未然形とは? わかりやすく解説

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未然形

読み方:みぜんけい

未然形とは、日本語動詞形容詞活用形一つである。未然形は、その名の通り「まだ(未)なっていない(然)」状態を表す。未然形自体には意味はなく、他の助動詞助詞組み合わせて用いられる例えば、否定の「ない」、意志推量の「う」、仮定の「れば」などは未然形に付く。 未然形は、動詞形容詞語尾変化させることで作られる例えば、五段動詞の「書く」の未然形は「書か」、一段動詞の「見る」の未然形は「見」、形容詞の「高い」の未然形は「高く」である。これらの未然形は、否定形書かない」、「見ない」、「高くない」などの形成用いられる。 未然形は、日本語の文法理解する上で基礎的な知識であり、また、敬語表現作る際にも必要となる。例えば、「書く」の謙譲語「書かせていただく」や、「見る」の尊敬語見られる」も未然形を用いて作られる

みぜん‐けい【未然形】

読み方:みぜんけい

国文法で、活用形の一。活用する語の語形変化のうち、口語で、助動詞「ない」「せる・させる」「れる・られる」「う・よう」を伴うときの形。文語では、「ず」「む」「す・さす」「しむ」「る・らる」などを伴うときの形。六活用形第一におかれる将然言(しょうぜんげん)。


未然形

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/31 06:30 UTC 版)

未然形(みぜんけい)とは、日本語用言における活用形の一つ。日本語の動詞形容詞などは語形変化を起こすが、活用形とは学校文法において語形変化後の語形を6つに分類したもので、そのうち四段動詞の語末がア段で構成されているものを基準に作られたのが未然形である。

定義

未然とは「まだそうではない」という意味であり、否定の「ず」や意志・推量を表す「む」によって作られる語形を意識した名称である[1][2]江戸時代国学では将然言ともいい、これは「そうしようとする」「そうなるだろう」の意味である。

「ず」や「む」をつけると四段動詞の語末はア段音に変化する。例えば、「書く」は「書か|ず」「書か|む」となる。これに基づき「ず」「む」が付いた際の他の動詞活用や形容詞形容動詞助動詞の語形を総称したものが未然形である。未然形が定まると、逆に付属語の方の分類にも使われるようになり、未然形に接続する助詞・助動詞として「る・らる」や「す・さす」「まし」…があるというように使われるようになった。

なお現代口語の文法もこれにもとづいて作られているが、意志・推量の「む」が「う」になったことと、否定の「ず」が「ない」になったこととで語形が異なるものになっており、四段動詞は「書こう」のようにア段音+う→オ段長音に変化したので、五段動詞としてオ段音も含むことになり、形容詞・形容動詞では「おいしかろう」「静かだろう」のように「かろ」「だろ」となった。また形容詞・形容動詞に「ない」がつくと「おいしくない」「静かではない」のようになるのであるが、「ない」を補助形容詞として連用修飾の「く」や「で」としたので、形容詞・形容動詞において否定形は未然形から除外されることになった。

文語 口語
品詞 活用の種類 例語 語形 活用の種類 例語 語形
動詞 四段活用 書く かか -a 五段活用 書く かか
かこ
-a
-o
ラ行変格活用 あり あら -a
ナ行変格活用 死ぬ しな -a
下一段活用 蹴る -e 下一段活用 受ける うけ -e
下二段活用 受く うけ -e
上一段活用 着る -i 上一段活用 起きる おき -i
上二段活用 起く おき -i
カ行変格活用 -o カ行変格活用 来る -o
サ行変格活用 -e サ行変格活用 する

-i
-e
-a
形容詞 ク活用 なし なから から   ない なかろ かろ
シク活用 美し うつくしから しから
形容動詞 ナリ活用 静かなり しづかなら なら   静かだ しずかだろ だろ
タリ活用 堂々たり だうだうたら たら

言語学から見た未然形

形態論から見ると、日本語の動詞は子音語幹動詞と母音語幹動詞に分けられる。四段動詞をローマ字分析すれば、kak|anai・kak|imasu・kak|u…のように変化していないのはkなどの子音の部分までであることが分かる。この語の変化していない部分は語幹と呼ばれ、附属しているものは語尾と呼ばれるが、四段動詞は語幹が子音で終わるので子音語幹動詞である。なおこの基準からすれば、ラ行変格活用ナ行変格活用動詞も子音語幹動詞であり、特定の語尾がつくときに不規則な語形をもつのみである。一方、一段動詞や二段動詞は語幹が母音で終わる母音語幹動詞である。ただし、文語において語幹母音は母音交替を起こして2通りの語形をもっているが、現代口語においては母音交替は起きず語幹は一定である。例えば「起きる」はoki|nai、oki|masu、oki|ru、oki|reba…、「食べる」はtabe|nai、tabe|masu、tabe|ru、tabe|rebaのようにeかiまでが語幹である。ちなみにサ行変格活用カ行変格活用とされる「す(する)」「く(くる)」はこういった規則に合わない語形変化をするので不規則動詞に分類される。

このように見ると、いままで未然形としてまとめられていたものは以下の2通りの方法によって形成されていることが分かる。一つには子音語幹動詞と子音から始まる語尾をつける場合に子音の連続を避けるために母音が挿入されるもので、「ない」や「ず」「む」といった語尾が付くときには、つなぎに/a/が挿入されることによってア段音となるのである。 もう一つには母音/a/から始まる語尾がつく場合であり、子音語幹動詞には直接つき、ア段音となる。一方、母音語幹動詞に付く場合は、母音が連続してしまうので、これを避けるために/r/や/s/が挿入される。例えば受け身などを表す-(r)are-(れる・られる)や使役などを表す-(s)ase-(せる・させる)がこれであり、「書く」ではkak-are(書かれる)のようになるが、「食べる」ではtabe-rare(食べられる)のようにrが挿入される。

また形容詞・形容動詞は文語においてカリ活用やナリ活用といって「~からず」「~ならず」のようになるのであるが、これは語幹と否定の語尾「ず」との間に-ar-(あり)が入っているからである。「あり」は単体では存在を表す語であるが、語尾として使われると指定・措定の文法機能を果たしている。このため、その活用は子音語幹動詞「あり」に準拠して「から」になる。よって、この語形を分析すれば、以下のような構造をしている。

  • うつくしからず - ((utukusik〈語幹〉 + ar〈語尾〉)〈派生語幹〉 + (a)z〈語尾〉)〈派生語幹〉 + u(語尾)

ちなみに現代口語では「あらず」の代わりに「ない」が使われるようになり、「うつくしくない」のようになったのであるが、丁寧形では「ありません」というように「ある」が維持されており、形容詞・形容動詞の丁寧形でも「おいしくありません」「静かではありません」のように「ある」が使われている。

脚注

  1. ^ 芳賀矢一中等教科明治文典』 (1904) に「第一活用形の『死な』は『死なば』と用ゐられて,未だ成立たぬことを仮にいふ形なれば未然形といふ」 (2・2) とあるように,「未然」の意味は元来「ば」という形式の前の未然形について認められた。「る~らる」「す~さす」の前の未然形や,「せざらまし」の中の未然形「せ」に,「未然」の意味はない。
  2. ^ 遠藤 佳那子 (Kanako ENDO) - 活用形のなまえ―未然形― - MISC - researchmap”. researchmap.jp. 2023年10月31日閲覧。

関連項目


未然形

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 09:22 UTC 版)

静岡弁」の記事における「未然形」の解説

中部西部では「…ない」の「な」にアクセント置かれる文 章語共通語東部中部西部出来ない できない できない 出ない でない でない わからない わからない わからない しない しない平板) しない

※この「未然形」の解説は、「静岡弁」の解説の一部です。
「未然形」を含む「静岡弁」の記事については、「静岡弁」の概要を参照ください。

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未然形

出典:『Wiktionary』 (2021/08/21 05:57 UTC 版)

名詞

みぜんけい

  1. 日本語用言助動詞における活用形一つ。六活用形一番目おかれる未然すなわち「まだそうではない」という意味を表すときに現れ文語では「ず」「む」などに、現代語では「ない」「う」などに接続するときに現れる

発音(?)

み↗ぜんけー

関連語


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