機長の操縦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:13 UTC 版)
「大韓航空801便墜落事故」の記事における「機長の操縦」の解説
当初は視認進入を試みたにせよ、視程の悪い状態であればステップダウン降下による計器進入を行うべきであり、実際、それをしようとはしていた会話が CVR 記録で確認されている。しかし、結果的には機長は自機の位置を正しく把握できておらず、早すぎる降下を行い、ついには墜落に至った。 あくまで仮説としてではあるが、滑走路と自機の相対距離の参照基準となる DME (UNZ VOR) が、実際にはグアム国際空港 06L 滑走路では滑走路端から3.3海里 (6.1 km)ほど手前に設置されていたのに、機長はこれが空港内に設置されていると勘違いしたものと考えると、実際にとった行動(早すぎる降下)にとてもよく符合する、と事故報告書は機長が自機位置を誤って認識していた可能性を示唆している。今回の操縦クルーの訓練記録を調査すると、全員が DME が場内に設置された空港での訓練しか行っていなかったことも明らかとなった。また、大韓航空のシミュレータには、DME からの距離を監視しながらのローカライザ―非精密進入で、かつ DME が空港外にあるシナリオの設定はなかった。DME が空港内に設置されていないことは稀ではあるがグアム以外の空港でも見られることである。だが、もし事故調査委員会の仮説のとおりであったなら、機長はアプローチ・チャートを正しく読み取ることすらもできなかったか、あるいは読み取ることはできたにせよそれを無視したと結論せざるを得なくなる。ただし、この仮説(DME 位置の勘違い、思い込み)を裏付けるような会話は CVR には記録されていないため、正式な事故原因として挙げられてはいない。 GPWS による “minimums” のコールアウトがなされた時(地表衝突の12秒前、高度840フィート (260 m))、副操縦士は初めて進入復行をしてはどうかと機長に対して呼びかけたが、これが墜落の6秒前だった。その2秒後にはスラストが増加しているので、機長又は副操縦士のいずれかがスロットル操作を行ったことになる。だが、最初に地表に接触するまで、操縦桿を引く操作は行われなかった。“minimums” のコールに対して直ちにゴーアラウンド操作を行えば、450フィート (140 m)程度の余裕で地表の障害を避ける事ができた。また、副操縦士が復行操作を呼びかけた衝突6秒前の段階でも、間をおかずに最善の操縦操作を行っていれば、辛うじて墜落は避けられたであろうと推定されている。
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