上伊那における東西方言対立とは? わかりやすく解説

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上伊那における東西方言対立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 20:13 UTC 版)

上伊那地域の方言」の記事における「上伊那における東西方言対立」の解説

(1)広い地域両者混用されているが、その分状況資料・文献によって若干異なる。以下、上伊那での分布状況文献別に示す。どの文献にも共通している点は、南下するほど「ン」が、北上するほど「ナイ」が多いという点である。1952年の『上伊那方言集』では、「…ン」の使用地域上伊那全域しながら、「…ンは南部に最も多く伊那町(現伊那市付近では…ネー混合している」と述べられている。 同じく1952年の『信州における方言の分布』では、太田切川分杭峠結んだ線より北(宮田村、旧長谷村以北)を「…ナイ(ネー)」を用い地域、南(駒ヶ根市赤穂以南)を「…ン」を用い地域としている。 1954年の『長野県上伊那郡における東西方言境界線』では、太田切川分杭峠結んだ線より北を「…ネー」と「…ン」を併用する地域、南を「…ン」を用い地域としている。 1969年の『東西方言境界』では50才以上の人言い方では上伊那全域が「ンに少しくナイ混用地帯となっており、高等学校生の言い方では北部が「ナイ、ン等分混用」、中南部が「ンに少しくナイ混用地帯となっている。 1960年代末から1970年代前半にかけて行われた臨地調査上伊那郡民族編 下 言語地図)では、以下のような分布となっている。 「行かないと言うと何と言う地域行かないイカネーイカネーイカンイカン辰野町小野川島 7 0 0 辰野町辰野朝日 9 3 0 箕輪町 12 1 0 南箕輪村 4 1 0 伊那市(旧高遠町長谷村除く) 14 19 4 旧高遠町 10 10 1長谷村 1 12 4 宮田村 0 3 4 駒ヶ根市中沢東伊那 0 7 6 駒ヶ根市赤穂 0 3 5 飯島町 0 1 11 中川村 1 2 14 同じく上伊那郡民俗編 下」の記述的研究では、調査地点4地点における使用意識以下の通りであった辰野町小野ネーまたはネを多く使い、ンはあまり使わない伊那市富県ネーもンも昔から使う。使用頻度丁寧さ同程度伊那市長谷非持山:ネーとンが同程度使われる中川村片桐:ンを使う。ナイ標準語1983年の『宮田村下巻』では以下の2地点加えられている。 宮田村田中ネーもンもよく用いるが、ンの方が少し丁寧。 駒ヶ根市赤穂:(特にインフォーマントによるコメントはないが、ン専用地域として表に載る) 「…ン」を用い地域を−、「…ネー」を用い地域を+、両者併用する地域を±としてまとめると、以下の通りになる。 辰野町小野+ 伊那市富県± 伊那市長谷非持山± 宮田村田中± 駒ヶ根市赤穂中川村片桐1980年の『上伊那方言 ずくなし』では、「…ネー」も「…ン」も使用地域全域となっているが、「しないか・しようよ」(勧誘)では「シンカ」が全域用いられているのに対し、「シネーカ」は伊那市以北となっている。 2010年から2015年にかけて行われた調査長野県伊那諏訪地方言語地図)では、以下のような分布となっている。 「行かないと言うと何と言う地域行かないイカネーイカネーイカンイカン辰野町小野川島 4 0 0 辰野町辰野朝日 16 6 0 箕輪町 8 1 1 南箕輪村 3 1 0 伊那市(旧高遠町長谷村除く) 18 8 1 旧高遠町 7 6 5長谷村 2 4 4 宮田村 5 1 0 駒ヶ根市中沢東伊那 2 1 3 駒ヶ根市赤穂 1 2 2 飯島町 2 0 6 中川村 2 2 5 (2)「イカナンダ」を用いる(西日本方言的) (3) 全域で「イカネバ(イカニャー)」が用いられている(西日本方言的)が、伊那市以北では「イカナケレバ(イカナケリャ、イカナキャ)」と混用されている。 (4) 「コレダ」を用いる(東日本方言的) (5) 1960年代末から1970年代前半にかけて行われた調査上伊那郡民族編 下)では、以下のような分布となっており、北部ではイル南部ではオルが主に用いられている。伊那市以北ではイル一般的であるが、「イルは昔から使い最近はオル使われるようになったと言ったような情報もあったという。 「居る」地域居るイルイルオルオル辰野町小野川島 7 0 0 辰野町辰野朝日 10 2 0 箕輪町 13 0 0 南箕輪村 5 0 0 伊那市(旧高遠町長谷村除く) 34 2 1 旧高遠町 20 1 0長谷村 17 0 0 宮田村 0 3 4 駒ヶ根市中沢東伊那 1 4 8 駒ヶ根市赤穂 0 1 7 飯島町 0 0 12 中川村 0 2 15 その後2010年から2015年にかけて行われた調査長野県伊那諏訪地方言語地図)では、以下のような分布となっており、『長野県伊那諏訪地方言語地図』の筆者は、「上伊那北部や旧高遠町でもオル使われるようになった」と分析している。 「居る」地域居るイルイルオルオル辰野町小野川島 2 2 0 辰野町辰野朝日 19 3 0 箕輪町 9 1 0 南箕輪村 2 2 0 伊那市(旧高遠町長谷村除く) 20 7 0 旧高遠町 14 4 0長谷村 10 1 0 宮田村 2 0 4 駒ヶ根市中沢東伊那 0 1 5 駒ヶ根市赤穂 0 0 4 飯島町 0 3 5 中川村 1 2 6 (6)「起きる」「見る」など一段動詞命令形多くは、南端部で「…ヨ」、その他の地域で「…ロ」となる(混用地帯あり)。ただし、「見せる」「貸せる」「くれる」など一部動詞命令形は、ほぼ全域で「…ヨ」をとなるなど、語による分布違い認められる。 (7)「買ッタ」を用いる(東日本方言的) (8)全域イ音便占められる西日本方言的)が、現在では非音便が多い。 (9)ウ音便はごく限られた語において行われ、「白く」「赤く」など多くの語は「シロー」、「アコーと言ったようなウ音便取らない東日本方言的)が、「ク」の子音が脱落し無くて」→「なうて」のようになる場合がある。 (10)区別持たない東日本方言的) (11)老年層で「…タッタ」、若年層で「…タッケ」が用いられる東日本方言的) (12)「…ンデモ」「…ナンデモ」「…デモ」「…ドモ」などが用いられる西日本方言的) (13)両方用いられる

※この「上伊那における東西方言対立」の解説は、「上伊那地域の方言」の解説の一部です。
「上伊那における東西方言対立」を含む「上伊那地域の方言」の記事については、「上伊那地域の方言」の概要を参照ください。

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