シーサート【CSIRT】
CSIRT
CSIRT
読み方:シーサート
別名:コンピュータセキュリティインシデント対応チーム
CSIRTとは、コンピュータやネットワークにおいて生じ得るセキュリティ上の問題(インシデント)に対応するために設置される専門チームのことである。
CSIRTは消防署にたとえて解説されることが多い。消防署はインシデント(火災)に対応に備えて常時待機しており、問題発生時には迅速に駆けつけて対応に当たる。緊急事態発生後の事後対応だけでなく、問題が生じないようにあらかじめ対応や指導を行う事前対応も重視される。また周囲も問題発生時に迅速に連絡する緊急連絡先(119番)をあらかじめ把握している。
コンピュータセキュリティの分野におけるインシデントの例として、JPCERT/CCは、「情報流出、フィッシングサイト、不正侵入、マルウエア感染、Web 改ざん、DoS(DDoS)など」を挙げている。なおJPCERT/CCはCSIRTに該当する日本国内初のにあたる組織である。
CSIRTは企業内の部門として設置されることもあれば、一個の組織として設置されることもある。実運用の標準的・統一的な規則などは特になく、各CSIRTの動きはそれぞれ異なる。
参照リンク
コンピュータセキュリティ インシデント対応チーム(CSIRT)のための ハンドブック - JPCERT/CC(PDF)
CSIRT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/02 07:17 UTC 版)
CSIRT(英語:Computer Security Incident Response Team、シーサート)とは、コンピュータセキュリティに関わる監視と、インシデント(事故や事案)が発生した際に、被害を最小限に食い止め、迅速に復旧させ、原因解析や影響範囲を調査する専門組織の総称である。
従来のセキュリティ対策は壁を作って脅威の侵入を防ぐ境界防御が主流であったが、現在は高度なサイバー攻撃(ランサムウェアや標的型攻撃など)を100%防ぐことは不可能であるというゼロトラスト・セキュリティモデルの考え方にシフトしている。万が一突破された際、対応が遅れると情報漏洩、業務停止、損害賠償といった被害が致命的に拡大するため、平常時から有事に備え、インシデントの検知、封じ込め、復旧、事後対応を行うCSIRTの重要性が高まっている。
CSIRTはCyber Security Incident Response Teamの略として用いられることもある[1]。似た用語にCIRT(Cyber Incident Response Team)、CERT(Computer emergency response teamもしくはComputer Emergency Readiness Team)[2]などが存在する。
概要
1988年のインターネット上のモリスワームによるインシデントの際に、米国カーネギーメロン大学内にCERT/CCが設置された。その後、世界各地に「CERT」を含むチームが設置された。しかし、カーネギーメロン大学の登録商標との関係から別の呼称が求められ、「CSIRT(computer security incident response team)」が広く採用されるようになってきた。CSIRTの国際的な連合体としてはFIRST(Forum of Incident Response and Security Teams)がある[3]。
日本では1996年にJPCERTコーディネーションセンター (JPCERT/CC) が発足した [4]。 2001年頃から国内により多くのCSIRTの設置を促す活動が行われるようになった[5]。2002年4月に内閣官房情報セキュリティ対策推進室内で発足したNIRT(National Incident Response Team)もCSIRTのひとつであった[6]。日本国内の連合体としては2007年に発足した日本シーサート協議会(NCA:Nippon CSIRT Association)がある。
類型
一般にCSIRTと総称される組織は、実際の担当業務によっていくつかの類型に分けられる。通常は以下の6タイプが挙げられるが、1つのCSIRTが複数のタイプの機能を持っていることも多い[7]。
- 組織内シーサート(Internal CSIRT)
- 自組織や顧客に関係したインシデントに対応する。一般的な企業内CSIRTが通常属する。
- 国際連携シーサート(National CSIRT)
- 国や地域を代表する形で、そこに関連したインシデントについての問い合わせ窓口として活動する。JPCERT/CCが代表例。
- コーディネーションセンター(Coordination Center)
- 協力関係にあるほかのCSIRTとの情報連携や調整を行う。CERT/CCやJPCERT/CCが代表例。グループ企業間の連携を担当するCSIRTも存在する。
- 分析センター(Analysis Center)
- インシデントの傾向分析やマルウェア解析、攻撃の痕跡を分析し、必要に応じて注意喚起を行う。
- ベンダチーム(Vendor Team)
- 自社製品の脆弱性に対応してパッチを作成したり、注意喚起をしたりする。
- インシデントレスポンスプロバイダ(Incident Response Provider)
- 組織内CSIRTの機能の一部を有償で請け負うサービスプロバイダー。いわゆるセキュリティベンダーやSOC(セキュリティオペレーションセンター)事業者。
インシデント対応
CSIRTはインシデントが起きた時だけ動くわけではない。アメリカ国立標準技術研究所(NIST)のガイドライン等に準拠し、主に以下の4フェーズで活動する[8]。
準備・予防
初動対応
有事対応
- 復旧 - 安全が確認された後、システムや業務を通常状態に戻す。
事後対応
- なぜ起きたのか、対応に問題はなかったかを振り返り、マニュアルや防御策を改善する。
- 経営陣、関係官庁(個人情報保護委員会など)、警察、顧客への報告や公表を支援する。
インシデント発生時の役割
インシデント発生時においては、全社的な危機管理対応となるため、CSIRTは以下のような役割を持つ[9]。
- 経営陣からの権限委任 - 売上に直結する基幹システムであっても、被害拡大を防ぐために即時停止できる権限など、経営陣からの権限委任が必要である。
関連項目
脚注
- ↑ “会員一覧|CSIRT - 日本シーサート協議会”. 日本シーサート協議会. 2025年9月12日閲覧。
- ↑ “「CERT」と「CSIRT」について”. JPCERT/CC. 2025年9月12日閲覧。
- ↑ “FIRST”. FIRST. 2015年12月14日閲覧。
- ↑ “組織概要”. JPCERTコーディネーションセンター. 2015年12月14日閲覧。
- ↑ 勝村 幸博 (2001年3月22日). “「日本にもっと“セキュリティ対応チーム”を」--。IPAとJPCERT/CCがセキュリティ・セミナーを開催”. ITpro. 2015年12月14日閲覧。
- ↑ “緊急対応支援チーム(NIRT)”. 内閣官房情報セキュリティ対策推進室. 2015年12月14日閲覧。
- ↑ “インシデント対応におけるシーサートの活動とは?”. ITmedia. 2009年3月12日. p. 1.
- ↑ Computer Security Division, Information Technology Laboratory (2012年8月). Computer Security Incident Handling Guide (PDF) (Report). 2026年9月2日閲覧.
- ↑ “CSIRT (シーサート) とは?役割やSOCとの違い、構築の流れを解説|コラム|法人向け|KDDI株式会社”. biz.kddi.com. 2026年9月2日閲覧。
外部リンク
発展文献
- 歌代 和正 (2009年6月19日). “JPCERT/CC 立ち上げのころの話”. JPCERT/CC. 2016年3月4日閲覧。
- “CSIRT 人材の定義と確保 Ver.1.0” (PDF). CSIRT人材サブワーキンググループ. 日本シーサート協議会 (2015年11月16日). 2016年2月28日閲覧。
- CSIRTのページへのリンク