殺生石とは? わかりやすく解説

せっしょう‐せき〔セツシヤウ‐〕【殺生石】

読み方:せっしょうせき

栃木県那須温泉近くにある溶岩の塊。鳥羽天皇寵姫玉藻前(たまものまえ)は妖狐化身で、殺されて石になったという。この石に触った人に災い与えたので後深草天皇の時、玄翁(げんのう)和尚(つえ)で打つと死霊現れ成仏し消えた伝える。国指定名勝

[補説] 曲名別項。→殺生石

殺生石の画像
左のひときわ大きいのが殺生石

せっしょうせき〔セツシヤウセキ〕【殺生石】

読み方:せっしょうせき

謡曲五番目物玉藻前(たまものまえ)が本性現し討たれ執心もったまま殺生石に変じて人に災いを及ぼすが、玄翁(げんのう)和尚法力によって成仏する


殺生石

読み方:セッショウセキ(sesshouseki)

毒石で、往来人馬ことごとくこの毒に当てられ斃れ死ぬといわれる石。


せっしょうせき 【殺生石】

玄翁

殺生石

作者皆川博子

収載図書妖笛
出版社読売新聞社
刊行年月1993.12


殺生石

読み方:セッショウセキ(sesshouseki)

初演 宝永1.1(京・亀屋座)


殺生石

読み方:セッショウセキ(sesshouseki)

分野 謡曲

年代 室町中期

作者 日吉四郎次郎安清(佐阿弥)


殺生石

読み方:セッショウセキ(sesshouseki)

作者 梅崎春生

初出 昭和25年

ジャンル 小説


殺生石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/14 14:24 UTC 版)

割れる前の殺生石(中央の注連縄の石、2018年7月)
割れた殺生石(2022年5月)
地図

殺生石(せっしょうせき)は、栃木県那須郡那須町那須湯本温泉付近に存在する溶岩である。付近一帯に火山性ガスが噴出し、このガスにより鳥獣が命を落とす事例が古来知られてきた。「殺生」とは仏教における五戒のひとつで「いきものの命を奪う」意。

松尾芭蕉が『おくのほそ道』でこの地を訪れていることなどで知られ、国指定名勝となっている(2014年〈平成26年〉3月18日指定)[1][2]

なお伝承上、この石に起源を持つと伝えられている石が全国にいくつかあり、それらの中に「殺生石」と呼ばれているものがあるほか、那須の殺生石同様に火山性ガスが噴出する場所で「殺生石」と呼ばれる石があるとする文献もある[3]。しかし単に「殺生石」といえば那須の殺生石を指すことが多い。

概要

付近一帯は硫化水素亜硫酸ガスなどの有毒な火山ガスが絶えず噴出しており、「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」として古くから知られた名勝であった。松尾芭蕉も訪れ、『おくのほそ道』にその様子が記され、「石の香や 夏草赤く 露暑し」と詠んだ[4]

現在一帯は「殺生石園地」と呼ばれ、観光客が多く訪れる名所となっている。ただしガスの噴出量が多い時は立ち入りが規制される。

2022年3月5日に殺生石が二つに割れていることが確認された[5]。割れる数年前よりひびが確認されていたため、那須町は「自然に割れた可能性が高い」との見解を述べている[5]

2022年12月7日には、殺生石の近くでイノシシ8頭(成獣3頭、幼獣5頭)の死骸が見つかった。群れで行動中に、特に硫化水素や亜硫酸ガスの発生が多いとされる殺生石の右奥付近で横たわっていたという。死骸は翌日に環境省と那須町職員により回収され焼却処分された。これまでもタヌキキツネの死骸は見つかっていたがイノシシは初であった。ガスの有毒性については、人間ならば近づかなければ問題はないが、幼児やペット連れは注意してほしいと以前から看板を設置して注意喚起している[6]

御神火祭

活火山である茶臼岳(那須岳)を鎮める祈りのため、例年5月に[7]一般社団法人那須町観光協会の主催により御神火祭(ごじんかさい)が執り行われる[8]。白装束に狐面やフェイスペイントを施した 100 名[9]の松明行列が、那須温泉神社で「無間地獄の火」[8]を採火し殺生石へ下り、神事の後に殺生石近くに設けられた高さ約 5 m の[10]大松明「御神火」に点火する。殺生石前では白面金毛九尾狐太鼓の披露も行われる[9]

2022年の御神火祭では、いちご一会とちぎ国体の炬火の一部となる火が採火された[11]

伝説

九尾の狐伝説

鳥羽上皇が寵愛したという伝説の女性・玉藻前九尾の狐の化身(妖狐)で、陰陽師の安倍泰成に見破られて東国に逃れ、上総介広常三浦介義純が狐を追いつめ退治すると狐は石に姿を変えたという伝説がある[1][2]。しかし石は毒を発して人々や生き物の命を奪い続けたため「殺生石」と呼ばれるようになり、至徳2年(1385年)には玄翁和尚によって打ち砕かれ[12]、そのかけらが全国に飛散したという。

殺生石が飛散した先は日本各地の「高田」という地名の3ヶ所(諸説あり)とされ、一般には美作国高田(現・岡山県真庭市勝山)、越後国高田(現・新潟県上越市)、安芸国高田(現・広島県安芸高田市)、豊後国高田(現・大分県豊後高田市)、会津高田(現・福島県会津美里町)のいずれかとされる。

「高田」以外の地に破片が散ったとする伝承もあり、飛騨では牛蒡種に、四国では犬神に、上野国ではオサキになったという[13]

各地の殺生石および殺生石にまつわるもの

那須の殺生石にまつわるもの
  • 化生寺岡山県真庭市勝山
    勝山地区は旧称を高田といった地で、玄翁の開山による化生寺境内に、殺生石の石塚が存在している。
  • 伊佐須美神社福島県会津美里町宮林)
    末社に「殺生石稲荷神社」を持つ。殺生石の破片が飛来したと伝わる。殺生石伝説を縁として、会津美里町は2008年より那須町と交流を開始し、2015年に友好都市協定を締結した[14]
  • 常在院(福島県白河市表郷中寺)
    玄翁の開山とされている寺院で、境内に殺生石の破片といわれる石が祀られており、玄翁の座像と、殺生石の縁起を描いた絵巻「紙本著色源翁和尚行状縁起」が伝えられている。
  • 真如堂京都府京都市左京区浄土寺真如町)
    境内に安置されている「鎌倉地蔵」は殺生石から作られたという伝承がある。
  • 殺生稲荷社(埼玉県所沢市
    2022年11月に陰陽本廰の摂社として創建。  
その他
  • 殺生石(大分県玖珠郡九重町
    「朝日長者伝説」にまつわる史跡の1つ。かつて火山ガスを噴出し、付近で生き物が死んでいたという[15]

ギャラリー

殺生石が登場する作品

脚注

  1. ^ a b 国指定名勝「殺生石(せっしょうせき)」と那須伝説「九尾の狐」”. 那須町. 2022年3月6日閲覧。
  2. ^ a b 那須町”. 栃木県市町村職員共済組合. 2022年3月6日閲覧。
  3. ^ ブリタニカ・ジャパン『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、平凡社『世界大百科事典』第2版など。いずれも殺生石(せっしょうせき)とは - コトバンクより参照。
  4. ^ 荻原恭男 校注『芭蕉 おくのほそ道』株式会社 岩波書店 20頁 ISBN 4-00-302062-6
  5. ^ a b 殺生石 真っ二つ 以前からひび、自然現象か 那須」『下野新聞』2022年3月6日。2022年5月6日閲覧。
  6. ^ 那須の殺生石にイノシシ8頭死骸 九尾の狐伝説の地、有毒ガスか」『下野新聞』2022年12月9日。2022年12月10日閲覧。
  7. ^ 1989 年より。“「御神火祭」3年ぶり開催 名勝史跡「殺生石」前で 栃木・那須町”. 朝日新聞デジタル. (2022年5月31日). https://www.asahi.com/articles/ASQ5Z6WFVQ5YUUHB005.html 
  8. ^ a b 2022年5月29日御神火祭” (PDF). 一般社団法人那須町観光協会. 2022年12月10日閲覧。
  9. ^ a b 御神火祭”. 一般社団法人那須町観光協会那須町観光ガイド/イベントカレンダー/. 2022年12月10日閲覧。
  10. ^ “九尾の狐に願いを 殺生石で3年ぶり御神火祭【動画】”. 下野新聞「SOON」ニュース. (2022年5月30日). https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/594223 
  11. ^ “那須の殺生石にイノシシ8頭死骸 九尾の狐伝説の地、有毒ガスか”. 下野新聞「SOON」ニュース. (2022年12月9日). https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/671352 
  12. ^ 古川古松軒『東遊雑記』平凡社、1986年、P.8頁。 
  13. ^ 京極夏彦多田克己編 『妖怪画本 狂歌百物語』 国書刊行会、2008年、298頁。ISBN 978-4-3360-5055-7
  14. ^ 那須町が福島県会津美里町と友好都市協定”. 産経新聞 (2015年10月16日). 2022年5月6日閲覧。
  15. ^ 九重”夢”大吊橋~ミルクランドファーム 5月の景色 九州オルレ 九重・やまなみコース”. 九重町. 2019年6月20日閲覧。

関連項目

外部リンク

座標: 北緯37度6分5.3秒 東経139度59分56.1秒 / 北緯37.101472度 東経139.998917度 / 37.101472; 139.998917


殺生石(せっしょうせき)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 02:34 UTC 版)

東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit.」の記事における「殺生石(せっしょうせき)」の解説

九尾封印された石。毒を吐き続け周辺飛ぶ鳥の命を奪う。早苗曰く外の世界にも存在する

※この「殺生石(せっしょうせき)」の解説は、「東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit.」の解説の一部です。
「殺生石(せっしょうせき)」を含む「東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit.」の記事については、「東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit.」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「殺生石」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「殺生石」の関連用語

殺生石のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



殺生石のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの殺生石 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit. (改訂履歴)、喰霊 (改訂履歴)、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS