インシデント
インシデントとは、予期しない事象や問題が発生した際に用いられる言葉である。主に情報システムやネットワークにおいて、セキュリティ上の脅威やシステム障害、データ漏洩などの不具合が生じた場合に指すことが多い。インシデントは、組織や個人に損害を与える可能性があり、対応が適切でないと、その影響が拡大することがある。
インシデント対応は、発生したインシデントに対して迅速かつ適切に対処するプロセスである。インシデント対応の目的は、インシデントの影響を最小限に抑え、システムやサービスの正常な運用を速やかに回復させることである。インシデント対応は、一般的に以下のステップで構成される。
1. 検出:インシデントが発生したことを認識する。
2. 分析:インシデントの原因や影響範囲を特定する。
3. 対策:インシデントの影響を最小限に抑えるための対策を実施する。
4. 復旧:システムやサービスを正常な状態に戻す。
5. 評価:インシデント対応の効果を評価し、今後の対策に活かす。
インシデント対応は、組織内の情報セキュリティポリシーやプロセスに従って行われるべきである。また、インシデント対応チームが設置されている場合、専門的な知識や技術を持つメンバーが迅速かつ適切な対応を行うことが求められる。
incident
「incident」の意味
「incident」は、事件や事故、出来事を意味する英単語である。主に予期しない出来事や特定の場所・時間において発生した問題を指す。例えば、交通事故や犯罪事件、または企業内でのトラブルなどが該当する。「incident」の発音・読み方
「incident」の発音は、/ˈɪnsɪdənt/であり、IPAのカタカナ読みでは「インシデント」となる。日本人が発音するカタカナ英語では「インシデント」と読むことが一般的である。「incident」の語源
「incident」は、ラテン語の「incidere」が語源であり、これは「起こる」という意味を持つ。さらに、「incidere」は、「in-」(中に)と「cadere」(落ちる)という二つの単語から成り立っている。従って、「incident」は、文字通り「中に落ちる」という意味で、何らかの出来事が発生したことを示す。「incident」の類語
「incident」の類語には、以下のような単語がある。1. event
「event」は、出来事やイベントを意味する単語で、特定の場所や時間で起こる事象を指す。ただし、「incident」と異なり、予定されたイベントや祭典なども含む。2. occurrence
「occurrence」は、発生や出来事を意味する単語で、「incident」と同様に予期しない事象を指すことが多い。ただし、「incident」よりも広い意味を持ち、自然現象なども含む。3. accident
「accident」は、事故や偶然を意味する単語で、予期せぬ悪い出来事や災害を指すことが多い。「incident」と比較すると、より悪い結果や影響が伴うことが特徴である。「incident」に関連する用語・表現
「incident」に関連する用語や表現には、以下のようなものがある。1. security incident
「security incident」は、セキュリティに関連する事件や事故を指す。例えば、情報漏洩やサイバー攻撃などが該当する。2. traffic incident
「traffic incident」は、交通に関連する事件や事故を指す。例えば、交通事故や渋滞、道路の閉鎖などが該当する。「incident」の例文
1. The incident occurred at the intersection.(日本語訳:その事件は交差点で起こった。) 2. The police are investigating the incident.(日本語訳:警察はその事件を捜査している。) 3. The company experienced a major security incident.(日本語訳:その企業は大規模なセキュリティ事件を経験した。) 4. The traffic incident caused a long delay.(日本語訳:その交通事故により長時間の遅延が発生した。) 5. The incident was reported in the local newspaper.(日本語訳:その事件は地元の新聞で報道された。) 6. The incident was a result of miscommunication.(日本語訳:その事件は誤解から生じた。) 7. The manager handled the incident professionally.(日本語訳:マネージャーはその事件をプロフェッショナルに対処した。) 8. The incident led to a change in company policy.(日本語訳:その事件は企業の方針変更につながった。) 9. The incident was resolved without any injuries.(日本語訳:その事件はけが人なしで解決された。) 10. The incident was a turning point in his life.(日本語訳:その事件は彼の人生の転機となった。)インシデント
「インシデント」とは、発見が遅れたり気付かずに見過ごされた場合に重大な事件や事故・危機的な状況に発展する可能性やリスクを持つ出来事・事案・事象・事例のことを意味する表現。
ちょっとした異変という程度で済んだがもしかすると大事に発展していたかもしれなかった出来事、あわや大惨事となっていた可能性もあった事態、一歩間違えていたら本格的にヤバかった状況、という意味合いで用いられる表現。際どさの程度が甚だしいインシデントは特に「重大インシデント」と表現される。
インシデント(incident)はもともと英語で「事件」「出来事」という意味で用いられる語である。英語でも「重大な事件に至る危険のあった小事件」というニュアンスでインシデント(incident)の語が用いられる。
インシデントの他にアクシデント (accident)なども事故・事件に関する語としてよく用いられる。アクシデントは「不慮の事故」「不意に発生する災難」といった意味の語であり、事故・災難・損害が(規模はどうであれ)実際に生じてしまった状況が念頭に置かれているといえる。インシデントは、アクシデントに至りかねなかった手前の段階とも言い得る。
「一歩間違っていたら大惨事になっていた」という状況を指す語としては「ヒヤリ・ハット」なども挙げられる。インシデントとヒヤリハットには共通する部分もあり、同義語のように使える場合も多いが、ヒヤリハットには人間の不注意・誤認・判断ミスといった過ちが事故の要因になる(可能性があった)という状況を指す意味で用いられる場合が多い。
インシデントという語は日本語においては航空・鉄道、医療、情報セキュリティの分野などで危機管理の用語としてよく用いられる。
いわゆる「社会セキュリティ」の分野では、社会における事業の中断や阻害が引き起こされる(恐れがある)緊急事態をインシデントと呼ぶことがある。自然災害も人為的・意図的な攻撃も、あらゆる種類の脅威がインシデントたり得る。
情報セキュリティの分野では、情報システムの運用や個人情報の管理に支障を来すような事態に陥りかねない状況をインシデント(セキュリティインシデント)と呼ぶことがある。典型的なセキュリティインシデントとしては、サイバー攻撃を受ける、ウェブサイトが改竄される、システムにセキュリティホールが見つかる、といった状況が挙げられる。
ITサービスマネジメントの分野においては、事業者が提供するITサービスがシステムの不具合や事故などにより中断または阻害され、サービスの質や利便性が損なわれる状況に至りかねない状況がインシデントと呼ばれる。この場合のインシデントは、利用者(ユーザー)にとってサービスが満足に利用できない状況全般が幅広く含まれる。インシデントを未然に防ぎ、あるいはインシデントに迅速に対応し、顧客満足度を高く維持するための管理運用を「インシデント管理」という。
インシデント
「インシデント」とは・「インシデント」の意味
「インシデント」には、事故が起こりうる危機的状況における「出来事」や「事態」という意味がある。「インシデント」は「アクシデント」と響きが似ているが、「アクシデント」は起きてしまった「事故」や「事件」という意味であるのに対し、「インシデント」は大きな事故や事件に繋がりうる未然に防げた「出来事」や「事態」のことを指す。「インシデント」と同等の意味で用いられる言葉に「ヒヤリハット」があるが、細かいニュアンスが異なる。「ヒヤリハット」は一歩間違えば大きな事故に繋がっていた事態に「ひやり」としたり「ハッ」としたりすることを指すが、「インシデント」は何の前触れもなしに危機的事態に陥るケースも含まれる。そのため、全くの同義語として用いることはできない。医療や看護業界において、「インシデント」は患者に影響を与える可能性があった「出来事」や「事態」を意味する。施していたら患者の健康や生命に影響を及ぼしたであろう医療行為、もしくは施したけれど幸い患者の健康や生命に影響が出なかった医療ミスなどは、「インシデント」の事例としてあげられる。医療・看護業界においては、「インシデント」の事例を集め対策を練ることで、「アクシデント」を防ごうという動きがある。そのため、「インシデント」としては0レベルである「ヒヤリハット」のケースにおいても、報告書を書くことを推奨している。
it業界においては、本来は行える業務がシステムの不具合などで行えない、セキュリティを脅かす攻撃を受けたケースなどを「インシデント」と呼ぶ。it業界における「インシデント」の例題としては、不正アクセスやマルウェア感染、情報漏洩などがあげられる。
「インシデント」の語源・由来
「インシデント」は、英単語の「incident」に由来するカタカナ語である。英単語の「incident」は、「起こっている」という意味のラテン語「 incidens」を語源とする。「インシデント」の熟語・言い回し
インシデントレポートとは
インシデントレポートは、病院や介護施設などの医療施設において、医療ミスが起こりうる事態を報告するためのレポートである。反省文や始末書ではなく、重大な事故を防ぐための対策として提出するものである。
インシデント病院とは
インシデント病院とは、インシデントが起こった病院のことを指す。どの病院でも恒常的にインシデントは起きているが大きさによってレベル分けされており、その中でも永続的な後遺症や死亡に繋がるようなインシデントを起こした病院のことをインシデント病院という。
突き出しインデントとは
突き出しインデントとは、文書を作成する際に1文字目に目印になる記号や数字を配置し、2文字目から文章を作成するもので、主に箇条書きの際に用いられる手法である。
重要インシデントとは
重要インシデントとは、航空や鉄道、船舶などにおいて、重大な事故に繋がりかねない事態のことを指す。実際には事故に至らず、未然に防げたケースのことである。
「インシデント」の使い方・例文
・あのインシデントは、私の心に彼への疑念を植え付けた。・報告書によると、そのインシデントは職場に誰もいない時に起こったという。
・そのインシデントが起きた時、飛行機はすでに滑走路を走っていた。
・インシデントレポートは、大きな事故を未然に防ぐために役立っている。
・1つのインシデントだけで、自分の判断基準を定めないようにしている。
・来週、このインシデントに関する公式な調査が行われる。
・インシデントにより危機管理が働き、施設は安全に運営されている。
・事故を防ぐためには、職場全体でインシデントを共有することが大切である。
・ユーザーが快適にシステムを利用するにはインシデント管理が必要だ。
・職場で起こるモラハラやパワハラも、従業員のメンタルトラブルに繋がるインシデントの一種である。
インシデント【incident】
インシデント
インシデントとは、英語で「出来事」「事変」などを意味する語である。特に情報セキュリティの分野では、コンピュータやネットワークのセキュリティを脅かす事象の意味で用いられる。
情報セキュリティでは、主に、情報セキュリティが脅かされ重大事故につながるおそれがあった事例をインシデントと呼ぶ。重大事故に至った場合を含むこともある。発生要因が偶発的であったか仕組まれた意図的なものかは問われない。
「セキュリティインシデント」や「コンピュータセキュリティインシデント」などとも呼ばれるが、単に「インシデント」と呼ばれることも多い。
一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターは、情報セキュリティ上のインシデントの例として、不正アクセス、不正中継、システムへの侵入、データの改ざん、サービス妨害行為(DoS)などを挙げている。
参照リンク
インシデントとは - (一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター インターネット用語1分解説)
セキュリティ: | 暗号の2010年問題 悪性コード エクスプロイトコード インシデント CSIRT ハイテク犯罪 パッカー |
インシデント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/08 07:51 UTC 版)
インシデント (英: incident) は、事故(アクシデント)などの危難が発生するおそれのある事態を言う。
定義
社会セキュリティにおける定義
社会セキュリティに関する用語を定義するISOのISO22300、およびそれと同等なJIS Q 22300:2013 では次のように定義されている。
「 | Incident
Situation that might be, or could lead to, a disruption, loss, emergency or crisis. 「中断・阻害、損失、緊急事態、危機に、なり得るまたはそれらを引き起こし得る状況」 |
」 |
—ISO22300 (2.1.15) |
情報セキュリティにおける定義
情報セキュリティマネジメントシステムを定義するISO 27000、およびそれと同等なJIS Q 27000では、情報セキュリティに関するインシデントを以下のように定義している:
「 | 情報セキュリティインシデント(英: information security incident)
望まない単独若しくは一連の情報セキュリティ事象,又は予期しない単独若しくは一連の情報セキュリティ事象であって,事業運営を危うくする確率及び情報セキュリティを脅かす確率が高いもの。 |
」 |
—JIS Q 27000:2014 箇条 2.36 |
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)のガイドラインであるSP 800-61 コンピュータセキュリティインシデント対応ガイドでは、以下のように定義している[1]:
「 | コンピュータセキュリティインシデント(事件)
組織が定めるセキュリティポリシーやコンピュータの利用規定に対する違反行為または差し迫った脅威、あるいは、標準的なセキュリティ活動に対する違反行為または差し迫った脅威を示す |
」 |
—NIST SP 800-61 コンピュータセキュリティインシデント対応ガイド |
ITサービスマネジメントにおける定義
ITサービスマネジメントのベストプラクティスであるITIL(英: Information Technology Infrastructure Library)においてインシデントは以下のように定義されている[2]
「 | インシデント
サービスの中断又はサービス品質の低下を引き起こす、あるいは引き起こす場合がある、サービスの標準オペレーションに含まれていないあらゆるイベント |
」 |
詳細はサービスサポート#インシデント管理を参照。
航空・鉄道
![]() | この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
日本では、航空法第76条の2において、航行中に他の航空機との衝突・接触の恐れがあった場合と、「事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたとき」(同法)は機長が国土交通大臣に報告することが義務付けられている。この報告義務が発生する事態を重大インシデントという。
これに該当する事態は、航空法施行規則第166条の4により定められている。
鉄道事業法第19条の2では、「列車又は車両の運転中における事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたとき」(同法)は鉄道事業者が国土交通大臣に報告することが義務付けられている。この報告義務が発生する事態を重大インシデントという。
これに該当する事態は、鉄道事故等報告規則第4条により定められている。
- 鉄道重大インシデントの例
インシデントの分析
SHELモデル
インシデントを減少させるためにはなぜそれが起こったかという要因分析が重要である。例としてSHEL(シェル)モデルがある。
- S: ソフトウェア(英: Software)…… マニュアルなど
- H: ハードウェア(英: Hardware)…… 道具、機器
- E: 環境(英: Environment)
- L: 個人的要素(英: Liveware)…… 性格なども含む
これらの要因ごとに分析をし、そのインシデント発生の原因を把握して対処する。
Lを当事者と周囲の人々の二つに分けてSHELL(シェル)モデルということもある。
SHEL モデルは、航空事故に関して 1972年に Elwin Edwards によって作られたモデルをもとに、1975年に Frank H Hawkins が作った。 これが日本では徐々に医療・介護分野でも応用されていった。
ハインリッヒの法則
1件の重大事故(重傷以上)があれば、その背後に29件の軽度の事故があり、300件のインシデントが潜んでいる。この経験則をハインリッヒの法則という。この法則に基づいて、予防可能な不安全行動や不安全状態をなくすことによって、重大事故のリスクを減少させることができる。
脚注
- ^ NIST. “SP 800-61 コンピュータセキュリティインシデント対応ガイド(日本語訳)p 2-1” (pdf). IPA. 2018年9月12日閲覧。
- ^ ITIL Incident Management - The ITIL Open Guide
関連項目
インシデント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 14:38 UTC 版)
「スカイ・クロラシリーズ」の記事における「インシデント」の解説
スカイ・クロラ イノセン・テイセスに登場。双発双胴で牽引式の戦闘機。
※この「インシデント」の解説は、「スカイ・クロラシリーズ」の解説の一部です。
「インシデント」を含む「スカイ・クロラシリーズ」の記事については、「スカイ・クロラシリーズ」の概要を参照ください。
「インシデント」の例文・使い方・用例・文例
- 今日はインシデントプロセス法を使った研修を受けに行く。
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