楫取魚彦とは? わかりやすく解説

かとり‐なひこ【楫取魚彦】

読み方:かとりなひこ

[1723〜1782]江戸中期国学者歌人下総(しもうさ)の人。本姓伊能。号、青藍賀茂真淵(かものまぶち)に学び万葉調の歌を詠み歴史的仮名遣い研究。著「古言梯(こげんてい)」「続冠辞考(ぞくかんじこう)」など。


楫取魚彦

読み方かとり なひこ

江戸後期画家国学者歌人下総生。姓は伊能、名は景良、号に青藍茅生庵、通称を茂右衛門江戸出て国学賀茂真淵、画は建部凌岱学び古文和歌・画を能くした。『古言梯』『万葉集千歌』等の著がある。天明2年(1782)歿、60才。

楫取魚彦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/03 01:11 UTC 版)

楫取魚彦旧宅跡(現伊能忠敬記念館

楫取 魚彦(かとり なひこ、享保8年3月2日1723年4月6日) - 天明2年3月23日1782年5月5日))は、江戸時代中期の国学者歌人画家

本名は伊能景良。通称は茂左衛門。号は青藍・茅生庵(ちぶあん)[1]。同郷で遠縁の親族が測量家の伊能忠敬(伊能三郎右衛門家)である。

略歴

猩猩図 絹本墨画淡彩 江戸中期

享保8年(1723年)、下総国香取郡佐原(現香取市)の名家である伊能茂左衛門家に生まれる。父は伊能景栄(かげまさ)。

はじめは俳諧をたしなみ、建部綾足の門に入って片歌をつくり、あわせてを学んだ[2]。画は余技であったためその作域は狭く、水墨四君子、騰鯉図、富士山図、猩猩図などに限られている。その後、賀茂真淵に師事して古学を修め、仮名遣いの書「古言梯(こげんてい[注 1])」などを編集・出版した。県門の四天王と称揚される[5]。弟子として窪俊満がいる[2]

明和2年(1765年)、家を伊能景序に譲って江戸に出て浜町に卜居した。明和6年(1769年)に真淵が没した後、魚彦に学ぶ者は多く、遂には200人あまりになったという[注 2]

天明2年(1782年)に死去。享年60。下総香取郡牧野村の観満寺に葬る[1]

没後

大正13年(1924年)、正五位を追贈された[7]

伊能茂左衛門家は景序、景海と引き継がれ、曾孫の景晴(節軒・徳輝)は明治初期に小野川改修工事を行ったことで知られた[8]

著書

  • 「古言梯」
  • 「万葉集千歌」
  • 「楢の嬬手(ならのつまで)」
  • 「雨夜の燈火」
  • 「冠辞懸緒」
  • 「続冠辞考」
  • 「ならの葉」
  • 「百人一首略伝」
  • 「筆のさきこと」
  • 歌集「楫取魚彦家集」

作品

  • 「梅花図」 紙本着色 静岡県立美術館所蔵
  • 「酒泉猩々図」 絹本着色 静岡県立美術館所蔵

脚注

注釈

  1. ^ 村田春海清水浜臣『古言梯再考増補標註』にある「古言梯のいて来しをり竟宴の哥」に「古言のかけはしとふふみあつめをへたる日よめる」という魚彦の詞書があり[3]、実際は「ふることのかけはし」が書名である可能性がある[4]
  2. ^ 小澤政胤『慶長以來 國學家略傳』によれば、「特に酒井侯、奧平侯、戸田侯等禮を厚くして延聘し、奧平侯は俸米若干を賜ふといふ。又上野の法親王の寵遇甚渥かりき」ということである[6]

出典

  1. ^ a b 関隆治・編『國学者著述綜覧』森北書店、1943年、63頁。 
  2. ^ a b 仲田勝之助・編校『浮世絵類考』岩波書店〈岩波文庫〉、1982年、126頁。 
  3. ^ 岩澤和夫編著『楫取魚彦資料集』たけしま出版、2001年、25頁。 
  4. ^ 今野真二『仮名遣書論攷』和泉書院〈研究叢書469〉、2016年、198頁。 
  5. ^ 日本古典文学大辞典編集委員会編 『日本古典文学大辞典』簡約版、岩波書店、1986年。
  6. ^ 小澤政胤『慶長以來 國學家略傳』國光社、1900年、201頁。 
  7. ^ 田尻佐 編『贈位諸賢伝 増補版 上』(近藤出版社、1975年)特旨贈位年表 p.51
  8. ^ 『千葉縣香取郡誌』復刻版、崙書房、1972年、P782-783.

参考文献

  • 堤朝風・原輯『近代名家著述目録』(1836年、和泉屋金右衛門)
  • 中根粛治・編『慶長以来諸家著述目録 和学家之部』(1893年、青山堂支店)
  • 大川茂雄・南茂樹・撰『國学者傳記集成』』(1904年、大日本図書)

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