真名本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 05:25 UTC 版)
「真名本」は、本文が漢字(真名)で書かれている。ただし漢文ではなく、変体漢文体という擬漢文体で記されている。 漢字の文章には訓点(博士家系の乎古止点)が振られ、それでも補えない場合には小さいカタカナの注意書きで読みやすくしてある。 真名本の本文。特徴的な朱書きの乎古止点がみえる。(「妙本寺本」巻九) 「遠傳音聞今見目曽我冠者原只今於君御屋形陣内親敵討宮藤左衛門尉助経罷出思我程者共云留耶為音者無一人二人・・・(者共自縁下踊下住立隠小柴影太刀樋)」 (読み下し)「遠くは音にも伝へて聞きつらむ、今は目に見よ。曽我の冠者原が、只今、君の御屋形の陣内に於いて、親の敵、宮藤左衛門尉助経を討ち罷り出づるなり。我と思うはむ程の者共は留めよやと云ひけれど音する者は一人も無し・・・」 (現代語訳)「これまでは噂に聞いていたであろう、今は目にも見よ。曽我兄弟が、たったいま、君のお屋形のうちで、親の仇、工藤左衛門尉祐経を討って引き上げるところである。我と思わんものは、我らを討てよ」だが、応えるものは一人もなかった。(『曽我物語』(現代語で読む歴史文学)p273 より引用) 真名本は「妙本寺本」(保田妙本寺旧蔵)と「本門寺本」(北山本門寺所蔵)の2種が主に挙げられ、このうち本門寺本は妙本寺本を書写したものとされることも多いが、別物であるという指摘もある。真名本を訓読した「大石寺本」なども存在し「訓読本」と称される場合もあるが、その性質から真名本に系統分類されることが多い。 真名本は各巻の主題に「并序 本朝報恩合戦 謝徳闘諍集」と副題が付けられていることが特徴であり、また巻7・9にて同様の文言が引用され「報恩」「謝徳」が理由の仇討ちであると説明されている。
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