あづましずく【アヅマシズク】(果樹)
登録番号 | 第11590号 | |
登録年月日 | 2004年 1月 13日 | |
農林水産植物の種類 | ぶどう | |
登録品種の名称及びその読み | あづましずく よみ:アヅマシズク | |
品種登録の有効期限 | 25 年 | |
育成者権の消滅日 | ||
品種登録者の名称 | 福島県 | |
品種登録者の住所 | 福島県福島市杉妻町2番16号 | |
登録品種の育成をした者の氏名 | 山家弘士、國沢高明、佐藤守、佐久間宣昭、岡田初彦、松野英行、瀧田誠一郎、小野勇治 | |
登録品種の植物体の特性の概要 | ||
この品種は、「ブラックオリンピア」に「4倍体ヒムロッド」を交配して育成されたもので、果皮の色が紫黒、果粒が円で極大粒の育成地(福島県福島市)では8月上旬に成熟する極早生種である。樹の拡がりは大、樹勢は強である。熟梢の太さは太、色は黄褐、節間横断面の形は楕円、表面の形状は細溝あり、幼梢先端の色は薄赤、巻きひげの着生は2である。花穂の着生数は中、花性は両性、花粉の多少は多である。成葉葉身の形は五角形、裂片数は5片、葉身横断面の形は波打ち、葉縁鋸歯の形は両側直線、葉柄裂刻の一般的な形は開く、成葉上裂刻の一般的な形は重なる、成葉の大きさは大、上面の色は暗緑、葉柄の色は淡紅、成葉の下面葉脈間の綿毛の密度は無~極粗、下面主脈上の綿毛の密度は中、葉柄の綿毛の密度は無~極粗、中肋に対する葉柄の長さの比及び葉柄の太さは中である。穂梗の太さは太、長さは短、色は淡緑である。果房の形は複形、大きさは大、長さ及び着粒の粗密は中、果梗の太さは太、長さは短、色は黄緑である。果粒の形は円、大きさは極大、果皮の色は青黒又は紫黒、果粉の多少は多、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性は易、果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は中、酸味は少、渋味は無~極少、香気はフォクシー、果汁の多少は多、種子の有無は無である。発芽期は早、開花期は中、成熟期は極早で 育成地においては8月上旬である。果実の着色の難易は中間、花振いの多少は中、裂果の多少は無~極少、果梗の強さ及び果梗と果粒の分離は中である。「巨峰」と比較して、果粒の形が円であること、種子が無いこと等で、「高尾」と比較して、成葉葉身の形が五角形であること、果房が短いこと等で区別性が認められる。 | ||
登録品種の育成の経過の概要 | ||
この品種は、平成4年に福島県果樹試験場(福島市)において、「ブラックオリンピア」に「4倍体ヒムロッド」を交配し、その実生の中から選抜、以後、増殖を行いながら特性の調査を継続し、12年にその特性が安定していることを確認して育成を完了したものである。 |
あづましずく
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/07 08:01 UTC 版)
あづましずくは、福島県で生成され2004年に品種登録されたブドウである。[1] なお、「あずましずく」のように、「あづま」「あずま」の両表記が見られるが、生成地の福島県にある吾妻山が語源であり、あ づ まが正しい表記となる。[2]
背景
福島県では戦後デラウェアやキャンベルを中心にぶどうの育成を行っていたが、市場では徐々に巨峰のような大粒のぶどうが消費者に好まれるようになっていった。しかし、巨峰の主要産地は福島県より西に位置しており、熟期・収量性においてどうしても出遅れることや、ジベレリン処理の労力集中も課題となっていた。さらに、先行して福島県北部で育てられていた巨峰の品種改良ぶどう高尾は寒さによる病害で栽培が難航し、福島県のブドウ栽培は停滞を余儀なくされていた。このような複数の課題を背景に、福島県果樹試験場(現:福島県農業総合センター果樹研究所)が育成したのが、あづましずくである。[1]
概要
ブラックオリンピアを母、四倍体化ヒムロット・シードレスを父として交配して得た実生個体から選抜された[3]。父のシードレスの名の通り種無しである。あづましずくは極早生品種でお盆の前から収穫をスタートできることから、福島ぶどうの「出荷したぶどうが市場に出回るのが他県より遅い」という課題を克服し、より高い収益性が期待されている[1]
特徴
糖度17〜19%と甘みが強い一方で酸味は少なく、濃厚な多果汁感があるジューシーな食味となっている。巨峰と比較すると肉質が柔らかく皮離れが良いことから食べやすい品種である。[1][3]
逸話
福島県果樹試験場が農家に試作を頼んだ際、多くの農家が長梢栽培(ぶどうのつるを短く切らずに自然に近い形で栽培)する中、短梢栽培(つるを2・3芽だけ残して切る栽培)で露地栽培した農家では、粒の大きさも収穫量も大きく上回る結果となった[2]。福島県内の果樹農家によって栽培方法が確立され、栽培農家を増やしていったあづましずくだが、寒さに強い特性から、より北に位置する山形県や岩手県でも育成が開始され[4][5]、さらに北の秋田県でも育成が期待されている。[6][注釈 1]
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d “四倍体無核ブドウ新品種 あづましずく” (PDF). 福島農業総合センター研究報告. 2022年8月14日閲覧。
- ^ a b “ふくしま味と技「あづましずく」 ふくしまファンクラブ会報第13号” (PDF). 福島県観光交流課. 2022年8月14日閲覧。
- ^ a b “「あづましずく」(ブドウ)のプロフィール” (PDF). 福島県農業総合センター果樹研究所 . 2022年8月14日閲覧。
- ^ “春夏秋冬 きょうから9月”. 岩手日日新聞社. 2022年8月13日閲覧。
- ^ “山形県産ぶどう あづましずく”. 2022年8月13日閲覧。
- ^ “実用化できる試験研究 秋田県南部におけるブドウ黒色系‘あづましずく’および白色系‘サンヴェルデ’の品種特性(令和2年度)”. 2020年9月22日閲覧。
- ^ “福島県育成品種(野菜・果樹・花き)の県外への許諾について〜福島県農林水産部園芸課”. 2022年8月13日閲覧。
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
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