大和歌とは? わかりやすく解説

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やまと‐うた【大和歌/×倭歌】


大和歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/30 13:31 UTC 版)

大和歌(やまとうた)は、雅楽における国風歌舞の歌謡である。倭歌とも表記され、和舞(倭舞・大和舞)に伴って歌われる[1][2]

一般語としての「大和歌」は、日本固有の歌、すなわち和歌を意味する語でもある[1]。これに対し、雅楽上の大和歌は、新嘗祭の前夜に大直日歌に続いて奏される国風の歌であり、大和歌、大歌、田歌などを含む歌謡群として説明される[1]。このうち大和歌には舞が伴い、倭舞は大和歌によって舞われる[1]

名称

「大和歌」は「やまとうた」と読む。「倭歌」とも表記される[1]。ただし、「大和歌」という語は古くから和歌一般を指す語としても用いられたため、雅楽の曲名・歌謡としての大和歌を説明する場合には、文学史上の和歌一般を意味する用法と区別する必要がある[1]

雅楽における大和歌は、倭舞と密接に関係する。辞典類では、大和舞は雅楽の一種目であり、その歌を「大和歌」または「倭歌」というと説明される[3]。このため、大和歌は単なる歌詞や独立した声楽曲ではなく、和舞と一体となって国風歌舞を構成する歌謡として理解される。

位置づけ

大和歌は、雅楽のうち国風歌舞に属する歌謡である。国風歌舞は、日本に古くから伝わる歌舞を起源とし、渡来音楽の影響も受けながら平安時代に完成した日本固有の歌と舞の総称である[4]

国風歌舞には、神楽東遊久米舞、和舞、五節舞などが含まれる[5]。大和歌は、このうち和舞に伴う歌謡として位置づけられる。文化デジタルライブラリーは、和舞について「大直日歌」と「倭歌」の2つの歌曲からなり、倭歌に伴って和舞が舞われると説明している[6]

構成と演奏

文化デジタルライブラリーは、和舞の一具の次第として、大直日合音取、大直日歌、倭歌合音取、倭歌、倭舞の順を示している[2]。まず龍笛篳篥による大直日合音取で始まり、続いて大直日歌が歌われる。その後、倭歌合音取に続いて倭歌が歌われ、その間に倭舞が舞われる[2]

この構成から、大和歌・倭歌は和舞と切り離された単独の歌ではなく、音取、歌、伴奏、舞が組み合わされた国風歌舞の一部であることが分かる。和舞の伴奏楽器は、文化デジタルライブラリーでは龍笛、篳篥、和琴の3種のみの編成と説明される[2]。一方、辞典類では、大和舞の演奏について、笛、篳篥、笏拍子が用いられ、歌の主唱者が笏拍子を受け持つと説明される[3]

大直日歌との関係

大和歌は、大直日歌と連続して奏される歌謡として説明される。日本国語大辞典系の説明では、雅楽上の大和歌は、新嘗祭の前夜に大直日歌に続いて奏される国風の歌である[1]。また、文化デジタルライブラリーの和舞の次第でも、大直日合音取、大直日歌、倭歌合音取、倭歌、倭舞という順序が示されている[2]

辞典類では、大和舞の現行次第について、笛・篳篥による大直日歌音取に続いて大直日歌が歌われ、その後、大和歌音取、大和歌へ移り、大和舞が舞われると説明される[3]。このため、大直日歌は和舞に先立つ歌謡として、大和歌・倭歌とともに一連の儀礼的歌舞を構成する。

歌詞

辞典類では、大和舞の次第において、大直日歌と大和歌の歌詞が紹介されている[3]。大直日歌は「新しき 年のはじめに かくしこそ 千歳をかねて 楽しきをつめ」、大和歌は「宮人の 輿にさしたる 榊葉を われ採り持ちて よろづ代や経む」とされる[3]

これらの歌詞は、長寿や繁栄、榊葉を持つ宮廷儀礼的情景を含んでおり、大和歌が単なる民謡的歌謡ではなく、宮中祭祀や祝儀の文脈で奏される国風歌舞の歌であることを示している。

宮中儀礼

大和歌は、新嘗祭や大嘗祭、鎮魂祭と関係する国風歌舞の歌謡である。日本国語大辞典系の説明では、雅楽上の大和歌は新嘗祭前夜に大直日歌に続いて奏されるとされる[1]。また、ブリタニカ国際大百科事典系の説明では、大和歌は大直日歌、倭歌、大歌、田歌の総称とされ、大直日歌と倭歌は毎年11月22日に、大歌は天皇即位式典のときに歌われ、田歌は現在では奏されないと説明される[1]

和舞は、宮中の大嘗祭や鎮魂祭で奏された国風歌舞である[2]。現行宮中雅楽における和舞は毎年11月22日の鎮魂祭で奏されるが、この奏演は非公開である[2]。大和歌・倭歌は、この和舞に伴う歌謡として、宮中祭祀のなかで重要な位置を占める。

和舞との関係

大和歌・倭歌は、和舞と不可分の関係にある。辞典類では、倭舞は大和歌で舞われると説明される[1]。文化デジタルライブラリーも、和舞は「大直日歌」「倭歌」の2つの歌曲からなり、倭歌に伴って和舞が舞われると説明している[6]

このため、和舞を舞踊面から見た名称とすれば、大和歌・倭歌はその歌謡面を示す名称といえる。ただし、資料によっては「大和歌」が大直日歌、倭歌、大歌、田歌などを含む総称として用いられることもあるため、個別曲としての倭歌と、国風歌謡群の総称としての大和歌を区別する必要がある[1]

関連する歌謡

大和歌と関連する国風歌謡には、大直日歌、大歌、田歌などがある[1]。大直日歌は大和歌に先立って歌われ、大歌は五節舞に伴う歌謡として説明される[1]。田歌は大和歌に含まれる歌謡の一つとされるが、現在では奏されないと説明される[1]

これらの歌謡は、いずれも外来楽舞とは異なる日本固有の国風歌舞の系譜に属し、宮中祭祀や即位儀礼と結びついて伝承された。

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 大和歌”. コトバンク. 2026年4月30日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 和舞”. 文化デジタルライブラリー 雅楽. 日本芸術文化振興会. 2026年4月30日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 大和舞”. コトバンク. 2026年4月30日閲覧。
  4. 国風歌舞”. 文化デジタルライブラリー 雅楽. 日本芸術文化振興会. 2026年4月30日閲覧。
  5. 雅楽”. 宮内庁. 宮内庁. 2026年4月30日閲覧。
  6. 1 2 東遊/久米舞/和舞/五節舞”. 文化デジタルライブラリー 雅楽. 日本芸術文化振興会. 2026年4月30日閲覧。

参考文献

  • 『日本国語大辞典』小学館、「大和歌・倭歌」項。
  • 『国史大辞典』吉川弘文館、「雅楽」「国風歌舞」「倭舞」各項。
  • 『新訂増補国史大系 令集解』吉川弘文館。
  • 『新訂増補国史大系 貞観儀式』吉川弘文館。
  • 『新訂増補国史大系 延喜式』吉川弘文館。
  • 『日本古典文学大系 古代歌謡集』岩波書店。

関連項目




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