恐縮
「恐縮」の意味・由来
恐縮(きょうしゅく)とは、ありがたく、また申し訳なく、あるいは気恥ずかしく思って、身のすくむような気持ちになることを意味する言葉。主に文章や改まった会話で用いる、やや硬い漢語である。「恐縮」は、おそれることを意味する「恐」と、身がすくむことを意味する「縮」から成り、もとは恐怖で身がすくむことも意味した。現代ではもっぱら、ありがたさなどを感じて身がすくむような思いがすることを意味して用いる。
「恐縮」の用法
「恐縮」は、相手に頼みごとなどをする際、「恐縮ですが」(より丁寧には「恐縮ではございますが」)などの形で用いて、それを申し訳なく思っているということを表すこともできる(例、「ご多忙のところ恐縮ですが、ご臨席賜りますようお願い申し上げます」「誠に恐縮ですが、辞退させていただきます」)。また「恐縮」は、謙遜する気持ちを表すのにも用いられる(例、「こんな若造が相手で恐縮です」「恐縮ではございますが、司会を務めさせていただきます」)。
また「恐縮」は、「恐縮です」「恐縮でございます」「恐縮に存じます」などの形で、過分と思われる言葉に対する返答の言葉として用いることもできる(例、「君には期待しているよ」「恐縮です」)。
「恐縮」は名詞ではあるが、主語に立つことは多くない。ただし、「恐縮が過ぎる」などのようには言え、まったく主語にならないということはない。
「恐縮」はサ変自動詞化し、「恐縮する」の形にもなる(例、「先生にほめられて、娘はすっかり恐縮してしまった」「過分なもてなしに恐縮しきりだった」)。
また「恐縮」は形容動詞化し「恐縮な」の形にもなる(例、「たいへん恐縮な気持ちがした」)。
「恐縮」の類語
はなはだしく恐縮することを「恐懼」という(例、「おそれ多きお言葉、恐懼にたえません」)。「恐懼」は「恐縮」と異なり、形容動詞にはならない。「恐縮する」と似た意味の言葉には「恐れ入る」「痛み入る」などがある。
「恐れ入る」は「恐縮する」の和語での表現で、感謝や申し訳なさから身のすくむような思いがする意である。ただし、「恐縮する」は気恥ずかしさから身のすくむような思いがする意にも用いるのに対し、「恐れ入る」にはそのような意味はない。また、「恐れ入る」には、相手の能力などに感服する、また反語的に物事のひどさにあきれる意がある(例、「彼女の博識ぶりには恐れ入った」「あれで代議士とは恐れ入るよ」)が、「恐縮する」にはそのような意味はない。
相手に頼みごとをする場合の「恐縮ですが」は「恐れ入りますが」に言い換えられる。この場合、「恐れ入りますが」のほうが口頭語的である(「恐縮ですが、お履き物をお脱ぎください/恐れ入りますが、お履き物をお脱ぎください」)。
「痛み入る」は、相手の厚意などに対し深く感じ入る意であるが、現代では「痛み入ります」の形で、感謝を述べるあいさつの言葉として用いる場合が多い(例、「ありがたいお言葉、痛み入ります」)。「痛み入る」は和語であるが、「恐縮する」よりも改まった感じを与える。
「恐縮」の派生語
恐縮そうに振る舞うことを「恐縮がる」、恐縮そうなようすを「恐縮げ」という。「恐縮」の用例
(執筆:稲川智樹)
きょう‐しゅく【恐縮】
恐縮
「恐縮」の例文・使い方・用例・文例
- 恐縮ですが駅までの道を教えていただけますか
- おほめにあずかり恐縮です
- お手数をおかけして恐縮ですが,部屋を掃除してください
- ご不便をおかけして恐縮です。お会いするのを楽しみにしております。
- 弊社の社内手続きで恐縮ですが、事前にこの申し込み書類を申請して頂く必要がございます。
- 貴重なお時間を割いて頂き大変恐縮です。
- 大変お忙しい中恐縮ですが、ご対応よろしくお願いします。
- 私のつたない英語にお付き合いいただき、恐縮です。
- お忙しい中、大変恐縮ですがよろしくお願い申し上げます。
- お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
- お忙しい所恐縮ですが、よろしくお願いします。
- ご面倒おかけして恐縮ですが、ご容赦ください。
- お忙しいところお時間を頂戴し恐縮です。
- 恐縮ですが
- 恐縮ですが、解決方法を教えてください。
- 恐縮ですが、手続きを教えてください。
- 何度も恐縮ですがご説明をお願いします
- お返事が送れてしまい大変恐縮です。
- ご挨拶が遅くなってしまい恐縮です。
- 多忙につき、お返事が遅くなってしまい恐縮です。
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