ぢとは? わかりやすく解説

「ち」の濁音現代共通語では「じ」と発音上の区別はなく、硬口蓋有声破擦子音[dʒ]と母音[i]とから成る音節。[dʒi]

[補説] 現代仮名遣いでは、この音節仮名として、一般には「じ」が用いられるが、二語の連合による連濁(「はなぢ(鼻血)」「まぢか(間近)」など)と同音連呼(「ちぢみ(縮)」「ちぢめる(縮める)」など)の場合には「ぢ」も用いられる。「ぢ」は、古くは[di]の音であったが、室町時代末には[dʒi]と発音されていた。それでも、なお「じ」(発音[ʒi])とは区別されていたが、江戸時代入り両者発音上の区別なくなった


ぢ【箇/個】

読み方:ぢ

接尾⇒じ(箇)


地(ぢ)

->地(じ)


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/09 18:52 UTC 版)

平仮名
文字
字源 に濁点
JIS X 0213 1-4-34
Unicode U+3062
片仮名
文字
字源 チに濁点
JIS X 0213 1-5-34
Unicode U+30C2
言語
言語 ja
ローマ字
ヘボン式 JI
訓令式 ZI(DI)
JIS X 4063 di
発音
IPA d͡ʑi̞
種別
濁音
「ぢ」の筆順
「ヂ」の筆順

は、仮名のひとつであり、濁点をつけた文字である。四つ仮名の一つ。 日本語音節のひとつとして用いられ、1モーラを形成する。

日本語における発音

  • 現代標準語の音韻: 1子音と1母音」から成る音。語頭や促音・撥音の後で舌の前部を上歯茎の後ろに付けて、離すときに、狭い隙間を作って摩擦した音を出す有声歯茎硬口蓋破擦音、すなわち「ち」の有声化音。または語中においては舌の前部を上歯茎の後ろから硬口蓋近くの範囲に付けずに近づけて、隙間から声を摩擦させて通すときに出る有声歯茎硬口蓋摩擦音、すなわち「」の子音の有声音である。これら2つの「ぢ」の発音は、一般に日本語の話者にはほとんど聞き分けられず、意味上の差異はない。大体において破擦音は語頭、撥音の後ろで現れ、摩擦音は語中で現れる。
  • 上代には舌先の破裂音を子音とする /di/ であったと考えられるが、室町時代末には口蓋化した摩擦音を伴う /dʒi/ に転じていた。江戸時代に入ると「ぢ」(/dʒi/)と「じ」(/ʒi/)の発音上の区別が失われ、仮名遣いの混乱を生じるようになった。拗音の場合も同様である[1]
  • 「ぢ」は「」と同じ発音であり、現代標準語では「ぢ」と「じ」を音の上で区別しない。現代仮名遣いでは例外を除いて「ぢ」で書かれてきたものをすべて「じ」で書く。例外として同音の連呼によって生じている場合(「ちぢむ」「ちぢれる」など)もしくは二語の連合によって生じている場合(「はなぢ」「そこぢから」など)には「ぢ」を用いることとされ、現代語の一般的意識では二語に分解しにくい語については「じ」を本則としつつ「ぢ」も可としている(「世界中」など)[2]
  • 有声歯茎硬口蓋摩擦音[ʑ]有声歯茎硬口蓋破擦音[d͡ʑ]または国際音声記号では有声後部歯茎摩擦音[ʒ]有声後部歯茎破擦音[d͡ʒ]で記述される。どちらかといえば[ʑ, d͡ʑ]が近く、[ʒ, d͡ʒ]で表される場合でも英語のvisionなどの s や j とは異なっている。濁音も「ち」同様、調音点が異なっている。「だ、で、ど」と同じ調音点で発音すると/di/となる。こちらも中世以降日本語から消えていた音であり、近代になって外来語などのなかで復活した(現在は、「でぃ」「ディ」又は、「じ」「ジ」等と表記される事が多い。)。
  • 発音 [ヘルプ/ファイル]

ぢ に関わる諸事項

一般的な「ぢ」と「じ」の使い分けについては、四つ仮名を参照。

  • 平仮名で「ぢ」と表記することがある。痔薬販売会社のヒサヤ大黒堂がシンボルマークを歴史的仮名遣いで「ぢ」としていることから広まったものである。ヒサヤ大黒堂のほか、痔治療薬「レンシン」(指定第2類医薬品、レンシン製薬[4])がこの文字を広告用のぼりなどで使用している。
  • 「地面」や「地震」は歴史的仮名遣いでは「ぢ~」と書くが[5]、現代仮名遣いではこれらの「ぢ」は「二語の連合によって生じている場合」に当たらないと考えたため「じ」と書くこととなった。
  • 「ち」が濁音化し「ぢ」と表記される地名がある。
    • 小千谷(新潟県) → おぢや
    • 三軒茶屋(東京都世田谷区) → さんげんぢゃや
  • 朝鮮料理チヂミ は、朝鮮語だが「ヂ」が使用される。同様に朝鮮語を日本語表記する場合には「ぢ」を使用することも多い。
  • 漫画で時々、「○○ぢゃねーか!」といったセリフ表記がみられるが、この表記方法は歴史的仮名遣いでは正しいもので、実際に大正時代から太平洋戦争前の昭和期に発表された漫画や小説の中では、ごく普通に使われていた。
  • 上述のように近代以降、外来語の表記として用いられた。原語が/di/でない例には、ジャーナリズム(journalism)など英語のJ音(音価/dʒ/)に対して用いたものがある。フランス語等のJ音(/ʒ/)が「」本来の、「シ」の濁った音(歴史的に「ヂ」と合流する前の古い音)の子音に近いのに対し、英語のJ音は「ヂ」の子音に近い。また、ベンジン(benzine)など、原語が/di//dʒi/と発音しない語であっても「ヂ」を当ててきた例もある。
    • 雑誌「大映ヂャーナル」(戦後の映画雑誌)
    • エステーから発売されているシミ取り剤に「アルプスベンヂン」がある[6] 。また、大和薬品工業[7]から発売されている布のシミ取り剤に「ダイワ Aベンヂン」がある。

脚注

  1. ^ 日本国語大辞典』(第2版)小学館、2001年。 
  2. ^ 現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例) Archived 2013年6月21日, at the Wayback Machine. 文化庁
  3. ^ 「宮沢賢治―素顔のわが友」佐藤隆房(冨山房企畫 2012年)
  4. ^ レンシン製薬株式会社:福井県坂井市丸岡町法人番号6210001008321
  5. ^ 日本語、どうでしょう? 第214回 「地面」はなぜ「じめん」なのか? - ジャパンナレッジ 知識の泉 神永曉
  6. ^ アルプスベンヂン エステー
  7. ^ 大和薬品工業株式会社[1]富山県富山市下奥井、法人番号7230001001554

関連項目


出典:『Wiktionary』 (2021/08/11 07:50 UTC 版)

発音(?)

「じ」と同音中世末期までは別音であったが、江戸期区別がなくなる。四つ仮名

  • IPA: /ʒi/、/ʤi/、/ʑi/又は/ʥi/

用法

以下の場合に「ぢ」を用いる。


「ぢ」の例文・使い方・用例・文例

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