異形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/03 07:31 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動異形態(いけいたい、英語: allomorph)とは、同一の形態素であるものがいくつかの異なる形をもって現れるときに、その個々の互いに異なる形を指す。
概説
日本語の助数詞「本」には /hoɴ/(「五本」などにおいて),/poɴ/(「一本」などにおいて),/boɴ/(「三本」などにおいて)という3つの異形態がある。/poɴ/ は直前が促音 /Q/ であるときに、/boɴ/ は直前が撥音 /ɴ/ であるときに現れる異形態であるが、/boɴ/ は直前の形態素が漢語であるときに現れ、/joɴ/(四)のように和語の場合には /hoɴ/ が現れる。これらの異形態は頭子音が /hoɴ/-/poɴ/-/boɴ/ と交替した形である。
ロシア語で「水」を表す単語の語幹は、/vad/(単数主格 вода /vadá/ などにおいて)、/vod/(複数主格 воды /vódɨ/ などにおいて)、/vot/(複数生格 вод /vot/ において)の3つの異形態がある。/vod/ は語幹にアクセントがない場合、/vod/ は語幹にアクセントがある場合、/vot/ は直後に語尾がない(ゼロ語尾)場合に現れる。これらの異形態は母音が /a/-/o/ と交替し、末子音が /d/-/t/ と交替している。
朝鮮語で主格語尾(助詞)は /i/ 이、/ɡa/ 가 という2つの異形態がある。/i/ は名詞語幹が子音で終わる場合に、/ɡa/ は名詞語幹が母音で終わる場合に現れる。この2つの異形態は上記の2つとは異なり、音韻交替の結果として生じたものではなく、互いに語源を異とする形態(補充形)である。
関連項目
外部リンク
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『異形態』 - コトバンク
異形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/21 03:30 UTC 版)
詳細は「異形態」を参照 一つの形態素に複数の異なる形があるとき、それらの形はその形態素の異形態(いけいたい、allomorph)である、という。例えば日本語の「書いた」と「嗅いだ」の「た」と「だ」は、形は違うが両方とも過去の意味を表すので、それぞれ一つの形態素タの異形態である。 異形態同士がある一つの形態素に属すると見なされるのは、それらが相補分布を示すからである。 異形態は、日本語の「た」と「だ」のように、音韻的に似ている場合もあるが、朝鮮語の「이」と「가」のように、そうでない場合もある。音韻的な共通点の少ない異形態を補充的な異形態という。 複数の異形態を持つ形態素が実際にある文脈でどちらの異形態を選ぶかを決める条件には、音韻的、形態的、語彙的の3種類がある。
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