上代特殊仮名遣の新説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 05:38 UTC 版)
著書『白村江敗戦と上代特殊仮名遣い―「日本」を生んだ白村江敗戦 その言語学的証拠』において、上代日本語は現代と同じ5母音であり、「上代特殊仮名遣い」とは、朝鮮語を母語とする百済からの帰化人書記官たちが、朝鮮語の音韻感覚で日本語の条件異音を聞き分け、書き分けたものである、という見方を発表した。 オ段甲乙については、現代関西方言話者のオ段音において、前後の音節の母音との組み合わせ、アクセントの高低などによって、[o]と[ɔ]の2つの音声が生じることに基づき、オ段甲音を[o]、オ段乙音を[ɔ]とした。この両母音は日本人自身には聞き分けることができず弁別機能のない異音だが、朝鮮人には聞き分けることができる音である。また、この2音が生じる諸条件について検証を行った結果、「有坂・池上の法則」は全て説明可能であるとした。 イ段とエ段の甲乙については、ア行の/イ/・/エ/が甲類、ワ行の/ヰ/・/ヱ/が乙類とする考えを述べている(イ・エ段音の甲乙の発音は、/ki/と/kwi/、/pi/と/pwi/、/mi/と/mwi/、/ke/と/kwe/、/pe/と/pwe/、/me/と/mwe/と推定)。ただし、このイ・エ段音の甲乙は、オ段の甲乙のような日本人自身が聞き分けられない異音ではなく、乙類母音は/u/と/i/、/u/と/e/の二重母音、あるいは子音と母音の間に渡り音/w/が入った母音であるとしている。
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