上代特殊仮名遣
上代特殊仮名遣(「音節結合の法則」)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/26 10:25 UTC 版)
「有坂秀世」の記事における「上代特殊仮名遣(「音節結合の法則」)」の解説
有坂の国語学上最大の業績は、上代特殊仮名遣における「母音調和」又はその痕跡を発見したことである。まず「国語にあらわれる一種の母音交替について」(昭和6年12月)において、甲・乙類の仮名に関して、「甲類の仮名に用ゐられた漢字の音は主として明瞭な後舌母音を含み、乙類の仮名に用ゐられた漢字の音は主として中舌的又は前舌的(殊にUmlaut的)の母音を含んでゐる。」と指摘した。その後、「古事記に於けるモの仮名の用法に付いて」(「昭和7年11月)において、さらに分析を深めて、以下の如き「法則」を発表した。 オ列甲類音とオ列乙類音とは、同一結合単位内に共存することはない。 ウ列音とオ列乙類音とは、同一結合単位内に共存することは少ない。特に2音節の単位結合については例外がない。 ア列音とオ列乙類音とは、同一結合単位内に共存することが少ない。 しかし、この論文の一ヶ月前の同じ雑誌「国語と国文学」昭和7年10月に、池上禎造がほぼ同内容の論文「古事記に於ける仮名『毛・母』に就いて」を発表していた。この「先陣争い」は、原稿の日付と雑誌の出版月が「ねじれ」ており、やや複雑である。(慶谷、上掲書、p.273) 有坂秀世: 昭和7年8月1日(原稿日付)、昭和7年11月(出版) 池上禎造: 昭和7年8月2日(原稿日付)、昭和7年10月(出版) しかし、二人の間に争う気持ちのなかった事は、以下の引用文から明らかである。「此の法則に関し、池上禎造は同じ事実を私とは独立に発見せられ、且その発表(私の「国語にあらはれる一種の母音交替について」の所説中の関係部分を引用しては居られるが)に於て私の「古事記に於けるモの仮名の用法について」より一ヶ月先んぜられたにも拘わらず、去る昭和十六年六月の日本諸学振興委員会国語国文学会の研究発表に於て、此の法則を私の研究として引用されたことは、まことに恐縮に存ずる所である。ここに特に記して、感謝の意を公にする次第である。(「国音韻史の研究増補新版」P.681)
※この「上代特殊仮名遣(「音節結合の法則」)」の解説は、「有坂秀世」の解説の一部です。
「上代特殊仮名遣(「音節結合の法則」)」を含む「有坂秀世」の記事については、「有坂秀世」の概要を参照ください。
「上代特殊仮名遣」の例文・使い方・用例・文例
上代特殊仮名遣と同じ種類の言葉
- 上代特殊仮名遣のページへのリンク