万葉仮名の歴史とは? わかりやすく解説

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万葉仮名の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 06:44 UTC 版)

万葉仮名」の記事における「万葉仮名の歴史」の解説

漢字によって日本語の音を写すという点では、中国史書魏志倭人伝』(3世紀末)に「卑弥呼」「耶馬臺」等の先例がある。仏典サンスクリット梵語)の人名地名など漢字表記するのと同様である。 現在知られる国内最古資料と言えるのは、5世紀稲荷山古墳から発見され金錯銘鉄剣である。辛亥年(471年)の製作として、第21代雄略天皇推定される名「獲加多支鹵わかたける)大王」やその宮「斯鬼(しき)宮」、日本神話登場人物四道将軍1人大彦命推定される「意富比垝(おほひこ)」を始祖として、鉄剣製作者とある「乎獲居(をわけ)臣」に至る8代系譜があり、それらの人名地名表記する文字刻まれている。5世紀には江田船山古墳出土銀錯銘大刀にも、「獲加多支鹵わかたける)大王」、「无利弖(むりて)」、「伊太和(いたわ)」という字音表記がある。なお、「癸未」銘のある隅田八幡神社人物画像鏡に「意沙加(おしさか)宮」、「斯麻(しま)」、「開中(かはち?)費直」の表記があり、「癸未」が443年で、かつ日本製だった場合国内最古資料となる(503年説百済製説も有力)。いずれにしても漢字の音を借りて固有語表記する方法は既に5世紀存在していた事になる。 7世紀初め推古期になると上宮聖徳法王帝説金石文伊予道後温湯碑法隆寺金堂薬師如来像光背銘法隆寺金堂釈迦三尊像光背銘など)に多く事例見られる。ただし、これらの推古遺文年代について異説も多い。7世紀中頃木簡大阪市中央区難波宮跡出土652年以前推定)に「皮留久佐乃皮斯米之刀斯(はるくさのはじめのとし)」と和歌冒頭と見られる11文字記されている。7世紀末の木簡徳島市観音寺遺跡出土)にある「奈尓波ツ尓作久矢己乃波奈(なにわつにさくやこのはな)」は古来有名な難波津の歌写したものとしてよく知られている。 8世紀成立した古事記・日本書紀万葉集には多く万葉仮名使われている。それぞれ以下のような特徴がある。 古事記712年) - 呉音字音用いる。一字音節漢字一字で一音節表わす本文漢文であるが、一部日本語万葉仮名表記する。例:久羅下那州 多陀用弊流(くらげなす ただよへる) 歌謡万葉仮名表記する。例:夜久毛多都 伊豆毛夜幣賀岐(やくもたつ いづもやへがき) 日本書紀720年) - 漢音を主とし、呉音用いる。一字音節歌謡万葉仮名表記する。例:波你 渠騰曽舉喩屢 之麻能野父播羅(はろはろに ことそきこゆる しまのやぶはら)(皇極紀) 万葉集8世紀後半) - 呉音加え和訓用いる。その他、一字音節などの表記や、十六(しし)のような言葉遊び含め自由な用法見られるまた、万葉仮名主体表記するものと、和訓主体表記するものがある。仮名主体表記の例:安思比奇能 夜麻毛知可吉乎 保登等藝須 都奇多都麻泥尓 奈仁加吉奈可奴(あしひきの やまもちかきを ほととぎす つきたつまでに なにかきなかぬ) 訓字主体表記の例:春過而 夏来良之 白妙能 衣乾有 天之香来山(はるすぎて なつきたるらし しろたへの ころもほしたり あめのかくやま)(持統天皇一字音節漢字字音音読み)を用いるのが古い用例である。もっとも、漢字の音と日本語の音は必ずしも一致しておらず、例えば「ヌ」に当る音が中国語になかったため「奴」(no)の字を用いたが、この字は「ノ」とも読まれた。和訓訓読み)は後に生まれたもので、推古遺文にも見られる前述のように年代異論がある)。例えば「をはりだ」という地名は、音で「乎波理陀」、訓で「小治田と書くことができる。また、日本一般的に使われていた音読み呉音であり、『日本書紀漢音当時中国語の音)が用いられているのは異例である(日本書紀中国人述作説の根拠一つともなっている)。奈良時代にはこの他にも、正倉院文書大宝二年戸籍正倉院万葉仮名文書等)や金石文仏足跡歌碑等)、木簡資料風土記続日本紀宣命などの例がある。 平安時代入っても「新撰万葉集」(893年913年)のように万葉仮名用いられていたが、やがて平仮名片仮名万葉仮名代って広く用いられるうになる平仮名万葉仮名草書体化が進められ独立した字体化したもの、片仮名万葉仮名一部ないし全部用い、音を表す訓点記号として生まれたものと言われている。ただし平仮名片仮名普及した後にも「催馬楽」などの歌謡神道祝詞、「和名類聚抄」などの辞書漢字読み方万葉仮名で示す)などでは万葉仮名使われている。 現代でも地名人名(特に女性名)などで漢字の意味離れ、音を使って書き表す例があり、万葉仮名同様に捉えることができる。

※この「万葉仮名の歴史」の解説は、「万葉仮名」の解説の一部です。
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