ルイベとは? わかりやすく解説

ルイベ

アイヌ語凍ったの意》サケコマイを凍らせたまま薄切りしたもの


ルイベ

イベ (アイヌruype)[名] 凍結させた刺身

ルイベ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 18:05 UTC 版)

ルイベは、日本語で、サケ類コマイなどを冷凍保存したものをいう[1][2][注 1]。また、それを凍ったまま薄切りにした刺身をいう[1][2][3]北海道郷土料理[4]。あくまでサケ類が主要な原材料であるが[4]、コマイを始め[1][2][3][4]、のちにはタラ[4]ホタテガイなど[4]でも作られるようになった。


注釈

  1. ^ ここで示した辞事典はいずれも「サケ類」ではなく「サケ/鮭」としているものの、分類学的には、「サケ(別名:シロザケ、学名Oncorhynchus keta )」があり、サケが属する「サケ属(学名:genus Oncorhynchus)」があり、サケ属が属する「サケ類(サケ科 Salmonidae人為分類的名称であり、サケ属を指すことも、サケを指すこともある)」があるため、正確な表現ではない。分類学を背負ってルイベに使われるサケを定義するならば、「サケ(シロザケ)を主としたサケ類のいくつかの」という表現になる。
  2. ^ アイヌ語の "ru-ipe"(ルイペ/ルイベ、融ける魚)< ru(融ける)+ ipe(魚 < 食べ物)]に由来[5]
  3. ^ 知里 2000, p. 61 より引用。
    「イペ」(ipe)は本来は「食べ物」を意味していましたが、後に「魚」の意味になっているのです。同様な言葉に「チェプ」(chep)があります。これも「魚」を意味することばですが、本来は chi-e-p 、〔我らが・食う・物〕のことで、「食べ物」を意味する言葉です。それが魚を意味する言葉にもなっています。
  4. ^ 探検家松浦武四郎安政5年(1858年)に石狩川上流から十勝川流域を調査した際の、石狩川上流のコタンでルイベを振舞われた時の体験記。『十勝日誌』(万延元年/1860年の序跋あり)所収。
    原文》 ※書体は旧字体から新字体へ修正済み。約物は現代の補足。[ ]角括弧内は執筆者自身による語意の補説。〈 〉山括弧内はウィキペディア編集者による補説。
    三月朔日和暖雪大融す。上川村々の人家を廻る。所々にてルイベと云て鮭の生を雪に漬置しを切てルサ[茅盆〈草の茎を編んだ盆〉]に盛りマキリ[小刀]と柳の枝一本に塩を一撮添て出す。[6]
  5. ^ 『蝦夷風俗彙纂』(1882年/明治15年刊)に所収の一項「ルイベの事」における、松浦武四郎の体験記の引用。
    《原文》 ※書体は旧字体から新字体へ修正済み。約物は現代語的修正済み。[ ]角括弧内も引用者によるℍ原文の写し。〈 〉山括弧内はウィキペディア編集者による補説。
    十勝上川村々の人家を廻る。所々にてルイベと云て、鮭の生残雪に漬置しを切てルサ[茅盆〈草の茎を編んだ盆〉]に盛る。マキリ[小刀]と柳の枝一本に塩を一撮添て出す。[7]
  6. ^ 2020年代時点
  7. ^ キーワード検索[ イカの沖漬け ルイベ ][ イカ ルイベ ][ いかわた ルイベ ][ いか肝 ルイベ ]
  8. ^ キーワード検索[ コマイ ルイベ ]
  9. ^ キーワード検索[ ニジマス ルイベ ][ ヒメマス ルイベ ]
  10. ^ キーワード検索[ タラ ルイベ ][ ホタテ ルイベ ]
  11. ^ 少なくとも2010年代半ば以降[14]
  12. ^ shavings、削り屑」[22]を意味するロシア語に由来する[23]

出典

  1. ^ a b c d 小学館『デジタル大辞泉』. “ルイベ”. コトバンク. 2020年4月14日閲覧。
  2. ^ a b c d 三省堂大辞林』第3版. “ルイベ”. コトバンク. 2020年4月14日閲覧。
  3. ^ a b c 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “ルイベ”. コトバンク. 2020年4月14日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 講談社『和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典』『日本の郷土料理がわかる辞典』. “ルイベ”. コトバンク. 2020年4月14日閲覧。
  5. ^ 更科源蔵・更科光 1976, pp. 447-448.
  6. ^ 松浦武四郎 (1860年). “十勝日誌”. 国立国会図書館デジタルコレクション(公式ウェブサイト). 国立国会図書館. 2020年4月14日閲覧。
  7. ^ 蝦夷風俗彙纂. 前編 巻8”. 国立国会図書館デジタルコレクション(公式ウェブサイト). 国立国会図書館. 2020年4月14日閲覧。
  8. ^ http://roshia.space/vocabulary.html [出典無効][リンク切れ]
  9. ^ 愛知県教育委員会 生涯学習課 (2004年〈平成16年〉11月20日付). “ロシア語-実存する「われわれ」-(講師:加藤史朗)< 平成16年11月20日 愛知県立大学公開講座「ことばの万国博覧会ヨーロッパ館 ロシア語」要約”. 学びネットあいち(公式ウェブサイト). 愛知県. 2020年4月14日閲覧。 “(日本語の中のロシア語)(...略...)ルイバ рыба(ルイベの由来)(...略...)それから北海道の珍味「ルイベ」があります。ルイベは凍った魚を切ったもので、これを広辞苑で調べるとアイヌ語となっているのですが、実は古いスラブの言葉です。”※加藤史朗(cf. KAKEN日本の研究.com。ロシア社会思想専門。当時は愛知県立大学外国語学部教授、現・名誉教授)の講義。
  10. ^ a b c ルイベ -『ポンカンピソ』平成10年3月号 (PDF)”. 公式ウェブサイト. 北海道立アイヌ民族文化研究センター (HACRC). pp. 12頁 (9/36) (1998年3月). 2020年4月14日閲覧。
  11. ^ 西川北洋. “明治初期アイヌ風俗図巻「シシャモ ルイベ造り」”. 函館中央図書館デジタル資料室(公式ウェブサイト). 函館市立中央図書館. 2020年5月16日閲覧。
  12. ^ a b c d 郷土料理「ルイベ」と寄生虫”. 公式ウェブサイト. 株式会社 東邦微生物病研究所(総合衛生研究所 ティ・ビー・エル). 2020年4月14日閲覧。
  13. ^ a b 石田修大、日本経済新聞社クロスメディア営業局. “第42回 旧花田家番屋”. 日本の近代遺産50選(公式ウェブサイト). 日本経済新聞社. 2020年4月14日閲覧。 “「道の駅おびら鰊番屋」では鰊ルイベ定食、ウニ玉丼、ニシンそばなどが食べられる。”
  14. ^ a b c 画像と日付を典拠とする。道の駅 おびら鰊番屋 - 日本一周第26日目 小樽~札幌~稚内”. majishini(個人ブログ) (2015年6月25日). 2020年4月14日閲覧。 “さて、鰊番屋ということなので「ニシンのルイベ定食」を昼食としていただく。”
  15. ^ 農文協 1992, pp. 47-48.
  16. ^ サケ 北海道の食文化・サケ (PDF)”. 公式ウェブサイト. 国土交通省 北海道開発局 (HRDB). 2019年10月5日閲覧。
  17. ^ a b c d 中村正人(文) (2019年4月15日). “極東ロシアの先住民族ナナイの郷土料理はウオッカが合う”. NIKKEI STYLE. 日本経済新聞社日経BP. 2020年4月14日閲覧。
  18. ^ 永山・長崎 2016, pp. 18.
  19. ^ 永山・長崎 2016, pp. 24.
  20. ^ 永山・長崎 2016, pp. 49.
  21. ^ 永山・長崎 2016, pp. 38.
  22. ^ shavings”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年4月14日閲覧。
  23. ^ Rasputin et al. 1997, pp. 322–323.


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