天魔とは? わかりやすく解説

てん‐ま【天魔】

読み方:てんま

仏語仏法害し人心悩乱して智慧善根妨げ悪魔欲界第六天、すなわち他化自在天の主である波旬とその眷属(けんぞく)をいう。


天魔

作者池波正太郎

収載図書剣客商売 4 天魔
出版社新潮社
刊行年月1988.9
シリーズ名新潮文庫

収載図書時代小説の楽しみ 7 剣に生き、剣に死す
出版社新潮社
刊行年月1990.9

収載図書剣客商売全集
出版社新潮社
刊行年月1992.5

収載図書剣に生き、剣に死す
出版社新潮社
刊行年月1995.2
シリーズ名新潮文庫

収載図書完本 池波正太郎大成 第11巻 剣客商売
出版社講談社
刊行年月1998.10


天魔

読み方:メハジキ(mehajiki)

シソ科二年草薬用植物

学名 Leonurus japonicus


天魔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/18 16:50 UTC 版)

葛飾北斎画『釈迦御一代図会』より、仏法を滅ぼすために釈迦と仏弟子たちのもとへ来襲する第六天魔王

天魔(てんま)とは第六天魔王波旬(はじゅん、サンスクリット: पापीयस् pāpīyas、より邪悪なもの)、すなわち仏道修行を妨げている悪魔のことである。天子魔(てんしま)・他化自在天(たけじざいてん)・第六天魔王(あるいは単に魔王)ともいう。また、天魔の配下の神霊(魔縁参照)のことを表す場合もある。

概要

第六天とは仏教における天のうち、欲界六欲天の最高位(下から第六位)にある他化自在天をいう。『大智度論』巻9に「此の天は他の所化を奪いて自ら娯楽す、故に他化自在と言う。」とあり、他の者の教化を奪い取る天としている。 また『起世経』巻1には「他化天の上、梵身天の下、其の中間に摩羅波旬・諸天の宮殿有り。」とあり、他化自在天と梵衆天の中間に天魔が住んでいるとする。また『過去現在因果経』巻3には「第六天魔王」が登場し、「自在天王」と称している。 これらを踏まえ、『仏祖統紀』巻2には「諸経に云う、魔波旬六欲の頂に在りて別に宮殿有り。今因果経すなわち自在天王を指す。是の如くなれば則ち第六天に当たる。」とあり、他化自在天=天魔であると考察している。

涅槃経においては天魔が釈迦の教えを破壊するために釈迦や比丘(僧侶)や優婆塞、聖者や阿羅漢のふりをして矛盾する教えを説く事が説かれている。

大般涅槃経での波旬

大般涅槃経では序品において釈尊が今まさに涅槃せられんとする場面から始まり、そこには釈尊の涅槃を知って様々な人物が供養しようとして馳せ参じるがその中には魔王波旬もいたと説かれる。その内容は以下の通り。

波旬は、仏の神力によって地獄の門を開いて清浄水を施して、諸々の地獄の者の苦しみを除き武器を捨てさせて、悪者は悪を捨てることで一切天人の持つ良きものに勝ると仏の真理を諭し、自ら仏のみ許に参じて仏足を頂礼して大乗とその信奉者を守護することを誓った。また、正法を持する者が外道を伏する時のために咒(じゅ、真言)を捧げ、これを誦する者を守護し、その者の煩悩は亀が六を蔵す(亀が四肢首尾を蔵めて外敵より身を守ること)ものであると述べて、最後の供養者として真心を受け給うよう願い出た。釈尊は「汝の飲食(おんじき)供養は受けないが、一切衆生を安穏にせんとするためのその神咒だけは受けよう」と仰せられた。波旬は三度懇請して咒は受け入れられたが終に飲食供養は受け給わず、心に憂いを抱いて一隅に座した。

法華経と第六天の魔王

日蓮は、第六天の魔王を、仏道修行者を法華経から遠ざけようとして現れる魔であると説いた。しかし、純粋な法華経の強信者の祈りの前には第六天の魔王も味方すると、日蓮は自筆の御書で説いている。日蓮があらわした法華経の曼荼羅に第六天の魔王が含まれているのは、第六天の魔王も、結局は法華経の味方となるという意味である。第六天の魔王は、仏道修行者の修行が進むと、さまざまな障りで仏道修行者の信心の邪魔をするが、それに負けず、一途に信心を貫くものにとっては、さらなる信心を重ねるきっかけとなるにすぎない。なぜなら、信心を深めることにより、過去世からのが軽減・消滅し、さらなる信心により功徳が増すきっかけとなるからであると日蓮は説いている。現世で受ける第六天の魔王の障りも、「転重軽受(重きを転じて軽く受く)」で一生の間の難に収まる、とする。

伊勢神宮(天照大御神)と第六天の魔王

伊勢神宮では古来から「神仏隔離」が貫かれており、神事への僧尼の参列や神域内での読経などの仏事を厳禁していた。しかし、古代から中世にかけて神仏習合が進み、僧侶が神事を執り行う神社も全国では少なくなかった状況の中で、なぜ伊勢神宮の祭神である天照大御神は仏教を忌避するのかについて、神仏隔離の根拠と広く信じられたのが「天照大神と第六天魔王が盟約を交わしていたため」という説であった。鎌倉時代の弘長年間(1261年 - 1264年)、僧の無住道暁が伊勢神宮を参詣した際に、「ある神官が語ったことには、『当社では、仏法僧の三宝の御名を言わず、御殿近くには僧でも参詣しない(以下の理由による)。昔この国がまだなかった頃、大海の底に大日の印文(真言)があったので、大神宮(天照大御神)が鉾を下ろして探り出された。その鉾の滴が露のようであったとき、第六天の魔王が遠くから見て、『この滴が国となり、仏法が流布し、人々が生死を解脱する予兆がある』と考え、そうさせないようにと下ってきたとき、大神宮が魔王と会って、『私は三宝の名も言いません。身にも近づけません。早く天上にお帰りください』と説得して仰ったので、魔王は帰った。その約束を違えまいと、僧などは御殿近くにも参詣せず、社殿では経を表立って持たず、三宝の名も正しく言わない。仏をたちすくみ、経を染め紙、僧を髪長、堂をこりたきなどと言い、外には仏法と疎遠のようにして、内には三方をお守りくださっていらっしゃる。それ故、我が国の仏法はまったく大神宮のご方便によるのである。」と聞いたことを、著作である「沙石集」(巻第一「大神宮の御事」)に書き残している。この天照大御神と第六天魔王との盟約説は、太平記(巻十六 日本朝敵の事)にも登場するなど、当時の人々に広く膾炙していたようである[1][2]

脚注

  1. ^ 末木文美士『中世の神と仏』山川出版社 日本史リブレット、2018年5月30日、67頁。 
  2. ^ 伊勢神宮(天照大神)が仏教を嫌う理由 「第六天魔王との盟約説」とは?|仏都伊勢を行く ~神と仏の伊勢神宮~”. note(ノート) (2025年6月21日). 2025年7月24日閲覧。

関連項目


天魔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/09 13:55 UTC 版)

いつか天魔の黒ウサギ」の記事における「天魔」の解説

声 - 中田譲治 / 森川智之川村万梨阿 全貌を見ることはおろか、姿すらも想像つかないような謎に満ちた化け物。「旧支配者(エルドウーイ)」や「星神」と呼ばれている。本人たち曰くおまえたち人類)が生きていられるのは我々のおかげ」とのこと東西南北の4体が存在しており、それぞれ自身契約する天使」を持つ。 「月の外側の神」が天敵らしく、その使いである「最古の魔女」と「預言」を止めるため、「」の呪法生み出す現在の」が紅兄弟であり、日向を「右首」、月光を「左首」としている。 東の魔 東西南北の4体の天魔のうちの1体で、月光作り出した天魔。4体の天魔のうちでは最上位存在で、「預言」を77スクデュルまで見ることができた。 性格は他の天魔にくらべ穏やかで、月光不遜な物言いにも特に気にしておらず、「最古の魔女とされるサイトヒメアを殺そうとした時に月光の話を聞いて殺さず去っている。 他の天魔より深く預言」に精通していたため、自分たちが世界崩壊回避のために作った」の魔術すらも「預言」に組み込まれていることに気づく。そこで自分見ることができる77スクデュルの「預言」にもなかった「月光日向食べ、『』になる」という未来賭け同じく見ることのできた日向と共に月光日向食べるようになる魔術作り出す。しかし33スクデュルの未来恐怖し、日向を「」にして回避しようとする他の3体の天魔に反対され、殺される。 東の魔の天使 東の魔と契約する天使真っ赤な髪にのような瞳孔の赤い瞳を持つ。主である「東の魔」が殺されその使いの左首である月光危機迫っていることから、彼を救うために生徒会室行き生徒会室へ天魔が入ってこれないよう自身の死と引き換えに「東の魔」の死肉用いた強力な結界作り出し亡くなる。 紅 日向くれない ひなた) 声 - 福山潤 / 同左子供時代 - 大浦冬華月光双子の弟。真紅の目に一部メッシュかかった髪をもち、片眼鏡をかけている。兄よりも優秀な頭脳最古の魔術師さえも驚愕するほどの魔力持ち過去にヒメアと大兎襲い、彼らが一時的に分かれる原因となった人物魔界でも有名な悪魔であるアスタロト使い魔としており、さらには天魔の使いである天使をも使役できる。 その正体は天魔の使役する双頭」の右首で、強大な「力」を与えられ存在幼いころから天魔と会話するなどその力を現しており、平凡な両親自分と同格だと思い込んでいた兄のいる日常を疎ましく思い、すでに見ることのできた「預言」の解読没頭していた。しかしその絶望的な内容未来を見て絶望し、心が壊れかけたが、月光の「俺が守ってやる、だから泣くな」という言葉支えられ、「預言」を覆すために自分できること、すなわち「力」をため、最終的に月光に喰われることで一つとなり、彼に強大な力を与えるための行動開始する両親悪魔生贄捧げ人間であることを捨ててまでして「力」をため、一方で月光戦力として美使わせるなどのサポートしながら全て分かっている未来のない人生今日まで生き続けてきた。 「軍」の新たな指導者となり、預言対策のために魔界出向いた月光再会する。そこで兄の成長確かめ、「預言」を覆すための力になるために自身月光に喰わせようとする。しかし日向真意知った月光に「全部却下だ」と拒否され、「お前らの命を喰らわないで預言変えられる」という月光悲観的な意見述べながらも協力することを伝え曲がりなりにも遂に兄と和解する

※この「天魔」の解説は、「いつか天魔の黒ウサギ」の解説の一部です。
「天魔」を含む「いつか天魔の黒ウサギ」の記事については、「いつか天魔の黒ウサギ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「天魔」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「天魔」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「天魔」の関連用語

天魔のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



天魔のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの天魔 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのいつか天魔の黒ウサギ (改訂履歴)、しはるじぇねしす (改訂履歴)、神羅万象チョコ 一鬼火勢の章 (改訂履歴)、恋と冒険の学園TRPG エリュシオン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS