漬物もある。中国では適当な大きさに切った砂糖漬けを白湯に入れ、甘い飲料として中国茶と共に供することもある。
出典
- 1 2 Harold McGee 2008, p. 286.
- ↑ 高田明和、橋本仁、伊藤汎『砂糖百科』、社団法人糖業協会、2003年、pp296-316
- ↑ Harold McGee 2008, p. 288.
- ↑ トゥーサン=サマ 2005, pp. 434–436.
- ↑ 「砂糖漬け」 コトバンク 2015年4月21日閲覧
- ↑ トゥーサン=サマ 2005, pp. 436–437.
- ↑ リュシアン・ギュイヨ『香辛料の世界史』白水社1987年、pp20-21
- ↑ “ナガジン!|特集:発見!長崎の歩き方 「長崎発!シュガーロード~全国に伝播した甘い衝撃~」”. www.city.nagasaki.lg.jp. 2025年12月25日閲覧。
- ↑ “砂糖の調理特性を活かしたお菓子|農畜産業振興機構”. 農畜産業振興機構. 2025年12月25日閲覧。
- ↑ “大根、ニンジン…に砂糖をまぶした江戸からの逸品 「野菜菓子」に見るレシピのない味の伝承”. ダイヤモンド・オンライン (2013年11月6日). 2025年12月25日閲覧。
- ↑ “近代日本における野菜砂糖漬の地域的展開・試論 | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2025年12月25日閲覧。
- ↑ “文旦漬(ぼんたんづけ)にっぽん伝統食図鑑”. www.maff.go.jp. 農林水産省. 2025年12月25日閲覧。
- ↑ 福田翼; 内山晃一; 辰野竜平; 古下学; 前田俊道『江戸時代の保存食「さつま砂糖漬け鯛」製造法に関する研究』。doi:10.11402/ajscs.29.0_42。2025年12月25日閲覧。
参考文献
- Harold McGee 著、香西みどり 訳『マギー キッチンサイエンス』共立出版、2008年。ISBN 9784320061606。
- マグロンヌ・トゥーサン=サマ 著、吉田春美 訳『お菓子の歴史』河出書房新社、2005年。 ISBN 4309224377。
関連項目
- コンポート・コンフィ
- デメル
- ドライフルーツ
- 文旦漬・ザボン漬け
- オランジェット
- 地漬 - 黒砂糖を使用した沖縄県の漬物。塩漬けした野菜を黒砂糖と共に発酵させたもの。
- 甘納豆 - 砂糖漬けの製法を応用したもの。
外部リンク
- “砂糖漬け”. コトバンク. 2015年4月21日閲覧。
砂糖漬け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:44 UTC 版)
濃度50%以上の砂糖液に漬け、脱水作用によって細菌の増殖を抑える。例としてジャム、ゼリー、羊羹、加糖練乳など。
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「砂糖漬け」の例文・使い方・用例・文例
- 砂糖漬け果実
- 果物を砂糖漬けにする
- この砂糖漬けは果物とナッツでできている。
- 砂糖漬けのスモモ.
- 砂糖漬けの果物.
- 果物を砂糖漬けにする.
- おかあさんは、常に、私たちが裏庭で栽培したイチゴを砂糖漬けにした
- 砂糖漬けのグレープフルーツ皮
- 甘くておいしいもの(砂糖漬けやペーストリー)
- ワインに浸し、アーモンドと砂糖漬けの果物菓子で飾り付けしたトライフル
- 刻んだ砂糖漬けの果物を含んでいるアイスクリーム
- 刻んだ木の実、マラスキーノチェリー、砂糖漬けの果物、およびリキュールかラムで作られた、栄養に富んだ冷凍プディング
- 濃い濃度の砂糖漬け
- 茎をセロリーのように食べたり、アンゼリカのように砂糖漬けにする
- アンゼリカの茎の砂糖漬け
- 中国料理用:モモの砂糖漬けとチャツネで作る
- 中国料理用:アンズの砂糖漬けとチャツネ
- 青梅を砂糖漬けにした食べ物
- 砂糖漬けにした食品
- 砂糖漬けにすること
砂糖漬けと同じ種類の言葉
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