タンニン【tannin】
読み方:たんにん
一般に、水溶液が強い収斂(しゅうれん)性をもち、皮をなめす性質のある物質の総称。数種の有機化合物の混合物。植物界に広く存在し、俗に渋ともいい、五倍子(ふし)・没食子(もっしょくし)に多く含まれる。皮なめし剤・媒染剤・インクなどに利用。
たん‐にん【担任】
タンニン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/23 04:28 UTC 版)
タンニン(単寧[1]、英: tannin)とは、植物に由来し、タンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応し強く結合して難溶性の塩を形成する水溶性化合物の総称。植物界に普遍的に存在している。多数のフェノール性ヒドロキシ基を持つ複雑な芳香族化合物で、タンパク質や他の巨大分子と強固に結合し、複合体を形成しているものもある[2]。
- ^ 松村明編 「タンニン」『大辞林 4.0』 三省堂、2019年。
- ^ a b c 吉田隆志、波多野力、伊東秀之「天然ナノ分子タンニン -その構造と機能-」『有機合成化学協会誌』第62巻第5号、有機合成化学協会、2004年、500-507頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.62.500。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 大島康義「植物タンニンの化学」『日本農芸化学会誌』第32巻第7号、日本農芸化学会、1958年、81-88頁、doi:10.1271/nogeikagaku1924.32.7_A81。
- ^ a b c 小川一紀「果実とその加工品の話(第4回)果実・果汁飲料と機能性成分(2)ブドウ,カキに含まれる機能性成分」(PDF)『食品と容器』第53巻第12号、缶詰技術研究会、2012年、736-740頁、ISSN 0911-2278、NAID 40019509614。
- ^ a b c 鍛治雅信「かわのはなし(8)」、東京都立皮革技術センター、2020年7月6日閲覧。
- ^ 鍛治雅信「かわのはなし(6)」、東京都立皮革技術センター、2020年7月6日閲覧。
- ^ 酒井温子「柿果実由来のタンニン水溶液の木材防腐防蟻効力」『奈良県森林技術センター研究報告』第41号、奈良県森林技術センター、2012年4月、85-91頁、ISSN 1345-9864、NAID 40019445280。
- ^ 矢崎義和「木質用天然物(タンニン)系接着剤」『日本接着学会誌』第37巻第12号、日本接着学会、2001年、494-499頁、doi:10.11618/adhesion.37.494。
タンニン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 08:43 UTC 版)
タンニンは、ワインの色、熟成能、質感に影響を与える広範な化合物を指す。タンニンには匂いも味もなく、ワインのテイスティングにおいて、触覚器への渇いた感覚や口に残る渋味として検知される。これは、タンニンが唾液に含まれるタンパク質と反応しやすいためである。ワインと食品のマッチングとしては、タンニンの渋味を和らげるため、タンニンの多いワインには赤肉等のタンパク質を多く含む食品が合わせられる。しかし、多くのワイン愛好家は、特に口当たりの面でタンニンを好ましく思っている。ワイン醸造中のタンニンの管理は、最終的なワインの質にとって重要である。 タンニンはブドウの果皮、茎、種子に含まれるが、オーク樽からの移行もあり、また粉末のタンニンが加えられる場合もある。ブドウに含まれる天然のタンニンは、酸性溶液中で加熱されると赤色のアントシアニン色素を遊離する性質から、プロアントシアニジンと呼ばれる。ブドウの抽出物には、モノマーや平均重合度8までの小さなオリゴマーが多く含まれる。ブドウ種子の抽出物には、カテキン、エピカテキン、没食子酸エピカテキンの3種類のモノマーとプロシアニジンのオリゴマーが含まれる。ブドウ果皮の抽出物には、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキンの4種類のモノマーと、プロシアニジン、プロデルフィニジンのオリゴマーが含まれる。タンニンは、代謝の過程で酵素により作られる。ブドウ中に天然に含まれるタンニンの量は品種によって異なり、カベルネ・ソーヴィニヨン、ネッビオーロ、シラー、タナは、タンニンが最も多く含まれる4つの品種である。タンニンやアントシアニンとカテキンとの反応で、色素タンニンと呼ばれる別の種類のタンニンが形成され、赤ワインの色に影響を与える。ワイン醸造の様々な段階で、色の安定性を向上するため、オークの木、ブドウの種子や果皮、植物の虫こぶ、またクリ、ケブラコ、ガンビールノキ、ミロバラン等の果実等に由来する添加用のタンニンを加えることもある。オーク材由来のタンニンは、オークの木に見られるエラグ酸や没食子酸から作られ、加水分解型タンニンとして知られる。 ブドウ畑では、ブドウ中の「熟した」タンニンと「未熟な」タンニンの境目も形成されてくる。この差は、果実を味わうことでおおよそ見極められ、糖の含有量とともに収穫時期の判断に用いられる。この考えは、「熟した」タンニンは味を柔らかくするが、ワインに好ましい口当たりを与えるためである。ワイン醸造において、ムストとブドウの果皮、茎、種子を接触させる時間はワイン中のタンニンの量に影響を与え、マセレーションの時間が長くなると、タンニンの抽出量はより多くなる。収穫後、通常発酵の前に茎は除去されて廃棄されるが、ピノ・ノワール等のタンニンが少ない品種の場合、タンニンの量を増やすために意図的に一部の茎を残すこともある。ワイン中のタンニンの量が過剰な場合、タンニン分子と結合して沈殿させるアルブミン、カゼイン、ゼラチン等の清澄剤を添加することもできる。ワインが熟成すると、タンニンは重合して長鎖になり、柔らかくタンニンの少ない味に感じる。ワインを酸素に晒すことでタンニンを重合しやすいキノン様の物質に酸化すると、この過程は促進される。ミクロオキシジェナシオンやデカンテーションの手法を用いることで、タンニンの熟成を部分的に模倣することができる。 研究により、プロアントシアニジンとして存在するタンニンは、血管の健康に効果があることが示された。この研究では、タンニンが動脈硬化の原因となるペプチドの合成を抑制することが明らかとなった。またこの研究では、フランス南部やスペインの地域でできるワインには特にプロアントシアニジンが豊富に含まれ、これらの地域は寿命が長いことも指摘した。 タンニンとアントシアニジンの反応で、色素タンニンとして知られる別の分類の化合物が生成し、これが赤ワインの色に影響を与えている。
※この「タンニン」の解説は、「ワインのフェノール」の解説の一部です。
「タンニン」を含む「ワインのフェノール」の記事については、「ワインのフェノール」の概要を参照ください。
タンニン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 21:16 UTC 版)
「COVID-19に対する薬剤転用研究」の記事における「タンニン」の解説
柿渋に含まれるタンニンにはコロナウイルスを不活性化する効果がある事が判明し、経口感染の予防効果が期待される。
※この「タンニン」の解説は、「COVID-19に対する薬剤転用研究」の解説の一部です。
「タンニン」を含む「COVID-19に対する薬剤転用研究」の記事については、「COVID-19に対する薬剤転用研究」の概要を参照ください。
タンニン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 03:30 UTC 版)
紅茶におけるタンニンは、エピカテキンやエピガロカテキンなどのカテキン類とその没食子酸エステル誘導体が主となっている。一般に、カテキン類は苦味を、その没食子酸エステル誘導体は渋味を持つといわれる。生茶葉中にも多量に存在する。紅茶製造においては、発酵過程において生成されるテアフラビンなどの赤色色素の前駆体となっており、その抽出液の茶湯の水色に大きな影響を与える。なお、タンニンはポリフェノール化合物の一種でもある。紅茶には、茶葉重量の11%程度タンニンが含まれている。生茶葉中に、乾燥重量に換算して20 - 25%含まれる。生産量の面で主力となる変種のアッサムチャはタンニンの含量が基本変種に対し1.2 - 1.5倍程度多い。
※この「タンニン」の解説は、「紅茶」の解説の一部です。
「タンニン」を含む「紅茶」の記事については、「紅茶」の概要を参照ください。
「タンニン」の例文・使い方・用例・文例
- タンニン酸.
- 皮と獣皮をタンニン酸で当てて、それらを革に変える
- 樹皮タンニンで(皮膚)を日に焼く
- (ワインについて)過剰なタンニンを含んでいるコルクにより、味が損なわれる
- タンニンから得られる
- タンニンが豊富な樹皮
- 種の莢がタンニンの原料となるアメリカの熱帯地方のとげのない小さな高木または低木
- ユーラシアのコリヤナギで、赤みを帯びているか紫色の小枝とタンニンが豊富に含まれる樹皮を持つ
- 太平洋地域のマングローブ樹皮のどれかからとれるタンニン抽出物
- タンニンから取れる、無色で結晶性の酸
- 白い結晶質として黒いカテキュから抽出されるタンニン酸
- 滑革という,タンニンで柔らかくした牛革
- タンニンという化合物
タンニンと同じ種類の言葉
- タンニンのページへのリンク