ブドウ 種無しブドウ

ブドウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 09:14 UTC 版)

種無しブドウ

食紅で着色されたジベレリン溶液(デラウェアに対して)山梨県甲府市(2010年5月撮影)

植物ホルモンを利用した方法で、ホルモンの作用により無種子化した実を肥大(単為結果)させる方法である。本来ジベレリン水溶液は、果房の穂軸を伸ばし密着による果粒の潰れの防止や、果実の成熟期を早めるために用いられていたが、単為結果の効果が偶然見つかり、実用化されるに至った。

ジベレリン処理は1970年頃から行われているが、近年ではサイトカイニン水溶液を添加することにより処理時期が拡大している。

デラウェアなどの小粒種が主であったが、最近では技術の向上により巨峰などの大粒種にも種無しが現れている。ジベレリン処理を行うと果軸が硬化するため、種有りに比べ脱粒しやすい品種が多い。また、収穫時期は種有りに比べて早まる。なお、ジベレリン水溶液は元々無色透明であるが、ジベレリン処理をした果実を色で判別するために水溶液に食紅などを混ぜ着色している。

品種によって効果に差違が生じ、シャインマスカットの場合ジベレリン処理単体での無核化率は60-75%程度になるが、開花14日前にストレプトマイシン処理すると無核化率は100%に近くなる[26]

生産国

日本国内の主な産地

食用ブドウにおける産地分布(自治体及び旧自治体は作況調査市町村別データ長期累年一覧による。なお、2006年を最後に市町村別統計は廃止されているため、2020年の明確な産地分布は不明)

ブドウ畑(勝沼)2019年9月7日撮影

北海道・東北地方

  • 北海道 - 食用ブドウ収穫量全国6位。
小樽市余市町仁木町浦臼町(醸造用ブドウの大規模産地)
  • 青森県 - 食用ブドウ収穫量全国7~9位。スチューベンが主流
鶴田町南部町三戸町弘前市板柳町など
南陽市、高畠町上山市山形市天童市寒河江市東根市朝日町など

関東地方

中部地方

かほく市(旧高松町)
  • 山梨県 - ブドウ収穫量全国1位。甲州市勝沼は観光ブドウ園も多く、また、醸造用ブドウ生産も盛んでワインの一大産地となっている。山梨市牧丘地区では巨峰に特化した特産地となっている。
甲州市(旧勝沼町、旧塩山市)、山梨市(山梨市、旧牧丘町)、笛吹市(旧一宮町、旧御坂町、旧八代町、旧春日居町、旧石和町)、南アルプス市(旧白根町、旧櫛形町、旧若草町、旧八田村)、甲府市韮崎市甲斐市(旧甲西町)など
  • 長野県 - 食用ブドウ収穫量全国2位。醸造用ブドウ生産量も多く、桔梗ヶ原は一大産地。
中野市須坂市塩尻市桔梗ヶ原)、坂城町東御市(旧東部町)、など
  • 愛知県 - 食用ブドウ収穫量全国8~9位。デラウェアは全国4位。観光ブドウ園も多い。
岡崎市(駒立)、東浦町大府市豊橋市など

近畿地方

  • 三重県 - 伊賀市(旧上野市)、名張市青蓮寺湖
  • 滋賀県 - 湖東町(旧愛東町)
  • 大阪府 - 食用ブドウ収穫量全国7位。デラウェアは全国3位[28]木綿産業に変わる作物として河内地方を中心に広まり、戦前は神戸方面への出荷、戦時中は酒石酸確保のために栽培が行われた。戦前、終戦直後は全国トップクラスの産地だったが、台風襲来による産地壊滅と他産地との競争、宅地工業化などにより減少。しかしながら、河内地方柏原市羽曳野市を中心に、依然として国内上位の産地となっている。[29] また、下記のほか、大阪狭山市の大野ぶどう、交野市の神宮寺ぶどうなどの産地がある。
柏原市、羽曳野市(駒ヶ谷)、太子町 など

中国・四国地方

  • 鳥取県 - 北栄町(旧北条町)など
  • 島根県 - ハウスブドウ栽培が盛ん。
出雲市(出雲市、旧大社町)、益田市など
  • 岡山県 - 食用ブドウ収穫量全国4位。マスカット、ピオーネの産地として名高く、また瀬戸ジャイアンツやオーロラブラックといった人気品種も生み出している。
岡山市(岡山市、旧瀬戸町)、倉敷市(倉敷市、旧船穂町、旧真備町)、新見市井原市吉備中央町(旧賀陽町)、赤磐市(旧山陽町)、笠岡市瀬戸内市(旧邑久町)、高梁市(旧備中町、旧成羽町)、総社市久米南町など
  • 広島県 - 食用ブドウ収穫量全国10位。沼隈町がベリーAの無核化に初めて成功させ、商品名をニューベリーAとして販売する特産地となっている。[30]
福山市(福山市、旧沼隈町)、三次市尾道市など

九州地方

  • 福岡県 - 食用ブドウ収穫量全国5位。田主丸は国内の巨峰栽培発祥の地。[31]
久留米市(旧田主丸町)、八女市(旧黒木町)、うきは市(旧浮羽町)、広川町筑後市みやま市(旧高田町)、朝倉市(旧杷木町)など
宇佐市(旧安心院町)、日田市など

日本国外の主な産地

  • アメリカ
  • チリ
  • イタリア
  • フランス

など。

注意点

ブトウ(特に皮)をイヌネコなどの動物が食べた場合には腎不全を引き起こすことがある[33]


  1. ^ a b ブドウの枝にがん抑制作用日経産業新聞』2019年9月17日(医療・ヘルスケア面)2019年10月5日閲覧
  2. ^ 中山正男、「日本におけるワイン用原料ブドウ栽培」 『日本醸造協会誌』 1993年 88巻 9号 p.654-659,doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.88.654,
  3. ^ 『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典3 飲料・栄養素』小林彰夫監訳 朝倉書店 2005年9月10日 初版第1刷 p.107
  4. ^ 中世ヨーロッパ 食の生活史』p.44 ブリュノ・ロリウー著 吉田春美訳 原書房 2003年10月4日第1刷
  5. ^ 中川 (2002)、pp.179-180.
  6. ^ 中川 (2002)、p.183
  7. ^ 中川 (2002)、p.131
  8. ^ 『飲食事典』本山荻舟 平凡社 p536 昭和33年12月25日発行
  9. ^ 『果物・野菜散歩』pp.28-29 金沢大学大学教育開放センター 平成9年8月1日
  10. ^ 『播州葡萄園120年』稲美町教育委員会 2000年
  11. ^ 『ワインの科学』p.70 清水健一 講談社ブルーバックス 1999年1月20日第1刷
  12. ^ “Dietary table grape protects against ultraviolet photodamage in humans: 2. molecular biomarker studies” (英語). Journal of the American Academy of Dermatology. (2021-01-20). doi:10.1016/j.jaad.2021.01.036. ISSN 0190-9622. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0190962221001845. 
  13. ^ http://faostat.fao.org/site/567/DesktopDefault.aspx?PageID=567#ancor Food And Agricultural Organization of United Nations: Economic And Social Department: The Statistical Division 国際連合食糧農業機関
  14. ^ http://www.maff.go.jp/j/tokei/pdf/syukaku_ninasi_10.pdf#search='%E3%81%B6%E3%81%A9%E3%81%86+%E7%B5%B1%E8%A8%88' 農林水産統計 平成22年度日本なし、ぶどうの結果樹面積、収穫量及び出荷量 日本国農林水産省大臣官房統計部 平成23年3月18日公表 2012年12月11日閲覧
  15. ^ 『果実の事典』p.433 杉浦明、宇都宮直樹、片岡郁雄、久保田尚浩、米森敬三編 朝倉書店 2008年11月25日初版第1刷
  16. ^ http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001102429 「政府統計の総合窓口」内「果樹品種別生産動向調査」(ぶどう生食用) 2012年12月11日閲覧
  17. ^ 『果物・野菜散歩』pp.31-32 金沢大学大学教育開放センター 平成9年8月1日
  18. ^ 農文協(編)『ブドウ大事典』農山漁村文化協会、2017年、p167。ISBN 978-4-540-17181-9
  19. ^ 『地域食材大百科第3巻 果実・木の実、ハーブ』p.290 農文協 2010年8月25日第1刷
  20. ^ 『改訂版原色牧野植物大図鑑 REVISED MAKINO'S ILLUSTRATED FLORA IN COLOUR』(ISBN 4-8326-0400-7-C0645)
  21. ^ 『ヤマブドウ 安定栽培の新技術と加工・売り方ぁ』(P.42-58)農文協 ISBN 4-540-02124-9
  22. ^ 山ぶどうのホームページ【岩手県 久慈地方】”. 2013年1月14日閲覧。
  23. ^ 月山ワイン山ぶどう研究所”. 2013年1月14日閲覧。
  24. ^ 本坊酒造株式会社”. 2013年1月14日閲覧。
  25. ^ ひるぜんワインへようこそ”. 2013年1月14日閲覧。
  26. ^ 「シャインマスカット」の無核化にはストレプトマイシン処理が有効 茨城県農業総合センター園芸研究所 (PDF)
  27. ^ かほく市公式 かほく市の特産 ぶどう
  28. ^ 近畿農政局 ぶどう(大阪南河内地域)
  29. ^ マイ大阪ガス 関西のギモン、調べます!炎の探偵社 -100年前、大阪は日本屈指のブドウ王国だった!?
  30. ^ 中央果実基金ニュースレター 沼隈町果樹園芸組合のぶどう生産・販売の取組紹介
  31. ^ たのしく生まるる田主丸町 産業の歴史 - 「巨峰開植の地」田主丸
  32. ^ 宇佐市 - 観光文化情報 - 食・お土産・特産品 西日本有数の生産量を誇る ~安心院ぶどう~
  33. ^ 飼い主のためのペットフード・ガイドライン 環境省、2020年4月29日閲覧。






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